デッドエンドの思い出

  • 文藝春秋 (2003年7月26日発売)
3.59
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  • レビュー :407
  • Amazon.co.jp ・本 (229ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784163220109

作品紹介・あらすじ

人の心の中にはどれだけの宝物が眠っているのだろうか-。つらくて、切なくても、時の流れのなかでいきいきと輝いてくる一瞬を鮮やかに描いた5つのラブストーリー。

デッドエンドの思い出の感想・レビュー・書評

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  • いい本です。
    今、苦しさの只中にいて、「頑張れ、頑張れ」と力強く励まされるよりは
    隣にすわって肩をぽんぽん、と静かにたたいてほしい人。
    ビュービュー空気をかき回すハイテクエアコンの温風ではなくて
    小さなろうそくに灯った炎で、ゆっくり心をあたためたい人に。

    目次の隣の頁に、ドラえもんの腕時計の写真が載っているのですが
    私は幼いころ、同じ年頃のお友達ほど、ドラえもんが好きではありませんでした。
    『赤毛のアン』とか『若草物語』が大好きな、西洋かぶれの女の子だったからかもしれません。
    でも、大人になって、今、この本を読んだあとに
    ふすまの前で寛ぐドラえもんとのび太を見ると、なんだかしみじみと涙がこぼれます。
    ささやかな普通の暮らしの中で、寄り添って生きる幸せが溢れるようで。

    収録された5つの短編を、よしもとばななさんはあとがきで
    「どうして自分は今、自分のいちばん苦手でつらいことを書いているのだろう?」
    と思いながら書いた、つらく切ないラブストーリーばかりです、と綴っているけれど
    私には、包み込まれるような、温かい印象が残りました。
    つらい出来事が起こっても、そっと傍に来て思い遣りに満ちた言葉をくれる人がいて
    沈み込みそうになる主人公の心を揺るぎない日常に引き戻そうと
    突拍子もない行動に出る人がいて。
    男とか女とか、大人とか子供とか、そんなことは関係なく
    大切な誰かと、ただ寄り添ってこつこつと生きるのが、どんなに尊いことか。

    出産を控えての執筆だったというよしもとばななさん。
    新しい命を迎えるために、つらい記憶を物語の世界に解き放ち
    空いたところにきれいな空気をいっしょうけんめい吸い込もうとしているような一冊です。

    • まろんさん
      円軌道の外さん☆

      アンソロジーの中にあった『あったかくなんかない』があまりに素晴らしくて
      この短編が収められた本は絶対読まなきゃ!と思って借りてきたんです。
      もう、紹介してくれたアンソロジー、ありがとうー!!!
      と声を大にして叫びたくなるような本でした。

      ばななさんは、ずうっと前に『キッチン』と『つぐみ』を読んだきりだったんですが
      円軌道の外さんが最も影響を受けた作家さんとあらば、より張り切って読まなければ!
      薦めてくださった本、図書館で探してみますね(*'-')フフ♪
      2013/04/16
    • ニノミィさん
      こんばんは(^-^)/ ニノミィです。フォロバありがとうございました。本の感想を語り合いたくてブクログを始めたので、私のつたない感想を読んで、自分もその本を読んでみたいと思ったと言っていただけて、とても嬉しかったです。益田ミリさん、本当にオススメです。よしもとばななさんなら『哀しい予感』をオススメします。こちらもつらいお話のようで、どこかに希望を感じれる作品だと思います。初期の作品ですが、今でも一番好きな作品です。

      こちらこそ、これからよろしくお願いします(^O^)
      2013/04/17
    • まろんさん
      ニノミィさん☆

      おお!本の感想を語り合いたくて、ブクログにいらっしゃったんですね。
      私も、同じ気持ちで去年の3月にブクログを始めたので、とてもうれしいです♪
      益田ミリさんも、よしもとばななさんも、ニノミィさんの本棚やレビューを参考に
      わくわくしながら開拓していこうと思っています。

      本のことでおしゃべりしたくてたまらなくなったら
      ぜひまた声をかけてください!
      私もニノミィさんの本棚に、せっせとおじゃましようと思っているので(*'-')フフ♪
      2013/04/18
  • 少し前に観たグレーテルのかまどの「よしもとばななのロールケーキ」の題材がこの小説に収録されている「幽霊の家」で、懐かしいと思って10年ぶりに本棚から出して読んでみました。

    よしもとばななさんの小説に出てくる登場人物って、普通の人に見えるし実際普通の生活を送っているのだけど実は過去に特殊な経験をしているっていうパターンがけっこうあって、その悟りを開いたかのような人物に傷ついた主人公が癒されていくお話が多いと思う。
    それで、それを読んでいる自分もいつの間にか癒されている。意識していなかった過去の傷に優しく触れられているような。

    失恋だとか、人との関係で傷ついたりして、でもその傷を癒してくれるのもまた人だったりする。
    描かれているのはそういう普遍的なことだけど、何が自分にとっての幸せなのかを考えたり気づいたりするのって、傷や挫折から再生するときなんだなと改めて思った。普遍的だからこそ、そう思えたのかもしれない。

    自分が深く傷ついたとき、自暴自棄になって自分を大切にしていなかったかもしれない、という過去の経験があるのだけど、その頃のことを思ったとき、無理に自分を動かしたところで傷が癒えるわけもなくて、時には思い切り弱音を吐いて休むことも必要なのだと、この本を読んで思った。
    忘れて乗り越えたつもりでいても、実はずっと引っかかってることも、たくさんあるのだと思う。
    そういう様々なことが、人との出逢いでふっと解ける瞬間があって、この小説にはそういったことが描かれている。

    時を置いての再読はやはりいいものだと思いました。
    10年前の私は、どんな風にこの小説を読んだのだろう。

  • どのお話も切なくて、あたたかい気持ちになれる短編集。
    冒頭の『幽霊の家』が特に好きでした。
    時間を置いて読み返したい素敵な小説でした。

  • 大学の同級生である男女の出会いと別れ、そして再会に、普遍的な人生の営みを重ねた「幽霊の家」。会社を逆恨みする男によって毒を盛られたカレーを社員食堂で食べてしまった女性編集者の心の動きを描いた「おかあさーん!」。小説家の「私」が子ども時代に実家のある街で体験した男の子とのせつなく甘美な時間を回想する「あったかくなんかない」。そして、同じビルに勤める旅の雑誌を編集する男性への5年間の思いを実らせようとする女性の思いをつづった「ともちゃんの幸せ」など、痛苦に満ちた人生の局面にそれぞれのやり方で向かい合う女性主人公の姿が肯定的にとらえられている。

  • よしもとばななの本を読んでると無条件に泣きたくなる。
    この人、あるかななしかの淋しさを描くのがうますぎる。
    5編入りの短編集。
    「おかあさーん!」が一番好きで、次が「デッドエンドの思い出」かな。何れも切ない恋愛小説でした。

  • なんかよくわかんないんだけど、いつのまにか手に取っていて、気づいたらそばにある本、っていうのが私にはあって、その、妙に縁がある本の一つが、こちらです。

    さらっと読めるし、さらっと忘れちゃうんだけど(笑)、内容が薄いというわけではないです。
    あ、この感覚ってこういう風に表現できるんだ、って発見の連続でした。
    だけど、その感覚っていうのが、何かの真実とか、正義とか、そういうちゃんとしたもの(?)じゃないので、物足りない人にはそうかもしれません。

  • 作者があとがきで言っているとおり、これは「つらく切ないラブストーリー」の集まりです。実際、私も「つらいなぁ」としみじみ思いながら読んでました。でも、つらいだけじゃなくて、ちゃんとしあわせも入ってるから気持ち良く読めるんだろうな。

  • すべて、ちょっと切ないものがたり。
    でも最後は切ないだけで終わるのではなくて、
    少しだけ前に向いていける、少し輝くものが見つかるような、
    ”切ないけどいい思い出になる”ような物語でした。

    きっと誰しもこんな思いを経験して、大人になっていくんだな。。。
    と、自分の人生や経験にも少しだけでも共感できる部分が
    ちりばめられています。

    読み終わってきゅんとする、
    すてきな本でした。

  • ただただ途方もなく限りなく、
    未来へ続く、幸福で満ち満ちている本

    幸せとは何か、幸せをひとつの形として認識できる本。

    短編集ですが、
    「デットエンドの思い出」
    「おかさーん」
    が好きです。

    穏やかで静かで幸福でイチョウの木なのです。

  • 日本人はあまりセックスをしないと言われているのに、どうして小説では頻繁にその描写が出てくるのだろうか。

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