群蝶の空

  • 文藝春秋 (2001年6月12日発売)
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感想 : 1
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  • 本 ・本 (216ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784163202402

感想・レビュー・書評

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  • 第8回松本清張賞受賞作。
    「本格社会派サスペンス」と帯に書かれていたが、
    この煽りで相当損したんじゃないかと思う。
    タイプで言えば、「新青年」で探偵小説といいながら、
    奇想小説を書いていた作家のような感じの作風。

    ただ、昭和14年という設定でありながら、
    現代の小説を読んでいるような印象が最後までぬぐえなかったのは、
    登場人物たちが皆、現代人のようだからではないかと思った。
    設定や、時代背景は丁寧に取材されていると思ったが、
    言葉遣いだけでなく、やはり登場人物の人格に時代を感じない。
    そこが残念だった。

    主人公のひとり、久江のラストシーンは想像できない展開で、
    非常に度肝を抜いた。
    実に美しい! 
    この小説は、最後の最後まで何も進展しないし、極論、誰も救われない。
    それに、おそらくこのラストは、賛否両論だと思う。
    が、久江の最後は作家・三咲光郎の美学が集約されていると思った。
    完璧ではないが、好きな作家だ。

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著者プロフィール

三咲光郎(みさき・みつお)
1959年大阪生まれ。関西学院大学文学部卒業。1993年に『大正暮色』で堺市自由都市文学賞、1998年に『大正四年の狙撃手』でオール讀物新人賞、2001年に『群蝶の空』で松本清張賞、2018年に『奥州ゆきを抄』(岸ノ里玉夫名義)で仙台短編文学賞を受賞。2022年に『空襲の樹』で第1回論創ミステリ大賞を受賞。

「2024年 『娘剣士 守りて候』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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