グロテスク

著者 :
  • 文藝春秋
3.55
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本棚登録 : 2436
感想 : 369
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  • Amazon.co.jp ・本 (536ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784163219509

感想・レビュー・書評

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  • もともと5年前に読みたがっていたらしい(ブクログに入ってたw)この本を、アメトークの光浦靖子に背中押されて読んでみた。因みに、意地の悪い書き方のあの良いと言われていた箇所は、思ったよりも共感できなかった。

    美貌という怪物を持つ姉目線と、登場人物の手記で流れていく物語。よくもまぁこんなに長々と、揃いも揃って主要人物たちがまともに手記書いてたよなwと思いながら読んでたよww

    途中で、「あれ?そういえば姉の名前なんだっけ?母さんからの手紙に書いてあったんだっけ?」と探したけれど無く。最後まで読んだけれど、和恵でさえも「ユリコの姉」という表記(確か)。これはもう、ユリコが強烈過ぎるために名前で語られない「ユリコの姉」なのだろう。

    綺麗過ぎる妹と、それに勝とうとして良い高校に入ったのに、周りが凄すぎて、見た目でも学力でも周りに勝てない、というコンプレックス。なんとなく私も、そういうふうに色んなもののせいにしている事も多々あるから、苦笑しつつ読み進めた。

    まだまだ最初の方で「長っ!!」と思っちゃった。これはなかなか辛いやつです。チャンの手記なんて文章を目にしただけで理解せず読み進めた箇所もある。嫌で。桐野夏生の小説はこれで2作品目、「メタボラ」を最初に読んだときも、ハッピーエンドで終わらなかったからか忘れたが、良い気分はせずで、この人の小説は自分に合わないのかもと思っちゃう。

    それもやはり、なんか救われないのよね、姉が。オチがそれかと。それになる?!って。周囲が娼婦とか、夜の世界に行ってしまうのは置いておいても、ユリオもなんか結局クソだし、クソに感化された姉もクソだし。姉だけは、良い学歴を活用しない姉だけは、やっと学歴を活用してまともに生きて欲しかった。40なんで確かに辛いとは思うけれども。

    でも死ぬならいっか~、って。

    ほらこの「結局『どうせ主人公も死ぬからね』」感がでたらもう駄目。夢オチ感。夢オチよりかはまだ生きてるかもだけど。こんな長々と書いておいて、結局クソ野郎ばかりかよ。ごめん自分も姉と同じく出来ない理由を完璧に作り上げているクソだけど。と謝りたくなる小説は苦手だ。うん、凄く苦手だ。

  • アメトーークの読書芸人で光浦靖子さんがオススメしていたので読んでみた。
    どうにか読み切ったが「好きじゃない」の一言に尽きる。
    内容もさることながら、この本自体が醸し出す負のオーラが半端ない。
    寝ながら読んで、お腹に置いたまま眠ってしまった時は金縛りに会い、枕元に置いて眠ると殺人者になる悪夢で目覚めた。

    かなり長編であり、内容的にも読みにくかったが、光浦さんのオススメという事で「いつか面白くなるかもしれない…」と期待して読み進め、読み切ったが、後味の悪さしか残らなかった。

  • チャンの中国生活の供述は辛すぎて読めなかった
    それが真実ではないと後で言われていたけど
    メインキャラクターに救いはない
    禍々しさしか書かれていない
    時々自分に重なるときがあり、それがまたグロテスクだ

  • おもしろかった。
    結構淡々とそれぞれの人の話が並べられててそれぞれの人が好き勝手に話したり書いたりしてるから矛盾があったりするけど、、、。
    和恵の日記はかなり「グロテスク」だった。
    靴下とか指輪とか手紙とか、恥ずかしいっってなった。

  • 読んでいて悲しくなりました。でも読んでしまいました。

  • 913.6キリ 2015.7.9

  • 主観と客観のギャップや思い込み、勘違いなどにより、自分と自分以外の人との真の理解は不可能だと思い知らされるような内容でした。

    モデルとなった事件をベースに、それから大きく飛躍した展開と結末に向けてのストーリーの収束が、長編でありながらも飽きさせない理由だと感じました。

    単純に奇妙な人間とだけでは解されない、まさに共感と嫌悪感を抱かせるようなそれぞれの人物像を作り上げる桐野夏生はさすがだと思いました

  • 週刊誌連載時に大半を読んでいましたが、改めて全体
    を通して読みたくなり、文庫本で入手。

    悪意に満ち溢れた物語。
    自己顕示欲だらけの、むきだしの物語。
    文字通り「グロテスク」な物語。

    ところが人は自分の醜い部分を敢えて物語で読みたく
    なる。

    桐野作品の常として、登場人物たちがどんどん肥大して
    読者を置いていく。視点を次々と変えて「真実」がわか
    らなくなる。
    でも、真実は一つか?誰もが単純な人格か?
    そんな物語を、楽しみとして人は欲するか?
    桐野夏生は、つまり、いつも読者の期待に忠実なのだと思う。

    徹底的に「悪意」を綴りながらもその果てになぜか
    爽快感すら与えてくれる。なぜなら出てくる女性たち
    がとことん戦って「勝つ」からだ。

    通勤の片手間に読めるような本ではなく、秋の夜長に
    こちらも戦う感覚で向き合うべき本。

  • これはグロテスクな物語ではない。この物語がグロテスクそのものである。グロテスクという概念の周りに言葉を並び立て、それらを順序立てて並び替えたものがたまたまストーリーを獲得しただけのもの。妬み、憎しみ、羨望、エロス、タナトス、セックス、貧困、不潔などなど。それらを一つの大きな壺にぼちゃんと入れてかき混ぜたら、はい、グロテスクのできあがり。

  • とにかく圧巻だった 百合子の手記と和恵の日記は凄く哀しくなってしまった

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著者プロフィール

1951年金沢市生まれ。1993年『顔に降りかかる雨』で「江戸川乱歩賞」、98年『OUT』で「日本推理作家協会賞」、99年『柔らかな頬』で「直木賞」、03年『グロテスク』で「泉鏡花文学賞」、04年『残虐記』で「柴田錬三郎賞」、05年『魂萌え!』で「婦人公論文芸賞」、08年『東京島』で「谷崎潤一郎賞」、09年『女神記』で「紫式部文学賞」、10年・11年『ナニカアル』で、「島清恋愛文学賞」「読売文学賞」をW受賞する。15年「紫綬褒章」を受章、21年「早稲田大学坪内逍遥大賞」を受賞。23年『燕は戻ってこない』で、「毎日芸術賞」「吉川英治文学賞」の2賞を受賞する。日本ペンクラブ会長を務める。

桐野夏生の作品

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