コーネルの箱

  • 文藝春秋 (2003年12月10日発売)
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Amazon.co.jp ・本 / ISBN・EAN: 9784163224206

みんなの感想まとめ

シュルレアリスムやモダニズムをテーマにした作品は、ジョセフ・コーネルの独創的な箱を通じて、美術と文学の交差点を探求します。著者たちは、コーネルの作品に触発された詩的なエッセイや写真を通じて、彼の芸術世...

感想・レビュー・書評

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  • 以前図書館で借りたものの、なんとなく途中で返してしまった本。
    小川洋子さんと堀江敏幸さんの共著、「あとは切手を、一枚貼るだけ」のなかにシュルレアリスムやコーネルのことに触れられていて、そう言えばと思い再び手に取りました。

    シュルレアリスムや美術と文学におけるモダニズム、形而上学的芸術作品など、いまいちよく分からないけれど(それにコーネルはシュルレアリスムの教義全てに従ったわけではないらしい)芸術的に素晴らしく美しいものやニューヨークの街のそこらへんにころがっていそうなガラクタまでも等しく愛し、コレクションしては箱に閉じ込めて来た彼の作品は独創性が強く心が惹き付けられるし、それに触発されて(?)シミックが寄せる詩と言うよりは随筆的なものも私には少し難しいものも多かったけれど非常に美しかったり、切なかったり、はっとさせられたりしました。

    コーネルの箱のたくさんの写真や解説のおかげで分からないなりにも何とか最後まで読めたと思う。

    1930年代から40年代のものは割とカラフルだったり実に様々なものを箱にとじこめているけらどか、1950年代以降の作品になると色も含めて非常にシンプルになって行ってるのが興味深かった。

    亡くなった日の朝に妹に電話で「いままで内気にふるまいすぎた」と語っていたコーネルですが、「あとは切手を、、、」でも触れられていたのですが、映画館の切符売りの女性に思いを打ち明けようとした時のエピソードもなんとなく、とてもコーネルらしいのかなと感じました。

  • ジョセフ・コーネルの箱(作品)が好き。こんな本があったのかと、面白く読んだ。作品解説ではなく、コーネルの伝記でもなく、コーネルに着想を得た詩のようなエッセイのようなテキストと写真が並ぶ。作家による自分にとってのコーネル。
    国内で見られる(美術館の閉館と移転で、この先も見られるかはわからないのだが)川村記念美術館のコレクションを思い出すが、翻訳の柴田さんが後書きで挙げる参考資料には川村の本も含まれていた。

  • フランス文学のレポートでブルトンの『宣言』を扱ってコラージュを論じた関係で、書棚のシミックを呼び出した。ふらふら歩くとたまに遭遇する、そんなモノどうしが奏でるSF的交感。歩くことの愉楽を思い出させてくれたうえ、初めて佳いレポートを執筆できた。

  • 内表紙を開けると、見慣れた女が少しこわばった表情をしてこちらを見返していた。パルミジャニーノ描く『貴婦人の肖像(アンテア)』は、私のお気に入りの一枚で、長らく書斎の壁を飾っていた。もちろん複製だが、好みの額を買い求め、自分で額装したものだ。硝子の中にもう一枚厚手のマット紙を挿入し、二重に封じ込めた密閉された空間に気に入った女性を閉じ込める作業は、相手がうら若き女性ということもあって、『コレクター』を思い浮かばせるどこか背徳的な匂いの漂うものであった。

    新聞に載った新刊本の広告に何かしら引かれるものを感じたのだったが、箱の中に秘匿された女性までが共通するとは思ってもみなかった。しかも、多くの箱が乾涸らび、塗料の剥げ落ちた質素な木枠で飾られている中で、無題ながら『ラ・ベラ』と呼ばれるこの作品は、木枠も額を思わせる凝った作りでワニスの艶も申し分がない。その代わり箱の内部はかえって古い壁のように塗り直された塗料が蝋涙のように垂れ下がり、小さな木片を通して細い釘で留められ、展翅板の上の蝶さながらアンテアはその中に塗り込められていた。

    「ニューヨークの古本屋や古道具屋を漁って、古い書物、ポスター、小物などを集め、それらを木箱に収めて、小さな宇宙をつくる。それが、ジョゼフ・コーネルの主たる方法だった。人形、白い玉、ガラス壜、バレリーナや中世の少年の肖像、パイプ、カラフルな鳥、金属の輪やぜんまいなどを精妙に配置してつくられたそれらの小宇宙は、子供のころ誰もが親しんだ玩具を連想させる一方で、どこか神秘的で、霊的とさえいえる拡がりをもっている。誰にでも真似できそうでいて、その荘厳な郷愁ともいうべき雰囲気は、この芸術家にしかないオーラをたたえている。」と、訳者である柴田元幸が書いている。

    コーネルは地下室に作られた工房でひっそりとこれらの作品を作り続けていたという。何処かに異国情緒やノスタルジーを漂わせる抒情性とアメリカ的な日常性の奇妙な混淆が特徴的で、無意識な自動記述を特徴とするシュルレアリスム芸術の持つ突拍子もない組み合わせからは遠い。たまたま、シュルレアリスムの運動が、アメリカに紹介された時代に遭遇したことが、コーネルにとって幸いした。「絵も描けず彫刻もできずに美術品を作」る男は、こうして生み出されたのである。

    著者のシミックは詩人。長い間、彼はコーネルの方法を借用したいと考えていた。コーネルが物について行ったことを言葉で行うという試みだ。それが成功しているかどうかは読んだ者が判断するしかない。オブジェに触発された詩が、オブジェに新たな物語を付す。流行りの言葉で言えばコラボレーションだが、コーネルやシミックの好きな言葉を使うなら万物照応(コレスポンダンス)だろう。共鳴し合う資質を持った二人が至福に満ちた共演を繰り広げている。

    男の子は小さい頃から硝子瓶や箱の中に何かを蒐集しなくてはいられない性癖を持つものだが、中には長じてもそれから逃れられず、偏愛の小物を拾い集めては箱の中に組み込んでオブジェを作るような者もいる。箱や瓶は小さいながら宇宙そのものの暗喩である。コーネルの箱は、時代が進むに連れ、詰め込まれる物が減り、最後の方はただただ白く塗られた箱の中にホテルの名が書かれた紙が貼られているようなぽっかりと空いた空間に占有されるようになっていく。それが何を象徴しているのかは作者ならぬ身の知る由もないが、不思議に身につまされるものがある。

  • コーネル芸術との照応が新たな作品となっている。大切なものに触れた気持ちがした。それは 私の中にもある泉。この本は秘密の宝物だよ。

    ・いままで内気にふるまいすぎた:最期の言葉
    ・フェルメールとバービードールの両方を愛した本格的な芸術家がほかにいるだろうか?

  • コーネルさんが作った箱にシミックの詩が添えられている。
    コーネルの箱も、シミックの詩も素敵。相乗効果でよりよいものになってる。
    詩を読むのは苦手だったけど、シミックの詩はするする読める。
    心の栄養剤になる…というよりは、心で肉を食べたような精神の充足感があった。
    数年後に再読したい。

  • ジョセフ・コーネルがしたように、心臓のなかに小さなばら色の城を打ち建てたい。そうすれば深く潜れるだろう。こどもの万能感は大きなものへの遠眼鏡となる。いや、ならないか。

  • しびれる。

  • 詩のような目次をながめているだけでうっとりします。

  • 2003年 チャールズ・シミック 訳.柴田元幸
    (「Dime-Store Alchemy(十セントショップの錬金術)」)

    NOTE記録
    https://note.com/nabechoo/n/n455a23fe107e

    この本は作品集ではなく、「作品にインスピレーションを得た散文詩集というか、作品の自由な翻訳というか、そんな趣をもったこの本」(訳者あとがきより)で、3部構成で、1篇1~2ページ程のものが60篇ある。

    シミックによると、「彼が愛した詩人たちの精神にのっとって書いた、短い文章の連なり」そして、コーネル本人が書いたように、「妄執に形を与えようとする懸命の企て」であると書いている。

    作品のカラー写真は34点載っている。部分写真なんかもあったりするので、作品数的には24点かな。にしても、やはり現物をナマで観てみたいよなー。サイズに意外性感じそう。細部や横、裏とかも気になるしー。

    「芸術は創るものではない、見つけるものだ。すべてを芸術の素材として受け入れるのだ。 シミック」

  • 友達から勧められて貸してもらったんだが、うーん、よくわからなかった。

  • 本書は、詩人チャールズ・シミックが詩や散文を通じて綴るノンフィクションであり、20世紀の革新的な芸術家ジョゼフ・コーネルへの賛辞でもある。ユーモアを交えた詩人の筆致で、コーネルの人生の細部を鮮明にし、彼の作品の本質を浮かび上がらせる。

    コーネルは、一種の魔術師だった。世界を注意深く観察し、些細なものの中に輝きを見出す。そのインスピレーションは、ときに執着にも似た情熱となり、日常に埋もれた物たちを神秘的な宝物へと変えていく。

    コーネルの箱——それは、見る者の目と想像力を最良のガイドとする、不思議で魅力的な世界。

  • コーネルの箱

  • コーネルの作品の解説と言うのではなくて、著者がコーネルの作品や創作、生涯などにインスパイアされながら描き出したもの。

    ニューヨークの街が大事な舞台になっている。

  • 額がなければ絵画は成り立たない。
    額に収めることで世界を閉じ込める。閉じ込められた世界はそこで広がっていく。なんかもう、この本手に持っているだけで興奮する。

  • 注釈が多いのが気になって、コーネルについてそこそこ知らないと読みにくいような感じ。

  • 美しい。
    この、「箱の中に入れてしまいたい」欲求が、こちらに伝染してくる。

  • ああ、確かに、エミリー・ディキンソンに通じる気がします。

    箱のなかの子ども。

  • 新刊「ジョゼフ・コーネル 箱の中のユートピア」が
    なかなか手に入れられなくて、図書館でこの本を見つけた。
    コーネルの箱について詳しく載っているというより、
    詩人である著者とコーネル作品のコラボのような。
    コーネル作品をモチーフにした著者の作品のような。
    期待とは違ったけれどよみごたえあり、
    あとがきや注釈では訳者によるコーネル作品の説明もあるし
    きれいな図版も載っていて、よかった。
    あとがきによると、
    コーネルについてあまりたくさんの本は出てないみたい。
    が、たぶん日本で発売決まる前?の
    「箱の中のユートピア」のこともあとがきに載っていた!
    そちらを読むのがますます楽しみに。

  • 孤独な世界…
    白い世界…
    心の世界…
    虚無の世界…
    私はとても共感しました。
    柴田 元幸さんの文章も素敵です。

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