- Amazon.co.jp ・本 (392ページ)
- / ISBN・EAN: 9784163216508
作品紹介・あらすじ
禁断の恋に悩む兄妹、他人の男ばかり好きになる末っ子、居場所を探す団塊世代の長兄、そして父は戦争の傷痕を抱いて-愛とは、家族とはなにか。こころふるえる感動の物語。
感想・レビュー・書評
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戦争の傷痕深い厳格な父親、家政婦から後妻に入った母親、先妻の子と後妻の連れ子の兄妹たち・・・夜空の星々のごとくそれぞれが瞬き、輝きながら、「家族」という一つの船に揺られながら、時の荒波を漂っていく・・・愛とは、家族とは何かを問いかけた心震える物語は、著者<村山由佳>さんの直木賞受賞作品。〝今日一日を命からがら生き延びた者にとって、明日も、その明日もまた続いていくのが戦争だったのだ。人間が人間であろうとすることさえ許されず、赤い紙きれ一枚で家族も恋人も引き裂かれた...それが戦争だったのだ〟
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「おいコー」シリーズのような恋愛モノでもなければ、セクシャルな面が強く出てるダブルファンタジーの流れでもない。
戦争という大きなものを背景に置いて、家族それぞれの生き方や抱える苦悩、価値観の違いなどがありありと描かれている作品。
村山由佳は「戦争をテーマにして若い人に伝えたかったけれど、やっぱり私は恋愛が絡んでこないと書けない」と言っていたのも納得で、重いテーマの割に村山由佳の柔らかさ・繊細さがあって、それが上手い具合にバランスしていると思う。
本当に救いがなくて重いけれど、ラストシーンでの父:重之の一言"幸せとはいえない幸せもあるのかもしれない。" がいつまでも胸に響く。
大好きな一冊。 -
直木賞受賞作品
一つの家族がそれぞれ主人公として書かれた6編からなる小説。現代の家族らしい悩みをそれぞれが持っている。禁断の愛や友人への嫉妬などが題材なので、一見ありきたり。しかし吸引力のあり、あっという間に読めてしまう。 家族でも、話さなくては分からないこと、決して話すことのできないこと、多くの事情を抱えている。この気持ちはどうやって整理をつけるのだろうか?それを分からなくても支えてくれるのが家族なのかもしれない。 村山さんの作品(恋愛小説)のイメージとは全く違う、読み応えのある作品です。 -
友人が良かったというので読んでみましたが、私には・・・
すげえドロドロの家族 -
複雑な家族、それぞれが抱える想い・・・
同じ家族でも、みんながそれぞれに秘密を持っていたり、お互いに対して複雑な感情を抱いていたり。
狭い「家族」という単位の中でも、様々な人生が同時進行で全く違う方向に進んでいくのがとても面白い。-
2012/05/21
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同じ時を家族で過ごしていても、それぞれに一つの事象に対しての捉え方が違うのは当然の事なのだ。親の見方と子の見方、男性の見方と女性の見方も違うだろう。一人ひとりに思いや生き方のカタチがある。
非常に世俗的な話の内容であるのだが、一家族のそれぞれの生き方の中で相手を思う心は真実なのだ。決して許されるべきものでないにせよ、純で真っ直ぐで精一杯なのだ。
家族-それはそれぞれに輝き方が違う個々星々であっても、共に同じ舟に乗り合わせ包まれ、守られながらこの世の中にゆられていくものかもしれない。
「ほら、早く泣いちゃいな」…限りなく優しく、力強さと包容力を感じる言葉だなぁ。えっ!この言葉のどこが!?と思ったら、まずは読んでみて。 -
ある家族を1つのテーマにして、それぞれの章で主人公が変わっていきます。どれも深い悲しさをはらんでいて、胸がギュッと締めつけられているようでした。
それだけ物語への没入感があったということ。