月ノ浦惣庄公事置書

  • 文藝春秋 (2003年6月11日発売)
3.63
  • (1)
  • (3)
  • (4)
  • (0)
  • (0)
本棚登録 : 33
感想 : 2
サイトに貼り付ける

本ページはアフィリエイトプログラムによる収益を得ています

本 ・本 (296ページ) / ISBN・EAN: 9784163220406

感想・レビュー・書評

並び替え
表示形式
表示件数
絞り込み
  • 第10回 松本清張賞

    「新しい歴史小説であり、法廷ミステリの傑作」とは松本清張賞選考委員・高橋克彦氏の言葉だが、まさしく新しい作品だった。
    今まで公事(現代でいう裁判)を取り扱った作品など読んだ事がない。読むまでは「読みづらいのでは」というような多少の危惧もあったが、全く心配はいらなかった。
    琵琶湖北岸にある小村・月ノ浦と、隣村との領地争い。これが本作品の中心に据えられた問題だ。そこにさまざまな人々の思惑や怨念・疑念が絡みつき、奥深い傑作となっている。右近と新次郎という月ノ浦の年行事(=代表者)が東奔西走し、幕府・宗教界をも含めた大規模な公事へと発展する様は読み応え十分だった。
    とりあえずは中世社会の表裏を活写する本作品に拍手!
    2003年・My Bestを挙げるなら、間違いなくこの作品で決まりである。
    普通の時代小説に飽きた方にはぜひ読んでもらいたい名作です。

    2003年6月/文藝春秋/単行本

  • 農民といえば権力者の横暴にただひたすら耐える存在として描かれる事が多いが、この本の農民達は武器を持って戦ったり、幕府や朝廷に公事(裁判)に訴えたり、非常に生き生きとした存在として描かれている。合戦とかの派手さはないが、様々なお約束を含んだなかなか良い作品です。

全2件中 1 - 2件を表示

著者プロフィール

1958年岐阜県生まれ。一橋大学卒業。1996年「一所懸命」で小説現代新人賞を受賞しデビュー。98年『簒奪者』で歴史群像大賞、2003年『月ノ浦惣庄公事置書』で松本清張賞、04年『村を助くは誰ぞ』で歴史文学賞、08年『清佑、ただいま在庄』で中山義秀賞、14年『異国合戦 蒙古襲来異聞』で本屋が選ぶ時代小説大賞2014をそれぞれ受賞。『太閤の巨いなる遺命』『天下を計る』『情け深くあれ』など著書多数。

「2017年 『絢爛たる奔流』 で使われていた紹介文から引用しています。」

岩井三四二の作品

  • 話題の本に出会えて、蔵書管理を手軽にできる!ブクログのアプリ AppStoreからダウンロード GooglePlayで手に入れよう
ツイートする
×