空中ブランコ

著者 :
  • 文藝春秋
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本棚登録 : 6293
レビュー : 1225
  • Amazon.co.jp ・本 (265ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784163228709

感想・レビュー・書評

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  • 「平成」の30年間に直木賞を受賞した作品を図書館にて展示してみよう、という企画に際して久しぶりに読み返しました。

    主人公は伊良部総合病院の神経科で精神科医を務める伊良部一郎。でっぷりと太った体形と、子どものような言動で周囲を巻き込み、ふりまわします。患者は、伊良部医師の気ままな言動に右往左往しながらも、彼ら自身が抱える悩みを解決するきっかけを見つけたり、新たな希望を見つけたりする、という展開の短編集です。
    まるで5歳児のように自分勝手な伊良部医師の講堂はユーモラスでほほえましいですし(実際にそばにいたら付き合うのは大変そうですが)、看護婦のマユミさんのキャラもしっかりとしていて読んでいてあきません。

    それぞれの患者が抱える悩みの根っこにある「弱さ」は、多かれ少なかれ現代人が抱えているものだと思いますし、それを文字通り笑い飛ばすようにして解決してゆく伊良部医師のことばには、多くの人が救われるのではないでしょうか。

    「町長選挙」「イン・ザ・プール」といったシリーズ作品もあり、あわせておすすめしたい1冊です。

  • 伊良部大好きー。
    いらぶらぶい いらぶらい らぶいらぶ…
    なんちゃってー。
    勝手に回文?呪文?なんか隠されているっぽい、伊良部っぽい。


    読むと体に入っている余分な力が抜けて、いい意味で
    脱力できます♪
    このシリーズ“気づき”“ヒント”“プチ悟り”のお話のように思う。

    「義父のヅラ」が一番じんわりきた。
    30~40歳代の焦り、焦燥がひしひしと伝わってきます。

    こう…友と些細ないたずらをして、盛り上がり
    わ~っとはしゃいで逃げて、その後に共犯者全員で
    ゲラゲラ笑って…芝生に寝転がって…って
    もう一回あーいう時期を過ごしたいな。。。と通り過ぎてから
    思います。

    汗だくになり、息が切れた。遊びで息が切れたのなんて、二十数年ぶりだった。最後は芝生に大の字になり、「あーっ」と意味もなく声を発した。笑いたかったし、泣きたかった。なにやらそんな気分だったのだ。(160ページ)


    私も少し羽目を外して、ガス抜きしたい。



    あとは「女流作家」が泣けて、泣けて。
    (中島さんの「漢方小説」でも同じ事を言っていたっけ…)
    みんな一生懸命なんだなー…と改めて考えさせられた。


    これを読むと少しガス抜きした気分になって、気分爽快になります。「町長選挙」も楽しみです♪

  • あははっ。
    ニヤケながら読み終えました。
    伊良部先生健在だわ!

    今回、「空中ブランコ」「ハリネズミ」「義父のヅラ」「ホットコーナー」
    「女流作家」の5本立て。
    登場人物たちはそれぞれ本気で悩んで精神を病んでいるんだけど
    伊良部先生にかかると、 どこか滑稽で笑えてしまう。
    「義父のヅラ」は、正直かなりニヤケながら読んでしもた。
    だって、確かにやりたいもの。やってしまいたいもの(笑)

    「女流作家」はちょっと、自分の体験と重なるものもあったりして
    身につまされるね。
    表現をするっていうのは、なかなか難しい。
    伝えようと思ったこととは違うことが受け取られてしまったり。
    伝えたいことと、受け手の知りたいことのギャップだったり。
    損得勘定中心で動いている世の中への憤りだったりね。

    しかし、伊良部先生最強だわ。
    次回作も楽しみです♪

  • 色々な精神ストレスがあり、面白い

  • 能天気な医師にすがると、私も沢山の荒療治をしてもらえるのだろうか?一人一人の治療を少し覗き見すると、患者の悩みがスルスルと解きほぐされていきます。
    表紙は悪魔のような絵ですが、中身はほんわかです。読み終わったとき鳥肌が立ちました。おススメです。

  • 稚気に富む神経科医の伊良部って、実のところ脇役なんかなぁ。偶然に彼のところを訪れた悩める患者たちが主役で、もちろんいくらかは治療の効用もあるのだけれど、基本的には周りの仲間たちの支えと時間とがクスリになって病を克服していく物語でしょ。伊良部が天然なのか計算尽くなのかは知れないけれど、尋常でない振る舞いがおもしろいと受容できるかどうか。あまりに現実と乖離していてきついか。患者の設定が富んでいるのが魅力で、小説で読ませるより脚本にして観せた方がいいのかも。田舎の公務員を患者に仕立ててストーリーを考えてみるが、どんな病の設定がおもしろいやら、なかなか思いつかない。

  • 飛べなくなった空中ブランコのり、先端恐怖症のヤクザなど、一風変わった患者が訪ねる伊良部総合病院。
    しかしそこには、患者以上に不思議な、ちょっと間抜けでつかみ所がない、しかし人懐っこさもあり、心を許してしまう精神科医の伊良部先生がいる。

    症状を治そうと必死な患者と、全くお構いなしでマイペースな伊良部先生とのゆる~い掛け合いが、たまらなく癒しになる作品である。

  • 短編だが、ひとつひとつが、いい味出している。

  • 「いらっしゃーい」というマヌケな患者を迎える伊良部院長の息子で精神科医が主人公。様々で一風変わった心の病気を持つ患者をさらに変わった方法で治していきます☆笑ってスッキリしたい人にオススメです。

  • 読みやすかった。何故だか、主役に伊良部一郎医師とips細胞で人騒がせした森口尚史氏が重なりました。

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著者プロフィール

おくだ・ひでお
1959年岐阜県生まれ。プランナー、コピーライターなどを経て1997年『ウランバーナの森』でデビュー。2002年『邪魔』で大藪春彦賞受賞。2004年『空中ブランコ』で直木賞、2007年『家日和』で柴田錬三郎賞、2009年『オリンピックの身代金』で吉川英治文学賞を受賞。著書に『最悪』、『イン・ザ・プール』、『マドンナ』、『ガール』、『サウスバウンド』、『家日和』、『無理』、『噂の女』、『我が家のヒミツ』、『ナオミとカナコ』、『向田理髪店』『ヴァラエティ』など。映像化作品も多数あり、コミカルな短篇から社会派長編までさまざまな作風で人気を博している。

「2019年 『ヴァラエティ』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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