- 本 ・本 (184ページ)
- / ISBN・EAN: 9784163226309
感想・レビュー・書評
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糸山さんのデビュー作。
ぜんぜん本筋(本筋があればの話だけど。なんせイッツオンリートクなんで)とは関係ない部分でなんか泣きそうになった。
元ヒモでギャンブラーのいとこが自殺しようとしているのを電話で叱咤して、呼び寄せて空港で到着を待っているシーン。
「行き交う人たちはとてもまっとうで、自殺未遂のいとこを迎えに来ていることがなんだかとてもくだらない、それでもじっとしていると体が震えるようだった。早く来い、早く姿を見せろ、と思った。」←混乱までいかない素直な戸惑いの気持ちや緊張感や優しさが溢れていていい文章だと思いました。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
「第7障害」がよかった。
忘れなくていい、が心に響いた。 -
「俺ね、順子さんの顔見るとほっとするんだ」
「なんで?間抜け面だから?」
「違うよ。すぐ顔を思い出せなくなるんだよ、だから顔見ると、ああ今は探さなくていいんだって」 -
表題作も、第七障害もさらさらと読めた。
妙齢の女性と、なぜか関わりあっていく周りの人々。性癖あり。鬱あり。
人にはそれぞれ難あり。
どちらも人と関わるのが得意ではないけど、関わらずにいられない感じがした。
あまりよい評価でない人もいるけど、個人的にはよかった。
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【イッツ・オンリー・トーク】直感で蒲田に住むことにした、優子/僕はいろんなことを諦めちゃってるからだめなんだろう、と述懐する、旧友で議員の本間。諦めた男は描き続けたいモチーフなのだろうか。自殺未遂の果てに転がり込んできたヒモでニートのいとこ祥一。お互いが求めた時にだけ会う痴漢。二歳年下の鬱病のヤクザはTシャツにジーパン、しかし蛇柄の雪駄といういでたち。目の前からいなくなる前にきちんと挨拶に来てくれて。//お互いの距離を計りあって苦しいコミュニケーションをするより寝てしまった方が自然だし楽なのだ。/その思いを眠剤と一緒に飲み込んで寝返りをうった。/当たり前だよ、月だって人だってそういうとこはあるよ(祥一)/私は自分の、EDの議員の、鬱病のヤクザの、元ヒモのボランティアの座標分布を思った/イッツ・オンリー・トーク、全てはムダ話とエイドリアン・ブリューが歌う。//なんかさ、みんないなくなっちゃって 、という寂しい感じを残しつつ、けど、【第七障害】乗馬クラブでの落馬事故で愛馬を事故死させてしまい、自責の念から、職も彼氏も住処も捨てて、東京に出て彼氏とは折り合い悪いが、自分とは意気投合した彼氏の妹と同居を始めた順子。日々を取り戻しつつ、新たな道に進んだかつての乗馬仲間の篤とも再会し、彼の好意を感じつつ、少しずつ惹かれていく。/ゴッドヒップの死を認めない限り自分はこれ以上前にすすめないのだと順子はずっと知っていた。/名前なんかつけなくていいの。物事に名前をつけるから全ての間違いがはじまるんです(順子)/笑いながら目が覚めて急に取り残された気分になる。夢は補償なのだと気づく朝はつらい。(順子)/俺の第七障害はここなんだ(篤) /紆余曲折を経て、二人の関係が進みそうな予感を残しつつ。美緒の、るるるーと歌い出しながら喋るシーンとか好きだった。
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やっぱり多才なのよー!
この前に書いたスモールトークと主人公が同じ。
こちらが先でしたね。
なんつーか。
同録の第七障害もそうなんだけど。
やっぱり凄いんだよなー。
うぅぅん。
って唸ってしまうんだよなー。
堕ちて行ってしまうんだよなー。
著者プロフィール
絲山秋子の作品





