イッツ・オンリー・トーク

著者 :
  • 文藝春秋
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  • Amazon.co.jp ・本 (181ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784163226309

感想・レビュー・書評

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  • 糸山さんのデビュー作。
    ぜんぜん本筋(本筋があればの話だけど。なんせイッツオンリートクなんで)とは関係ない部分でなんか泣きそうになった。

    元ヒモでギャンブラーのいとこが自殺しようとしているのを電話で叱咤して、呼び寄せて空港で到着を待っているシーン。

    「行き交う人たちはとてもまっとうで、自殺未遂のいとこを迎えに来ていることがなんだかとてもくだらない、それでもじっとしていると体が震えるようだった。早く来い、早く姿を見せろ、と思った。」←混乱までいかない素直な戸惑いの気持ちや緊張感や優しさが溢れていていい文章だと思いました。

  • 絲山さんの作品をランダムに読んでいるが、処女作を読んでいないことに気付き読む。
    タイトル作はまだ粗々しさを感じたが、自身の経験が反映されていてルーツ・オブ・イトヤマという感じがした。
    同時収録されている「第七障害」は、基礎が整ってきた印象。愛馬の死を責めている主人公が、徐々に受け入れて様が描かれていた。
    調教師柴田の「生きているものは必ず死ぬんだよ」という言葉が心に残った。

  • 「第7障害」がよかった。
    忘れなくていい、が心に響いた。

  • やっぱり多才なのよー!
    この前に書いたスモールトークと主人公が同じ。
    こちらが先でしたね。

    なんつーか。
    同録の第七障害もそうなんだけど。

    やっぱり凄いんだよなー。

    うぅぅん。

    って唸ってしまうんだよなー。

    堕ちて行ってしまうんだよなー。

  • キヌガサのお気に入りで見つけた作家さんです。表題作「イッツ・オンリー・トーク」は淡々と語られる正に無駄話。だからなんだ、というくらいどうでもいいことのように思われるのに、うっすらと真理を衝かれているような気がしました。ダメダメな登場人物たちがほんわりと愛しいです。「第七障害」は馬を殺してしまった件が本当に鳩尾をえぐられるように苦しかったです。自分を責め抜いて居場所も捨てて、それでも時間をかけて大事な人に触れていつか第七障害を越えることができる、そんな微かな希望の存在を見出せそうになりました。この二作で表面をなぞるようにも深く食い込むこともできる上手さを感じました。好きな作家さんがまた一人増えました。

  • この小説で一気に絲山秋子の虜になったのだった!直感で蒲田に住むことにした独身女性が主人公。登場人物はEDの都議、鬱病のヤクザ、イクことを拒む痴漢、選挙のボラバイトに精を出す40過ぎの居候だ。そもそもの設定が暗くしようと思えばどんどん落ちていきそうな話なんだけれど、ひねくれた主人公の女がそうはさせない不敵な思考を持っていて、実は『イッツ・オンリー・トーク』の中に私が普段から口にしている台詞がいくつか出てきて、ぎょっとさせられた。「理想じゃなくて私のレベルが高い」とか。私、同じ女なのに感覚がマッチ(?)する女流作家っていないんだけど、絲山秋子は痛烈ヒットだなあ。他の作品を読むのが楽しみでしょうがない。彼女のHPも結構見ものです。天才宣言とかね。大好きだ。

  • 精神病院に入院していたことのある35歳の優子。彼女の周りにいる男たちはへんてこな人ばかり。
    EDの議員議、鬱病のヤクザ、元ヒモの選挙ボランティア、紳士的な痴漢(合意の上でおこなう)、前歯に泡を溜めながら喋る同級生。

    その場の流れで男女の関係になることもあれば、一目見た瞬間にこの男とは寝ないなと判断することもある。男がEDの場合もある。関係性は色々だ。

    死んでしまった友人を想う。運転しながら音楽を聴く。絵を描く。何をしていても時間は進み、年月が過ぎていく。

    さざなみみたいに穏やかな、グッドな小説だった。

  • 色んな人が出てきてよく分からなくて、退屈だった。

  • 引越しの朝、男に振られた。
    東京・蒲田―下町でも山の手でもない、なぜか肌にしっくりなじむ町。
    元ヒモが居候、語り合うは鬱病のヤクザに痴漢のkさん。
    いろいろあるけど、逃げない、媚びない、イジケない、それが「私」、蒲田流。
    (アマゾンより引用)

    よく分からん

  •  かつて精神病を患い、今は蒲田で絵を描きながら貯金で暮らしている35歳の橘優子。ランチア・イプシロンに乗っている。酒を飲んだあと「する?」と聞いてしまう。私は誰とでもしてしまう。そんな彼女とトークするのは、都議会議員立候補の本間俊徳、痴漢のk(車はオペル)、福岡のいとこ林祥一44歳、うつ病のヤクザ安田昇33歳、優子に惚れてる小川誠35歳(車はランチア・インテグラーデ)。

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著者プロフィール

1966年東京都生まれ。「イッツ・オンリー・トーク」で文學界新人賞を受賞しデビュー。「袋小路の男」で川端賞、『海の仙人』で芸術選奨文部科学大臣新人賞、「沖で待つ」で芥川賞、『薄情』で谷崎賞を受賞。

「2023年 『ばかもの』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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