クライマーズ・ハイ

著者 :
  • 文藝春秋
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本棚登録 : 1695
レビュー : 293
  • Amazon.co.jp ・本 (421ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784163220901

作品紹介・あらすじ

北関東新聞の古参記者、悠木和雅は、同僚の元クライマー、安西に誘われ、谷川岳に屹立する衝立岩に挑む予定だったが、出発日の夜、御巣鷹山で墜落事故が発生し、約束を果たせなくなる。一人で出発したはずの安西もまた、山とは無関係の歓楽街で倒れ、意識が戻らない。「下りるために登るんさ」という謎の言葉を残したまま-。未曾有の巨大事故。社内の確執。親子関係の苦悩…。事故の全権デスクを命じられた悠木は、二つの「魔の山」の狭間でじりじりと追い詰められていく。

感想・レビュー・書評

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  • 1985年8月12日 群馬県御巣鷹山に墜落した日航ジャンボ機
    その惨劇を伝えるべく奮闘する地元紙 北関東新聞の記者達

    上司の圧力に屈することなく、地元紙であるからこそ「詳報」にこだわり続けた墜落事故全権デスク 悠木和雅の熱い闘い

    毎日のように御巣鷹山に登り、現場を伝えた佐山と神沢

    34年前、テレビに釘付けになって、日本中の人々が、事故の詳細を追ったあの緊迫した日々を思い出した

    同僚 安西が最後に残した言葉 「下りるために登るんさ」の意味を考え続けた悠木は、安西が北関東新聞をやめ、山の世界に戻る事をその言葉に込めたことを知る
    しかし、悠木は、敢えて「下りない 」ことを選択し、草津の片田舎に追いやられても、記者であり続けた
    その生き方も、かっこいい

  • 群馬の地方紙の記者達の、未曾有の航空機事故発生からの1週間の暑い日々。
    17年後、記者として、父として、自分に向き合った悠木は、谷川岳衝立岩に挑んでいた。

    新聞が発行されるまでの緊迫した状況に、常にドキドキしながら読み進めました。
    携帯のない、ようやくポケベルで連絡を取り合う時代だからこその焦れったさが、そのドキドキに輪をかけていたように思います。

    事故の悲惨さは、当時も連日の報道で見聞きしていましたが、今回また改めて思い出しました。
    現場に向かう記者、それを総括するデスク、必要な情報、生かしたくても生かせない記事、部外者としては歯がゆくて仕方がなかったですが、この世界には当たり前の事なのですね。
    組織に翻弄されながらも熱く戦う男達に魅了されました。
    悠木が隔壁の記事に踏み切れなかったところは、事実を知っているだけに苦しく悔しかったです。

  • 日々手元に届く新聞ができあがるには、こんな裏事情があるのだということを知った。この著者は12年間記者をしていたとのこと。だからこんなに臨場感あふれる描写ができるんだろうなと思った。
    著者が一番伝えたいことは一人一人の命の重さなんだろう。マスコミで派手に報道され多くの人が悲しむ死と誰にも知られずひっそりと去っていく死と、命の重さに差はあるのかどうかということ。この問いを読者へ訴えるためにこれだけ多くの伏線があり、多くの人物が描かれ、壮大な物語になっているところがやはり作家というのは筆力があるなあと思った。
    出てくる人物がそれぞれの場所で懸命に生きていて、読後感が良い話だった。

  • 大好きな横山秀夫さん作品の中でも、特に印象深い一作。
    最大の航空機事故となった、日航ジャンボ墜落事故。群馬県御巣鷹山に墜落し、520名もの犠牲者を出した実在の事故を追いかける、架空の新聞社、北関(キタカン)の悠木を中心に物語が進む。
    登山家が頂上を前に感じるという高揚、クライマーズハイ。ジャンボ墜落を追いかける中で、悠木が感じたクライマーズハイが、仕事、登山家である同期、部下、上司、家族の中で揺れ動く葛藤と共に描かれ、読み手の心を揺さぶります。

    必読。

  • とても面白かった。新聞社内の権力争い・親子関係・新聞記者たちの奮闘が、ヨク描かれていました。横山秀夫さんの著作は何冊か読みましたが、一番面白かったです。

  • 新聞社を題材にした話ということで、
    少し前に読んだ堂場瞬一さんの『虚報』と重なった。
    辛かった。半泣きになりながら読みました。
    読み進める辛さも『虚報』と被りました。
    そんなに辛いんなら読むのやめりゃいいのに、何故かやめられなかった。

    確執に次ぐ確執。あちらを立てればこちらが立たず、というのは判る。
    しかもそれぞれがそれぞれの職責に真剣だからこそ起こる確執。
    (販売局の伊東だけは出自をネタに圧力をかけるのが汚ねぇなと思ったが)
    上からも下からも横からも家族からさえも突き上げられ、
    四面楚歌とはこのことか、と思った。
    家庭にも居場所がないと感じてるんじゃあまりにも辛すぎる。
    衝立岩を踏破したときに燐太郎くんが言った言葉がほんの少しの救いだったか。

    とにかく読んでて辛かった。
    こんなものが社会の縮図だと信じたくない自分は甘いということなのか。

  • 1985年の日航機墜落事故で地元「北関東新聞」の全権デスクを任された主人公の一週間を描いてた内容でした。
    また、これはひとりの地方新聞社のデスクが、日航機墜落事故取材を通して、ひとの命の重さ、仕事のあり方、そして親と子の絆を描いた素晴らしい作品だと思いました。

  • とても、記憶に残る現実。当時高校生だったワンダーフォーゲル部の友人は、あの山に登っていました。夏の息苦しくなる暑さを感じると思い出す一冊。

    • 猫丸(nyancomaru)さん
      「記憶に残る現実。」
      ズッシリ重い。この横山秀夫作品ではなく現実が、、、
      誰も助かる訳ない。と思ってしまったコトを思い出して落ち込む。。。
      「記憶に残る現実。」
      ズッシリ重い。この横山秀夫作品ではなく現実が、、、
      誰も助かる訳ない。と思ってしまったコトを思い出して落ち込む。。。
      2013/06/12
  • 4.6
    面白かった、やはり私はミステリーやサスペンスより、ストレートな話しが好きなようです。
    熱い男達が出てきます。
    自分自身の仕事に向かう姿勢を考えさせられる一冊でした。

  • 新聞記者の人生が日航機墜落事故によって大きく揺さぶられ、生き方を見つめ直すまでに翻弄される記者の物語。
    記者の記事に懸ける情熱がよく伝わってきたし、スピード感もありました。
    横山作品は短編が多いですが、これは著者初の長編作品です。
    読み応え充分で、満足しました。

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著者プロフィール

横山 秀夫(よこやま ひでお)
1957年東京都生まれ。国際商科大学(現・東京国際大学)卒業。1979年に上毛新聞に記者として勤務。『ルパンの消息』でサントリーミステリー大賞佳作を受賞したのをきっかけに退社。以後フリーランスライターとして活動。1998年「陰の季節」で第5回松本清張賞を受賞し小説家デビュー。2000年『動機』で第53回日本推理作家協会賞(短編部門)受賞。2002年『半落ち』が「このミステリーがすごい!」1位となり、第128回直木賞候補作となるが、そこで起きた様々な論議から、直木賞決別宣言を出すに至る。『半落ち』は2004年に映画化されて高い評価を得ている。その後、2004年『クライマーズ・ハイ』で第1回本屋大賞第2位、映画化されヒット。2013年刊行の『64(ロクヨン)』で第10回本屋大賞第2位、「このミステリーがすごい!」「週刊文春ミステリーベスト10」各1位を勝ち取り、大ヒットとなった。

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