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- 本 ・本 (216ページ)
- / ISBN・EAN: 9784163202402
感想・レビュー・書評
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第8回松本清張賞受賞作。
「本格社会派サスペンス」と帯に書かれていたが、
この煽りで相当損したんじゃないかと思う。
タイプで言えば、「新青年」で探偵小説といいながら、
奇想小説を書いていた作家のような感じの作風。
ただ、昭和14年という設定でありながら、
現代の小説を読んでいるような印象が最後までぬぐえなかったのは、
登場人物たちが皆、現代人のようだからではないかと思った。
設定や、時代背景は丁寧に取材されていると思ったが、
言葉遣いだけでなく、やはり登場人物の人格に時代を感じない。
そこが残念だった。
主人公のひとり、久江のラストシーンは想像できない展開で、
非常に度肝を抜いた。
実に美しい!
この小説は、最後の最後まで何も進展しないし、極論、誰も救われない。
それに、おそらくこのラストは、賛否両論だと思う。
が、久江の最後は作家・三咲光郎の美学が集約されていると思った。
完璧ではないが、好きな作家だ。詳細をみるコメント0件をすべて表示
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著者プロフィール
三咲光郎の作品





