黒い悪魔

  • 文藝春秋 (2003年8月7日発売)
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本 ・本 (464ページ) / ISBN・EAN: 9784163220505

感想・レビュー・書評

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  • 著者の作品を読むのは本当に久しぶり。フランス史の歴史小説。主人公のことは本作を読むまでは全く知識なし。それでも楽しく読めたのもいつも通り。主人公が理屈っぽく鬱屈するのもいつも通りだが、今回はちょっときつかった。共感半分、うっとおしい半分。現代の会社社会でもよくある感情。

  • 奴隷から将軍になった男

    カリブ海のコーヒー農園の白人農園主と黒人女奴隷との間に生まれた混血児が、父の祖国フランスへ渡り、軍人となる。
    やがて膚の色と勇猛な巨躯から、敵に「黒い悪魔」と恐れられた。
    皇帝ナポレオンも一目おいた文豪デュマの父親の破天荒な人生。


    主な舞台はフランス、フランス革命の頃。
    この時代を取り上げた作品はたくさんありますが、奴隷から這い上がった主人公の視線からの作品は面白いです。
    この主人公の心の葛藤や不器用な生き様も、その魅力の1つであります。
    ナポレオン・ボナパルトとの確執が非常に面白い。
    一見すると出世物語のようですが、その半生から家族や息子(「三銃士」の作家であるデュマ)が希望となり後の文豪を誕生させることになるのですね。

  • 紫苑をイメージしちゃったわ

  • 強い。
    ちょっと性格があれやけど、豪快さが気持ちいい。
    息子の話も読まないと。
    あ、三銃士読んでねえや。
    まずそっち読まないと。
    最後の方読みながら、今の息子が自分をどう見るのか考えてしまって、なんかちょっとへこんだ 笑 。さすがにここまでのヒーローにはなれまい 笑 。

  • アレクサンドル・デュマの父を描いた作品。
    白人農場主と黒人奴隷の間に生まれたアレクサンドル・デュマが、将軍にまで上りつめる。

    傲慢でコンプレックスを抱えた主人公は魅力があるとは言えないが、時代の流れと生き方は面白かった。
    主人公の生き方が、後の作家デュマに影響していると思わせる描写も楽しい。

  • 2013年50冊目

  • P.167
     いかにも積極果敢で結構なかぎりであるが、それが例外ひとつ認められないとなると、現場は閉口せざるをえない。命令に従わない場合は無論のこと、あまりの困難に逡巡の態度を示しても、あるいは無茶を強行したあげくに惨敗を喫しても、すぐさま将軍は引責され、問答無用に更迭を言い渡されてしまうのだ。人民を裏切る行為だとか、祖国の敵とみなさなければならないとか、さんざ誹謗中傷されたあげくに、ときには断罪されてしまうのだから、これでは堪ったものではない。

    P.177
    びくびく主人の顔を窺うばかりで、どうすれば気に入られるか、それしか考えられなくなってしまうからだ。
     そんな自分は大嫌いだと思うのに、卑屈に言葉を選ばなければ済まされない。どれだけ従順な僕を演じても、心が救われるわけではない。生きるとも、死ぬとも、自分では明日を決められないからだ。他人に運命を握られながら、ただの一瞬も自由を感じられないからだ。その息苦しさが最近、やけに思い出されてならない。

  • あのデュマの父上が、こんなにドラマティックな重い人生を生きた人だったとは知らなかった。庶子としての父との対立、黒人の血、軍での活躍、恋による改心、革命、ナポレオンとの対立、砒素。このドラマがなければ、デュマのあの作風も生まれなかった様な気がする。

  • 2010.09.19

  • 佐藤賢一のアレクサンドルデュマ三部作?のその1.
    アレクサンドルデュマの父が軍人として活躍する部分を描いている。なにげに、三部作の最初の巻を最後に読むことになってしまった・・・
    父と子の関わりや思いを3部作で表現していて、しかも3人とも結構人生のすごしかたが結局にているのが印象的。
    結局、真ん中の褐色の文豪がメインで、本作は著作の元となった父の活躍を描き、象牙色の賢者は後日談を書いているような気がする。
    一巻だけでもそれなりに読めるだけでなく、3つ全部よむとまた別の見えてくる側面もあると思う

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著者プロフィール

佐藤賢一
1968年山形県鶴岡市生まれ。93年「ジャガーになった男」で第6回小説すばる新人賞を受賞。98年東北大学大学院文学研究科を満期単位取得し、作家業に専念。99年『王妃の離婚』(集英社)で第121回直木賞を、14年『小説フランス革命』(集英社/全12巻)で第68回毎日出版文化賞特別賞を、2020年『ナポレオン』(集英社/全3巻)で第24回司馬遼太郎賞を受賞。他の著書に『カエサルを撃て』『剣闘士スパルタクス』『ハンニバル戦争』のローマ三部作、モハメド・アリの生涯を描いた『ファイト』(以上、中央公論新社)、『傭兵ピエール』『カルチェ・ラタン』(集英社)、『二人のガスコン』『ジャンヌ・ダルクまたはロメ』『黒王妃』(講談社)、『黒い悪魔』『褐色の文豪』『象牙色の賢者』『ラ・ミッション』(文藝春秋)、『カポネ』『ペリー』(角川書店)、『女信長』(新潮社)、『かの名はポンパドール』(世界文化社)などがある。

「2023年 『チャンバラ』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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