幽霊人命救助隊

著者 :
  • 文藝春秋
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  • Amazon.co.jp ・本 (451ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784163228402

感想・レビュー・書評

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  • 天国でもなく地獄でもない中間点に、時代も年も違う男女4人。自ら命を絶ったこの4人の元に空から神様がやってきた。そして神は言う「100人の自殺者の命を救うことが出来たら天国に行ける」と。そして4人は「幽霊」として地上に戻り救助活動を始める。
    自殺を考える人は、人間関係や鬱、自身の健康やお金や経済など様々ではあるが、一人一人の思いをモニタリングし、救助していく。

    これだけだと暗い内容なのかと思われるが、実は救助の仕方も面白い!生きている人間に対して自殺を踏みとどまるように、なんと、メガホンを使って応援する!その他にも救助の際に使用する暗視ゴーグルや無線なども活用し、服はなんとオレンジ色の救助服!
    さらには神様がパラシュートで降臨する様など、所々で笑わせてくれる内容だったので自殺と心理を深く考えずにさらっと読める内容だった。


  •  幽霊たちのヒューマン・ドラマ。文章が平易で読みやすく、ドアや窓をすり抜けられない、生きてる人間には話しかけられないなど、幽霊に課されている制限もおもしろい! 一つ一つのエピソードもほっこりするものばかりで、楽しめる(^^)
     私としては、救助する幽霊たちがもう少し救命への葛藤を持ってほしかった。末期癌のおばあさんの場面はありましたけど、予定調和的というか。しかし、100%楽しめる小説です。

    • 猫丸(nyancomaru)さん
      「予定調和的というか」
      尾崎さんも、この本読まれていたんですね。
      私は、この手の話に関しては、予定調和・ご都合主義・楽天的なストーリー大賛成...
      「予定調和的というか」
      尾崎さんも、この本読まれていたんですね。
      私は、この手の話に関しては、予定調和・ご都合主義・楽天的なストーリー大賛成なんです。
      少しでも、思い直す切っ掛けになれば(絶望している人は読まないでしょうけど、、、)←私が能天気なだけかな・・・
      2012/04/17
    • 尾崎さん
      たしかにメンタルがガタッと来てるときにつらい展開は読みたくないですもんね( ;´◡`)
      でも本当におもしろい小説でした~!
      たしかにメンタルがガタッと来てるときにつらい展開は読みたくないですもんね( ;´◡`)
      でも本当におもしろい小説でした~!
      2012/04/20
  • まさかあの高野さんの本とは知らずに読み始めた。
    非常に読みやすい文体で、物語の中にすーっと入って行ける。

    自殺をした四人の人達が、命を粗末にしたからと神様に天国行きをダメだしされる。
    喜びも不幸も何もない、ただただ暇な場所に留め置かれるところだったが、天国行きのチャンスが与えられた。
    それは、地上に舞い戻り、自殺しようとしている人々を49日間で100人助けろというもので──。



    はじめは仲もそれほどよくなかった四人が、天国行きのチケットを手に入れる為に四苦八苦して困難な救助活動にあたるうちに、かたい絆を手に入れるのが実に読んでいて微笑ましい。
    様々な理由を抱えて自殺をはかる人々の心の中を読み、それを助けるのは本当に辛く大変なのに、皆よくがんばっていた。
    すでに命を経ってしまった自分達が、本当は死ななくても良い運命にあると知った時の悲しさは読んでいて辛かった。
    もうちょっとだけ状況が違えば。
    それだけのことだったかもしれない。
    生きるというのは死ぬよりも難しいかもしれないけど、だからこそ、生まれてきたのはただそのにあること、寿命がつきるまでまっとうすることなんじゃないかという作者の意見にいたく共感した。

    ラストは涙なしには読めなかった。

    • だいさん
      四苦=生老病死って言うじゃないですか?
      生きることは大変つらいことのようです。
      四苦=生老病死って言うじゃないですか?
      生きることは大変つらいことのようです。
      2012/07/08
    • 猫丸(nyancomaru)さん
      「作者の意見にいたく共感した。」
      私も!
      ご都合主義って言う人も居ますが、私はとっても好きです。
      「幽霊人命救助隊」を読んで、前向きになる人...
      「作者の意見にいたく共感した。」
      私も!
      ご都合主義って言う人も居ますが、私はとっても好きです。
      「幽霊人命救助隊」を読んで、前向きになる人が」増えますように。。。
      2012/12/06
  • 自殺する人の心理、心の有り様、借金、連帯保証人、闇金融様々な条件等など、参考になりました。どんな立場であれ、どんな状況であれ、自ら命を絶つと言う事は良くないのだと全編を通して訴えられています。最後に主人公の父親を救うシーンは高野さんらしいエンターテイメント性に溢れ、判り易く、興味深かったです。自殺した主人公なのにハッピーエンド(?)で終わる所もなかなかでした。
    「未来が定まっていない以上、すべての絶望は勘違いである。」

  • テーマと表現手法のバランスが悪いと思った。
    自殺という思いテーマだから、変化球でアプローチして目新しい興味をわかせ、読者に伝えたかったのだろうと推察するのだけど、、、重さの均衡っていうのが難題になったのかと思う。自殺者の心理を、ただ、つらつらと綴っていけば読んでるこっちが気が滅入るのは想像できるし、といって踏み込めが甘ければ作品の価値は無くなるし、結局この作品のようになんらかのインターフェースを用いて客観的視点でコントロールして描くのが無難なんだろうな。
    そもそも、エンターテイメント向きの作家さんが狙うテーマじゃないんだろうし。

    登場人物の誰一人にも、感情移入が出来ないお話でした。

  • 江戸川乱歩賞を受賞した13階段の高野和明さんの作品。
    13階段はほんと面白くて何度も読んでいるのですが、そういえばこの人のほかの作品読んでいないな…と思って6時間後に君は死ぬを読んだけど、それも良かったので次どれにしようかamazonで物色。
    レビューをみるといちらほらこの本、「幽霊人命救助隊」と比べたものがあって面白そうだったから借りてみました。

    ちまちま読んでいたので時間がかかったけど、大変面白かった。

    ありそうで今までなかったタイプの話だった。
    4人の自殺した男女が100人の自殺者を救うお話。
    4人も若者だけじゃなくオッサンもいるのがいいところ。そうそう、年代はばらばらじゃないとね。
    うつ病、借金、恋愛、障害、老後の不安…誰にでも起きるもので悩んでいる人たちを助けるお話。助けたいと思うお話。
    よくわからないまま彼らもはじめていきますが、だんだん使命を誇りに思っていく。そして自分たちが自殺してしまったことを考える…
    なぜ自殺はダメなのか?辛くなったらどうしたらいいのか?
    励まされ、温かくなる本です。

    そんなにうまくいかないよ!とも、いったん自殺を思いとどまってもまた自殺したくなるかもしれないとは思いますが、案外ささいな応援で持ちこたえられるのって多いんじゃないかな。

    メガホンで応援したり、オレンジのレスキュー衣装だったり、残りの人数が表示する携帯電話があったり、そんな小道具もとても素敵。
    文章も読みやすく、いろいろな人がでてきて飽きない。
    こんな作品を書ける作家はなかなかいないと思う。

    鬱病がよく出てくるが、私もなってしまうと鬱病にならないほうが不思議に思うわ。
    些細な絶望からでも鬱病になってしまうけど、鬱病ってこんなにいるんだ、こんなになる可能性もあるだーとわからない人は思うんじゃないかしら。
    医者にいって薬をもらえばいい話ではないけど、助けになるのは確か。
    ゆっくり休め、頑張るな!と応援してくれる本。それも無責任なかたちではなく。うまく表現したなーと思います。

    落ち込んでしまったときに読むと、なんとなくもう少し頑張ってみようかなと思えると思います。
    結構長いけど読みやすくていいわー
    割と作者なりのアドバイスも見えました。無理に説教くさくもなく、

    他の作品も読まないとなーなとなくこの人の作品ははずれがない気がするぞ。

  • 面白いっ!笑えて泣ける。もう他に道はない、と自ら命をたった四人。死んだ事情も、生きた時代も違う彼らは自分たちの命を弁償し、天国にいくために、この世で人助けをすることになる。自分たちと同じように自ら命を断とうとしている人たちを思いとどまらせる、幽霊人命救助隊。年間三万人の自殺者がいる今の日本で、結構リアルな話である。いろんな事情を抱えた人たちを一人一人なんとか助けようとする四人。死のうとするのにもいろんな事情があって、内面的な問題とか、お金のこととか。ああ、そうだ銀行や国の話には怒りを感じたな。ほんっとーに一番責任をとらないといけない人間がいつだって甘い汁をすっている。だんだんチームワークがよくなっていく四人のかけあいが楽しい。八木さんとかさいこー。一生懸命な彼らの声が聞こえてきそうで、心があったかくなった。

    • 猫丸(nyancomaru)さん
      「一生懸命な彼らの声が聞こえてきそう」
      嘆いている人に、この気持ちが届け!
      話は、ご都合主義だけど、この考え方は、とっても好きです!
      「一生懸命な彼らの声が聞こえてきそう」
      嘆いている人に、この気持ちが届け!
      話は、ご都合主義だけど、この考え方は、とっても好きです!
      2013/04/25
  • 久々にすごい本に出逢いました!!◇◆自殺をした人が幽霊になって自殺しようとしている人を助けるお話。
    「未来が定まっていない以上、すべての絶望は勘違いである。」
    笑える部分もあって、かなり楽しめる!◎

  • 大学受験に失敗した 裕一、ヤクザの親分 八木、零細企業の経営者 市川、アンニュイな若い女 美晴、という いずれも訳あって自ら命を絶った4人が主人公である。無駄な死に方をしたために、いまだ天国へいけずにいるところに 神が降りてきて 49日の間に自殺者を100人救えば天国逝きを約束する、と言われ 地上に降ろされるのである。
    設定は間違いなくコメディなのである。が、読み進むと決して笑ってはいられなくなりのだ。哀しすぎる。今、という時代の病巣をこれでもかと見せつけられるようであり、無力感にも捕らわれる。
    じんわりさせられる物語でもある。

  • 人とのつながり、心身の健康、経済、これが生きる気力に通じているというのに深く同意。
    自殺しようとしている人達をそれぞれの人生や状況に助けるべきか葛藤しながらも、それをくい止めることで自分達の心も救われていく主人公達。軽快な会話や時代錯誤なジョークを交えながらも、真剣に自殺と向き合っていく。重い内容をただ暗く沈んだ気持ちにさせるのではなく、ちゃんと考えさせてくれる本だった。

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著者プロフィール

1964年生まれ。2001年に『13階段』で第47回江戸川乱歩賞を受賞し作家デビュー。著書に『幽霊人命救助隊』、『夢のカルテ』(阪上仁志との共著)など。2011年、『ジェノサイド』で第2回山田風太郎賞を受賞。自著のドラマ化『6時間後に君は死ぬ』では脚本・監督も務めた。

「2012年 『グレイヴディッガー』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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