緋友禅: 旗師・冬狐堂

著者 :
  • 文藝春秋
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  • Amazon.co.jp ・本 (260ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784163215808

作品紹介・あらすじ

わたしは宇佐見陶子と申します。骨董業-といっても旗師といいまして、店舗を持たずに競り市から競り市へ、骨董店から骨董店を渡り歩いて品物を仕入れ、流通させるバイヤーのような存在なのです。骨董の世界は、魑魅魍魎の住処と言われます。時に悲劇が、時に喜劇が、ない交ぜに流れて人々を押し流してゆく。そうした光景が日常的に観察される世界です。騙しあいと駆けひきの骨董業界を生き抜く美貌の一匹狼。古美術ミステリー。

感想・レビュー・書評

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  • 『瑠璃の契り』を会社の人に薦められて読んでから、時々無性に読みたくなる作家さん。まだまだ読んでないのばかりですが。乾いた世界で渦巻く湿った感情。けっこうどろどろしてて怖いところもあって、前作の人形関係は私最初怖くて再読できませんでした。今作も、萩焼き茶碗に…とか若干怖いですが、それよりも、美術品・工芸品に対する情熱と言うか純粋な思いが強くて切ない気持ちになります。そこをぐっとおさえて商売したり探偵したりする冬狐堂。読むうちに彼女に惹かれていきます。

  • わたしは宇佐見陶子と申します。骨董業-といっても旗師といいまして、店舗を持たずに競り市から競り市へ、骨董店から骨董店を渡り歩いて品物を仕入れ、流通させるバイヤーのような存在なのです。骨董の世界は、魑魅魍魎の住処と言われます。時に悲劇が、時に喜劇が、ない交ぜに流れて人々を押し流してゆく。そうした光景が日常的に観察される世界です。騙しあいと駆けひきの骨董業界を生き抜く美貌の一匹狼。古美術ミステリー。
    (2003年)
    — 目次 —
    陶鬼
    「永久笑み」の少女
    緋友禅
    奇縁円空

  • 短編3編と中編1編。中編の『奇縁円空』が人の繋がりや縁、円空仏の薀蓄が絡み合って特に良かったです。
    『「永久笑み」の少女』は手紙を使った話の進め方でややまどろっこしさを感じてしまいましたがどの話も骨董や美術への知識がぎっしりと詰まっており楽しめました。

  • 表題作他3編収録。

    装幀 / 大久保 明子 手總 型友禅伝統図案集『友禅グラフィックス1』(グラフィック社刊)より
    初出 / 『オール讀物』2001年7月号・12月号、2002年5月号、『別册文藝春秋』2002年9月号・11月号

  • 「旗師・冬狐堂」とサブタイトル付いた冬狐堂シリーズ。短編集4話。

  • 冬狐堂シリーズの第3弾です。短編と中編を集めた作品集ということもあって、それぞれに趣向が凝らされていて楽しかったです。

  • 前の2作は長編だったが、
    これは4つの短編から成っている。

    陶鬼
      独特な萩焼・秋霜萩の茶碗
    「永久笑み」の少女
      古墳から発掘された埴輪
    緋友禅
      糊染めという技法でできた緋色の友禅
    奇縁円空
      円空仏の贋作・鬼炎円空

    それぞれの作品で、陶子は事件に巻き込まれていく。
    というより事件を呼び寄せているような気がする。

    周りにいる人々が何人も死んでいく。
    そのため、友人の硝子には「トラブルメーカー」と言われてしまう。

    骨董の世界の話にもようやくついていけるようになった。
    それでも陶子の心を理解するまでには至らない。

    真作、贋作。
    作り出す者の執念を理解することはできそうにない。

  • 冬狐堂シリーズ。今作は4編から成る短編集。

    久しぶりにこのシリーズを読んだけれども、やっぱり面白い。短編集でも一つ一つ読み応えあって、読後感大満足。陶子のキャラも好きだし、骨董とミステリがきちんと繋がっているところがこのシリーズの魅力。このシリーズや蓮杖那智シリーズを読んでいるうちに、骨董美術やら民族学やらの知識がやたらと増えたし、魅力も感じるようになった。

  • 冬狐堂シリーズ。

    再読。連作4編。
    表題作がやっぱり好きだなあ。

  • 冬狐堂シリーズの短編集。
    師匠の一人であった弦海礼次郎の自殺と萩焼との関係を描いた「陶鬼」
    伝説の掘り師から持ち込まれた埴輪、その微笑の背後にある哀しい事件「「永久笑み」の少女」
    陶子が売買契約を結んだはずの糊染めタペストリーが消え、製作者は殺された。品物の行方を捜すうちに陶子はある着物と出会い。。。「緋友禅」
    故人のコレクションの処分を頼まれた陶子はそこである円空仏と出会う。しかしこの円空仏には秘密が隠されていた「奇縁円空」
    の4編収録。

    今回はまた扱っている商品がバラエティに富んでいて面白かったです。
    萩焼、古墳の盗掘、友禅染め、そして円空。
    どの薀蓄も楽しませていただきました。
    陶子への悪意も深くはなくて一安心。
    最後の円空は中編くらいの長さだったので心配したのですけど、痛い目をみなくてよかったぁ。

    この中ではやっぱり「奇縁円空」が一番引き込まれたかな。
    仏像、わかりませんけど見るのは好きです。
    「永久笑み」も構成が変わっていてよかったです。

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著者プロフィール

1961年山口県生まれ。駒澤大学文学部歴史学科卒業。’95 年『狂乱廿四孝』で第6回鮎川 哲也賞を受賞しデビュー。’99 年『花の下にて春死なむ』(本書)で第 52 回日本推理作家協会賞短編および連作短編集部門を受賞した。他の著書に、本書と『花の下にて春死なむ』『桜宵』『螢坂』の〈香菜里屋〉シリーズ、骨董を舞台にした〈旗師・冬狐堂〉シリーズ 、民俗学をテーマとした〈蓮丈那智フィールドファイル〉シリーズなど多数。2010 年 1月逝去。

「2021年 『香菜里屋を知っていますか 香菜里屋シリーズ4〈新装版〉』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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