僧正の積木唄 (本格ミステリ・マスターズ)

  • 文藝春秋 (2002年8月28日発売)
3.16
  • (1)
  • (5)
  • (17)
  • (1)
  • (1)
本棚登録 : 54
感想 : 13
本ページはアフィリエイトプログラムによる収益を得ています
  • 本 ・本 (448ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784163211602

感想・レビュー・書評

並び替え
表示形式
表示件数
絞り込み
  • 掛け値無しに面白い!
    実は僧正殺人事件を読んでないまま手にとってしまったのだけれども、ファイロ・ヴァンスにげんなりしている周りの人々と若き金田一の対比が秀逸。
    それぞれのトリックもよいです。

    また忘れた頃にもう一度読みたい。

  • ヴァン・ダイン『僧正殺人事件』の後日談を金田一耕助が解く!という設定だけで高まる。
    あの事件でヴァンスが犯人と指摘した人物は、本当に真犯人だったのか。
    その後事件の関係者が殺害され、排日運動の嵐が吹き荒れる中、日本人の給仕人が逮捕される。当時アメリカを放浪していた金田一は彼を救うべく調査を開始するが…
    名探偵ヴァンスも序盤で登場するが、(マーカム視点での)こき下ろされ方がひどくで笑えるというか切ない。
    『僧正〜』の後日談として面白かった点は、あの事件でヴァンスが蘊蓄を語っていた邸の外では排日運動が高まっており、日本人に対する差別がひどかったという社会背景を大きく取り入れたことだろう。
    しかし『僧正〜』のあからさまなネタバレはしていないものの、関係者が何人か登場することで推察されてしまうこともあるし、未読だと本書の面白さも半減なので『僧正〜』を先に読んでおいた方が絶対によいと思う。その点ではミステリファン以外にはハードルが高いかも。

  • 第二次世界大戦前のNY。
    排日の空気が渦巻く中、「僧正殺人事件」の生き残りであるアーネッソン教授が爆死する。
    給仕人の橋本はいろんな思惑が絡み、容疑者として拘束される。
    日系移民の未来を守るために金田一耕助がサンフランシスコから呼び寄せられた。

    「僧正殺人事件」を読んでいないと面白味が少ないだろうな。
    読んでいても、ヴァンスファンは切ないかも、金田一耕助を引っ張り出すためなのか酷い書かれよう。
    ミステリとしてはイマイチだな。
    犯人は早々に分かってしまうし、ひな屋敷の秘密も想像できてしまった。
    せっかくのマザーグースもあまり生きてる感じがないし。
    ジャックの建てた家、みたいな歌を「積木唄」というのは初めて知った。
    でも第二次世界大戦前のアメリカ社会の日系人のお話しとしては楽しく読んだ。
    昔見た大河ドラマで「最後までジャップか」と呟いて沢田研二が死んでいくシーンを強烈に覚えてる。
    そして海外に旅行に行って「ジャップ」と囃されたことも石を投げられたこともある。
    橋本が追い詰められていく様子、裁判のシーンは他人事と突き放して読むことが出来なかった。
    最後のイレギュラーズの活躍が嬉しかった。

    たぶんこの作家さんの作品は初なのだけど、解説、インタビューでずいぶん作家さん仲間に人気な人と知る。
    この本はちょっとナンでしたが、機会があれば他の作品も読んでみたい。

  • 僧正殺人事件と金田一耕助へのリスペクト。特に前者に対しては、翻訳できないんじゃないかとも思うくらいに踏み込んでいる。舞台設定で手一杯だったのか、ミステリの筋立てとしては弱いが、色々と上手に散りばめているので不満ではない。7.5

  • 初めて読んだ山田作品。
    作家にファンが多いのがなんとなく判る気がする、ミステリ。
    「世界」の作り方が上手いんだろうなぁ…。

  • この人の作品は評価が高いわりに、読んでも面白さがよく分からないことが多い。
    その中ではちゃんと理解できたと思う。ヴァン・ダインと横溝正史を取り込んでいるので、本格ミステリらしいし。
    さすが本格ミステリ・マスターズ。

  • 作者の“剛腕ぶり”が足りない。不自然で必然性にないトリックばかり。作者の作品はいつもそうだけど、なにかそれを丸め込む強引な説得力がなかったか。もちろん「僧正〜」の続編を書く、金田一を登場させるという奇想はさすがだが。

  • ファイロ・ヴァンス+金田一耕介のタッグで、僧正殺人事件の真の解決篇 とかいう謳い文句をどこかで見た。

    けど、そいう派手な作品ではない。地味。
    ヴァンスも金田一も主人公ではない。
    主人公は、1930年代の日系アメリカ人。

    探偵小説のようでいてそうでなく、社会派ではまったくない。
    壮大なほら話というには、妙に史実に縛られている。

    謎解きは面白かったけど、途中から犯人が誰かどうでもよくなった。
    分量は分厚いが5時間で読めた。
    なにかにつけ英語のルビが振られているのが気になる。
    文章がもったりしている。
    翻訳を読みなれているからか?

    たぶん相性があわないのだろう。

  • これは「僧正殺人事件」を読んでからでないと絶対ダメ! だって「僧正殺人事件」の犯人の名前こそ明らかにはしていないけれど、消去法で考えれば誰が「犯人」だったのかまるわかり(笑)。
    しかしそれにしても「僧正殺人事件2」というネーミングはどうかと。「続僧正殺人事件」にしておきましょう(違う)。そしてファイロ・バンスは相当な「迷探偵」としてこき下ろされまくり。ファンには悲しいかもね。金田一耕助はちゃんと「名探偵」してるんだけど。
    事件のほうは、「僧正殺人事件」に負けず劣らずマザーグースがばかばか出てきて、幸せいっぱい(笑)。というかこっちのほうが絡み具合はいいんじゃないかと思う。で、この事件の犯人はもとより、「僧正殺人事件」の真の犯人が明かされるところなんかも、実は「僧正殺人事件」よりも見事なんじゃないかと思った。私としては、こっちのほうが断然面白かったな。

  • グイグイ読まされるのだが、趣向が詰め込まれすぎてて、結局なんだったんだろう?謎解きもあっさりしていて、印象に残らない。

全13件中 1 - 10件を表示

著者プロフィール

1950年生まれ。74年『神狩り』でデビュー。『地球・精神分析記録』『宝石泥棒』などで星雲賞、『最後の敵』で日本SF大賞、『ミステリ・オペラ』で本格ミステリ大賞、日本推理作家協会賞を受賞。SF、本格ミステリ、時代小説など、多ジャンルで活躍。

「2023年 『山田正紀・超絶ミステリコレクション#7 神曲法廷』 で使われていた紹介文から引用しています。」

山田正紀の作品

  • 話題の本に出会えて、蔵書管理を手軽にできる!ブクログのアプリ AppStoreからダウンロード GooglePlayで手に入れよう
ツイートする
×