星々の舟

  • 文藝春秋 (2003年3月28日発売)
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  • 本 ・本 (392ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784163216508

感想・レビュー・書評

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  • 戦争の傷痕深い厳格な父親、家政婦から後妻に入った母親、先妻の子と後妻の連れ子の兄妹たち・・・夜空の星々のごとくそれぞれが瞬き、輝きながら、「家族」という一つの船に揺られながら、時の荒波を漂っていく・・・愛とは、家族とは何かを問いかけた心震える物語は、著者<村山由佳>さんの直木賞受賞作品。〝今日一日を命からがら生き延びた者にとって、明日も、その明日もまた続いていくのが戦争だったのだ。人間が人間であろうとすることさえ許されず、赤い紙きれ一枚で家族も恋人も引き裂かれた...それが戦争だったのだ〟

  • 星々の舟=家族と家。
    連れ子同士だと思い、惹かれあった兄と妹を軸にその家族のお話。
    悲劇ではあるものの、15年と言う長い年月がまた違う家族の形にしてくれます。
    兄の暁も妹の沙英もやりきれない思いを抱えたまま。
    誰かを悪者にしたら楽になる、そんな感じです。

  • **足を踏んだほうはすぐに忘れるけど、
      踏まれた方はそう簡単に忘れられないもんだ

     本当にそうだなと思う。
    やった方は忘れてしまっても、やられた方は忘れない。
    言った方は忘れてしまっても、言われた方は忘れない。


    人間のドロドロした部分を書きたかったと言っていたのを聞いたが・・・
     妹が犯されたり、血のつながりはないと思って愛し合ってた兄妹が本当の兄妹だったり、
    不倫してたり、婚約破棄したり、孫世代の話ではヤンキーにやられたり、
    もう”てんこもり”。

     けれど作った感なく、こんなのありえないと全く思わせず読ませてしまうところがさすが。
     話が話だけに少し重くて消耗するけど、続きが気になって読んでしまう、そんな一冊だった。

  • 「おいコー」シリーズのような恋愛モノでもなければ、セクシャルな面が強く出てるダブルファンタジーの流れでもない。
    戦争という大きなものを背景に置いて、家族それぞれの生き方や抱える苦悩、価値観の違いなどがありありと描かれている作品。

    村山由佳は「戦争をテーマにして若い人に伝えたかったけれど、やっぱり私は恋愛が絡んでこないと書けない」と言っていたのも納得で、重いテーマの割に村山由佳の柔らかさ・繊細さがあって、それが上手い具合にバランスしていると思う。
    本当に救いがなくて重いけれど、ラストシーンでの父:重之の一言"幸せとはいえない幸せもあるのかもしれない。" がいつまでも胸に響く。
    大好きな一冊。

  • ある家族を1つのテーマにして、それぞれの章で主人公が変わっていきます。どれも深い悲しさをはらんでいて、胸がギュッと締めつけられているようでした。

    それだけ物語への没入感があったということ。

  • 禁断の恋のお話しかと思いきや、家族という舟にのる個々の視点からのオムニバス形式で読みやすかった。それぞれの内容は重ため。不倫、居場所探し、いじめ、戦争。幸福とは呼べぬ幸せもあるといいな。
    【2023.07】

  • 以下のアドレスのブログ記事をお読みください。

    http://sasuke0369.blogstation.jp/archives/37618269.html

  • 直木賞受賞作品
    一つの家族がそれぞれ主人公として書かれた6編からなる小説。現代の家族らしい悩みをそれぞれが持っている。禁断の愛や友人への嫉妬などが題材なので、一見ありきたり。しかし吸引力のあり、あっという間に読めてしまう。 家族でも、話さなくては分からないこと、決して話すことのできないこと、多くの事情を抱えている。この気持ちはどうやって整理をつけるのだろうか?それを分からなくても支えてくれるのが家族なのかもしれない。 村山さんの作品(恋愛小説)のイメージとは全く違う、読み応えのある作品です。

  • 友人が良かったというので読んでみましたが、私には・・・

    すげえドロドロの家族

  • 救いのない。
    幸せは、誰かの犠牲の上にある気がしてきた。

    いっそモラルすら超える事が出来たらいいのに。ずっと忘れられないままなら。

    忘れられず、一緒に生きる事の出来ない人がいる場合はどう生きればいいんだろうね。
    心はそのしがらみからどうすれば自由になれるのか。
    誰かと寄り添って生きるだけの事が現代ではファンタジーだ。
    そのめでたしにみんなが辿りつけるわけではない。

    日本は周囲は20代位に結婚して家庭を持って幸せになれと無意識に押しつけてくるけど、それに答えられなかったり、その理想から零れてしまう人はどうしたらいいんだろう。

    時間薬が人を優しくくるんでしまうことと人はみんな孤独なんだなと感じた。

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著者プロフィール

村山由佳
1964年、東京都生まれ。立教大学卒。93年『天使の卵――エンジェルス・エッグ』で小説すばる新人賞を受賞しデビュー。2003年『星々の舟』で直木賞を受賞。09年『ダブル・ファンタジー』で中央公論文芸賞、島清恋愛文学賞、柴田錬三郎賞をトリプル受賞。『風よ あらしよ』で吉川英治文学賞受賞。著書多数。近著に『雪のなまえ』『星屑』がある。Twitter公式アカウント @yukamurayama710

「2022年 『ロマンチック・ポルノグラフィー』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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