邂逅の森

著者 :
  • 文藝春秋
3.86
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本棚登録 : 339
レビュー : 78
  • Amazon.co.jp ・本 (480ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784163225708

作品紹介・あらすじ

「家に帰って、妻の手を握りたい」熊に足を喰われ、朦朧とする意識の中で富治はそのことだけを考えた。奔放に生きてきた富治を巨大熊に向かわせたものは何か。俊英がおくる感動の物語。

感想・レビュー・書評

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  • 直木賞アーンド山本周五郎賞受賞作です~。
    大正時代の東北を舞台にした猟師マタギの生き様を描いた長編小説です。

    いや~~~~~。
    これは凄かった!!

    最初読み始めたときは
    「え~?猟師のはなし~?」てな感じでちょっと躊躇したのよ。
    でも、それがどっこい。
    こんなに奥の深い小説を読んだのは初めてです。
    かなり感動してて興奮してて、何から感想を述べていいのか分からない。

    まず、驚いたのはマタギという仕事が、こんなにも神聖で先祖から仕来りや技、意志を代々受け継がれている仕事だとは思わなかった。ただ単に動物を殺して売りさばいてる仕事としてしか知恵がなかった自分を恥じました。
    殺生な仕事だからこそ、そこには山の神様との関係が根強くあり、それを大切にとりもって仕事が出来るのだと思う。

    そして、親子の絆と夫婦の絆。
    親が子を思う気持ちほど大きいものはないし、愛し合った夫婦こそ絆の強いものはない。
    村を追い出され何十年かぶりに帰郷した富治を見た富治の母親の姿。
    子供のために身を削ってまで働いて娘を嫁に出した富治夫婦。
    富治の初恋を成就させるために、自ら身を引こうとしたイク。
    村の区長に言われ、なんとなく結婚してしまった富治とイクだったけど、長年連れ添った仲でいつの間にかお互いに大切な存在だと気づいた富治とイク。
    富治がイクを探しまわって、最後に見つけた因縁のあるお店での再会。これには泣けました。
    なーんかね、「ああ、夫婦っていいな~」って思っちゃった。

    何度もクマを撮り、最後クマに足まで食べられながらも、最後はクマに助けれるところも感動。

    そして、出てくる登場人物もみーんな味があって良い!
    もうね~、1ページ1ページに読んでる意義があって、この一冊で人生を学べた感じがする。
    もっともっと言いたいことがあるのに、何を言っていいかわからない。
    大声で泣きたい心境です。
    ほんと感動した。感動して泣きたい。

    これは是非いろんな人に読んでもらいたい本です。

  • この本には人間の強さというのがこれでもかというくらい描かれてました
    対するクマも本当に強かった…
    人間対クマの本気の勝負にはハラハラドキドキしてしまいました

    生きるということはこういう事かもしれません
    主人公の燃えるような人生に、心が熱くなりました

    こんな強烈な作品は初めてですね
    直木賞・山本周五郎賞受賞というのも納得の大傑作でした

  • 本当に久しぶりに読み応えがあって感動する小説に出会いました。

    先日熊谷さんの『バイバイフォギーデー』を読み終わって,著者紹介の欄をみていると,熊谷さんには山本周五郎賞と直木賞をダブル受賞した作品があって,それがこの『邂逅の森』だということを知った。

    もうづいぶん前に出た本だったので,いそいそとTSKへ出かけると本は有った。連休中のこととて日中から一晩で読了してしまった。

    本当に感動的作品です。

    最近のこの種の重いというか深いというか,内容の濃い作品わとても少なくなってしまったような気がする。

    濃い作品の例をあげると,夢枕獏の『神々の嶺』とかさ。

    代わって,このごろは軽くてすぅらすらと読める作品が多いなぁ。

    いやべつに,軽くて読みやすいお話が悪いというつもりは無かんす。

    ただ,時々はこういう深重の作品もよまねばねばなぁ~と思ったのです。

    すまんこってす。すごすご。

    • tsuzraさん
      こんばんわ。
      私もこの作品には本当に感動して、しばらく余韻が残りました。
      人生が途中で展開していく面白さと、自然の厳しさと狩りの臨場感と、運...
      こんばんわ。
      私もこの作品には本当に感動して、しばらく余韻が残りました。
      人生が途中で展開していく面白さと、自然の厳しさと狩りの臨場感と、運命と、人間の鬼の部分も書かれ、重厚な内容。
      大好きな作品です!
      時々はこういう作品に出会いたい…同感です。
      2012/05/07
    • ryoukentさん
      わぁ、つづらさん、おひさしぶりぶり。
      お元気ですか、わたしは『元気です!』
      この作品もっと早く読めば良かった、と思います。
      そして今はそのほ...
      わぁ、つづらさん、おひさしぶりぶり。
      お元気ですか、わたしは『元気です!』
      この作品もっと早く読めば良かった、と思います。
      そして今はそのほかの熊谷さんの本にくびったけ状態です。あな、嬉し。
      2012/05/07
    • tsuzraさん
      はい、元気です!
      熊谷作品「バイバイ・フォギーデイ」は政治ものなのですか?
      ryoukentさん、5つ星ですね。
      図書館に予約してみようかな...
      はい、元気です!
      熊谷作品「バイバイ・フォギーデイ」は政治ものなのですか?
      ryoukentさん、5つ星ですね。
      図書館に予約してみようかな。
      2012/05/08
  • 時は大正時代、東北の山深い村に住むマタギの青年・松橋富治は
    身分の違う娘との恋に落ち故郷を追われてしまう。
    その後採鉱夫として働くこととなりさまざまな経験、さまざまな人との出会いをしていく中で
    富治はマタギへの情熱を再燃させてゆく。

    とても壮大な自然が目前に見えてくるような小説だった。
    序盤はマタギの「山言葉」に慣れずになんどもページを戻ったりして読みにくかったけども
    富治の波乱に富んだ人生にぐいぐい惹き込まれた。
    獲物を得るというよりも「山の恵みを授かる」という自然への畏敬の念にあふれたマタギの掟のあまりの厳しさに驚くけれど、こういう想いはとても大切なことだなと思わされる。
    今のような世の中だと余計に自然に対して心が傷んだ。
    そして富治をとりまく二人の女性の心持ちがとても印象的。
    控えめな中に芯の強さと忍耐強さがあって大正時代の女性のしたたかさを感じる。
    ラストはとても緊迫感があってまさに雄大な自然との対決が繰り広げられる。
    ついつい目を背けたくなるような描写もあるのだけど富治のひたむきなマタギとしての想いが伝わってきた。

  • ★2004年度山本周五郎賞

    配置場所:1F電動書架C
    請求記号:913.6||Ku 33
    資料ID:W0126657

  • かなりハードな世界、マタギの話。全く知らない世界だから新鮮な男の世界を見る思いでした。

  • 橋本愛主演の映画『リトル・フォレスト』に、母親の本棚にあった本を読もうとした彼女が、「自分で読む本ぐらい自分で選びなさい」と母親から言われ、母親が買った本を娘は読ませてもらえないシーンがありました。私も自分で読む本は自分で選ぶようにはしているけれど、知人友人からなかば無理やり貸された本に感銘を受けるのもよくあること。本作は直木賞受賞作といえども、自分では絶対に選ばない難しそうなタイトル(笑)。半年以上前に貸されて放置していましたが、読んでみればとても面白かった。狩猟で生計を立てる、秋田の「マタギ」の話で、厳しい自然の中で生きる男の人生を描いています。男を取り巻く、肝の据わった女ふたりもイイ。秋田出身の私の父にも薦めようと思います。きっと東北弁を懐かしがるはず。

  • 1/405

  • 近年のライトノベルでは「異世界転移モノ」が活況だそうで、本作もある意味で異世界転移モノといえる。
    主人公は親に倣いマタギとして狩りに出始めた若者であったが、とある事件により故郷を追われ、同じ山でも鉱山という別世界に飛び込む羽目になった。
    なんとか鉱夫として独り立ちし、弟分もできて落ち着いてきた頃、その弟分が休みの日に山に入り猟をしていることを知る。
    主人公はマタギの世界ではほんの駆け出しであったが、装備も狩りもおぼつかない鉱夫たちからすれば「狩りの達人」となる。
    このギャップにより「異世界に転移して無双」へ至るという展開がとても自然であり、その一方で「前奏が長い」みたいなテクノサウンドへの心無い批評みたいなことにもなる。
    (個人的にはこれくらいの前置きがあってもいいと思うのだけど、実際にはいろいろと難しいのかもしれない)

    東北地方の鉄道網の延伸がところどころで出てきて、これが自然と文明のせめぎあいのひとつの象徴として描かれている。
    民俗史的な裏付けもかなり取材しているようで、当時の奔放な性愛についてもかなりストレートな描写がある。
    特に妻となるイクに関しては、魔性の女が婚姻を経て良妻賢母へ変貌するあたり、ある種の神話を髣髴とさせる。

    今年は「真田丸」や「シン・ゴジラ」、「この世界の片隅に」などの徹底的にリアリティを追求した作品が話題を呼んでいることもあって、こういう静かに、しかし懸命に生きていく人の話はもっと注目されてもいいのかも知れない。

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プロフィール

熊谷 達也(くまがい たつや)
1958年仙台市生まれ。東京電機大学理工学部卒業。中学校教諭、保険代理店業を経て、'97年「ウエンカムイの爪」で小説すばる新人賞を受賞。2000年には『漂泊の牙』で新田次郎賞を、'04年『邂逅の森』で山本周五郎賞に続き直木賞も受賞。同一作品での両賞同時受賞は史上初の快挙。近年は宮城県気仙沼市がモデルの三陸の架空の町を舞台とする「仙河海サーガ」を書き続けており、同シリーズには『リアスの子』『微睡みの海』『ティーンズ・エッジ・ロックンロール』『潮の音、空の青、海の詩』『希望の海 仙河海叙景』がある。

邂逅の森のその他の作品

邂逅の森 (文春文庫) 文庫 邂逅の森 (文春文庫) 熊谷達也
邂逅(かいこう)の森 Kindle版 邂逅(かいこう)の森 熊谷達也

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