- 本 ・本 (368ページ)
- / ISBN・EAN: 9784163204307
感想・レビュー・書評
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さすがは直木賞作品だけあって面白かったですね!しかも私の地元東京下町が舞台とあって、土地勘があって、かなり身近に感じる内容の作品でした。
登場人物設定が良く、いろいろな軋轢のあった豆腐屋親子が下町人情や義理にふれながら、なかなか通い合えなかった絆が最後には、まわりの支えもあって、しっかり結び付くという感動物語でした!
まさに下町の粋な話で、すっかり山本一力ワールドに、はまりましたね!これから山本一力作品を読破していきたいと思う今日この頃です。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
初、山本一力さん作品です。
江戸市井に生きる人々の暮らしぶりを描いた、下町人情物語。
ただ温かく優しいだけでなく、家族ひとりひとりの言い分があったうえでの衝突や擦れ違い。
そういう切ない事象も丁寧に描かれていて、それがこの作品に深みを与えているのだと思います。
あんなに睦まじかった永吉とおふみの歯車がズレはじめ、子どもたちも敏感にそれを察する。家庭のなかで生まれる不協和音は、読んでいて切なくなりました。
だけれど、禍福はあざなえる縄の如し。
決していいことばかりじゃない人生だけれど、人々とのつながり、家族の絆があれば、なんとかなるのじゃないかな、という希望が感じられる結び方でした。 -
ちょっと前の直木賞受賞作。
江戸深川の豆腐屋一家の物語です。江戸の市井の人たちの人情、助け合い、心意気、いろんなものが詰まってます。
ただただ温かいだけではなくて、家族のなかでの衝突や揉め事もたくさんあり、読んでいて辛くもなるのですが、最後の最後には家族の力は偉大だなあと感動させられます。
最後に出てくる親方、かっこいいです。
なかなか甘くはない人生、理不尽なこと、苦しいこともあるだろうけど、家族が力を寄せ合って結束すればたいていのことは乗り越えられる、そう信じられるようなとてもいい小説でした。
お豆腐、食べたくなります。 -
山本一力著「あかね空」
さすが芥川賞作品 「四重の五重のと重箱みたいに、ただ歳を重ねてきたわけじゃない」なんてリズム抜群の粋な口上。「風は、お愛想がわりに軒先の風鈴を鳴らして過ぎ去った」との季節感溢れる情景描写。およそ想像もつかないほど複雑で屈折した人間の本心を随所に散りばめ、最後のどんでん返しで読者を安心させる展開に、清々しい読後感を得ることができる。 -
江戸時代のお豆腐屋さんの話。朝ドラを見てるかのような展開で面白かったです。いろんな人の視線で書かれていて、人の考えというものは他人からはなかなかわからないものだなーとよくわかりました。
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山本一力さんの作品を初めて読みました。江戸の人情物語。時代小説が好きな人にはさっぱりと読める作品。
京で豆腐作りの修業をした若者が、独り立ちを決意し、江戸の町で店を出す。長屋の娘と所帯を持ち、家族が増え、様々な思いを抱えて成長する子供たち。 -
江戸時代の豆腐屋物語り
京風豆腐はどんな味か食べてみたい。木綿と絹豆腐の違いか? -
永吉の起業から死ぬまでがけっこう速い展開で書かれているのだが、自分の一生も客観的に見たらこんなんなんだよなあ、と虚無感に襲われる。
そして、この家族同士のすれ違い、身に覚えがあるなあ。本では政五郎のように父母の思いを代弁してくれる人が出てきたけど、現実にはそんなことはまずない・・・家族って幻想なのかも。 -
☆3つ
これまた先に読んだ西加奈子の直木賞『サラバ』や引いては『楡家の人びと』(・・も直木賞だったか? 調べればすぐ済む事なれど面倒なのですまぬ)の様な親子二代に渡る人情人生ドラマの江戸時代編である。
舞台は江戸時代の隅田川(当時はどうやら大川と云ったらしい)の近辺。木場とか深川あたりですね。たぶん。
前半はとても面白い展開でした。ところが中盤を過ぎた辺りからどうも話の焦点が視えなくなっちまった。あっちへふらふら、こっちへとぼとぼと。何処を目指して書いているのかちっとも分からないその場しのぎ。終わってみると。
まあ、これが実際のところの「直木賞」の正体でしょう。
ところでわたしの生まれ故郷は四国徳島阿波池田。幼少の頃は絹ごし豆腐というものはたしかお店には売ってなかったと思います。
豆腐は関東が木綿で関西が絹ごし、だとは思えませんので、きっと絹ごし豆腐というのは京都が発症の地でその後ゆっくりと全国に広がっていったのだと思います。いや、この『あかね空』を読んだ結果そうかなぁと思っただけなのですが。すまぬ。
著者プロフィール
山本一力の作品





