ふたたびの恋

  • 文藝春秋 (2003年6月11日発売)
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本 ・本 (232ページ) / ISBN・EAN: 9784163219301

感想・レビュー・書評

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  • 「ふたたびの恋」「恋のきずな」「さようならを言う恋」の3編が収録されていますが、全ての共通のテーマが「ふたたびの恋」ではないかと感じました。
    落ち目の脚本家とかつての教え子の売れっ子脚本家の「ふたたびの恋」、息子の同級生とのつかの間の「ふたたびの恋」、かつての妻との「ふたたびの恋」。。。
    薄っぺらでありがちなラブストーリーでも情事に溺れるだけな話でもない、濃厚で緻密な大人の恋愛小説です。
    野沢さんの小説は大好きですが、読むたびにこれほどまでの才能が早くに葬られた悲しみを感じずにはいられません。

  • 「ふたたびの恋」・「恋のきずな」・「さようならを言う恋」じんわりとせつない恋の短篇集。表題作「ふたたびの恋」仕事に行き詰まり一人旅でシーズンオフの沖縄へ来た中年の脚本家の前に、ゼミで教え子だったかつての恋人が現われる。彼女は「恋愛ドラマの教祖」と呼ばれる誰もが名を知る売れっ子脚本家となっていた。「わたしを助けて」。共同で脚本を執筆することになる土曜ドラマのためのシナリオを二人で作り上げていく、息苦しいような四日間の後に…。各場面が目に浮かぶ秀作。

  • 切ない恋の話が3話。

    どれも中年の男女が主人公。
    なかなか感慨深い話ばかりです。

    特に「さようならを言う恋」は、ジーンとする話。
    息子の事故死が原因で別れた夫婦が、再会してもう一度
    気持ちの整理をつける為にする行動は、切ない。

    傑作だと思います。

  • 中には3つの話
     ・ふたたびの恋
     ・恋のきずな
     ・さよならを言う恋
    がはいっています。

    この中の 「さよならを言う恋」というのが泣けました。
    恋そのものではなくて 別のものによって涙したんだけど
    「別離」について考えさせられました。

    内容を書いてしまうようになるんだけれど
    このお話は 子どもの死によって夫婦が離婚してしまうんだけど
    いろんな「さよなら」が含まれています。
    ・亡くなった子どもへのさよなら
    ・それからその子どもの思い出の詰まった品々へのさよなら
    ・愛していた伴侶へのさよなら
    ・その伴侶の中に色濃く残されている
      亡き子どもと似たところへのさよなら

    一言でひっくるめれば 過去の自分とのさよならに
    なるのかもしれませんが・・・

  • 王道ではないけれど、純粋な愛を描く3つの短編。
    盲目的なものではなく、嫉妬や後悔に囚われながらもどこか冷静な雰囲気だった。

    いろんな愛の形があって、いろんな幸せの在り方があるんだなと思った。

  • 恋にまつわる3作品短編集。

    どれも王道の恋ではなく、ちょっと外れていたり終わっていたりする。
    でもどれも純粋できれいな恋のお話。
    恋を乗り越え、未来をどう生きていくか。
    脚本家らしいお話ばかりです。

    一番好きなのは真ん中の主婦の話かな。
    一歩それてしまえば全然違う人生になってしまう、それを踏みとどまる、糧にして生きてゆく、親世代と子世代のありえない、けど間違いなく恋愛の物語でした。

    最後のお話は物悲しい。
    けどスッキリするというか未来に向けて進んでいく素敵なお話でした。
    でも自分はああはなれないかな。なれる人は少ないんじゃないかな。だからこその脚本家らしいお話でした。


    @図書館本

  • 大人の恋を題材にした短編集。 ちょっと切なくなったりと忘れかけて感情を思い起こされる小説。 甘くない恋愛小説なので恋愛小説が苦手な人にも読んでもらいたい。

  • 高校教師を書かれた方で、自殺されたんですね。
    ほかの方のレビューを読んでしりました。

    文章はとても読みやすく、一気に読んでしまいました。
    ふたたびの恋。

    3作の短編集で、ふたたびの恋という話が好きです。
    相手のことを思うけど、不器用な感じが、
    はたから見ると他人の恋愛というのはこういうものなのかも。
    プライドと、不安とが邪魔をして。

    2つ目の恋のきずなは・・・うーん。
    好みなんだろうなぁ。

    3つめのさようならを言う恋
    きちんとさようならができていないと
    生きていても、死んでるのと同じかもしれない。

    違う本も読んでみようと思います。

  • 恋愛をテーマにした野沢尚の短編小説。

    読みやすく引き込まれる文体で
    さすが野沢尚って感じの一冊でした。
    はずれ小説がないのがすごいと思った。

  • 野沢尚さんのふたたびの恋


    前回読んだ野沢さんの作品に感動し、二冊目読んでみました。


    今回は3作が入っていました。
    まずはベテラン脚本家である主人公が元恋人でもある教え子の作家に再会するお話。


    次に息子の同級生に恋をする母親のお話。


    最後に息子を亡くし、離婚に至った夫婦のお話。


    どれも読んでいて、自分自身がそのストーリーの中に入り込んでしまうかのような話の展開でした。
    脚本家さんだけあって、ページをめくるのが面白いくらいどんどん話にのめり込んでしまいました。


    どの作品も好きだったんですが、二作目のお話が特に好きです。
    母親の切ない気持ちが伝わってきて、私までドキドキしてしまいました。



    三作品とも、読み終わったときにはぁーっとため息をついてしまうようなこの気持ちは何なんでしょう。どれもあからさまなハッピーエンドは一つもないのに、作品の終わりには必ず希望の光のようなものが残されているんです。


    とにかく切ない気持ちでいっぱいになりました。
    又違う作品もよんでみたいなぁ

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