空中ブランコ

著者 :
  • 文藝春秋
3.77
  • (921)
  • (1209)
  • (1601)
  • (74)
  • (16)
本棚登録 : 6293
レビュー : 1225
  • Amazon.co.jp ・本 (265ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784163228709

感想・レビュー・書評

並び替え
表示形式
表示件数
  • 「平成」の30年間に直木賞を受賞した作品を図書館にて展示してみよう、という企画に際して久しぶりに読み返しました。

    主人公は伊良部総合病院の神経科で精神科医を務める伊良部一郎。でっぷりと太った体形と、子どものような言動で周囲を巻き込み、ふりまわします。患者は、伊良部医師の気ままな言動に右往左往しながらも、彼ら自身が抱える悩みを解決するきっかけを見つけたり、新たな希望を見つけたりする、という展開の短編集です。
    まるで5歳児のように自分勝手な伊良部医師の講堂はユーモラスでほほえましいですし(実際にそばにいたら付き合うのは大変そうですが)、看護婦のマユミさんのキャラもしっかりとしていて読んでいてあきません。

    それぞれの患者が抱える悩みの根っこにある「弱さ」は、多かれ少なかれ現代人が抱えているものだと思いますし、それを文字通り笑い飛ばすようにして解決してゆく伊良部医師のことばには、多くの人が救われるのではないでしょうか。

    「町長選挙」「イン・ザ・プール」といったシリーズ作品もあり、あわせておすすめしたい1冊です。

  • 伊良部大好きー。
    いらぶらぶい いらぶらい らぶいらぶ…
    なんちゃってー。
    勝手に回文?呪文?なんか隠されているっぽい、伊良部っぽい。


    読むと体に入っている余分な力が抜けて、いい意味で
    脱力できます♪
    このシリーズ“気づき”“ヒント”“プチ悟り”のお話のように思う。

    「義父のヅラ」が一番じんわりきた。
    30~40歳代の焦り、焦燥がひしひしと伝わってきます。

    こう…友と些細ないたずらをして、盛り上がり
    わ~っとはしゃいで逃げて、その後に共犯者全員で
    ゲラゲラ笑って…芝生に寝転がって…って
    もう一回あーいう時期を過ごしたいな。。。と通り過ぎてから
    思います。

    汗だくになり、息が切れた。遊びで息が切れたのなんて、二十数年ぶりだった。最後は芝生に大の字になり、「あーっ」と意味もなく声を発した。笑いたかったし、泣きたかった。なにやらそんな気分だったのだ。(160ページ)


    私も少し羽目を外して、ガス抜きしたい。



    あとは「女流作家」が泣けて、泣けて。
    (中島さんの「漢方小説」でも同じ事を言っていたっけ…)
    みんな一生懸命なんだなー…と改めて考えさせられた。


    これを読むと少しガス抜きした気分になって、気分爽快になります。「町長選挙」も楽しみです♪

  • あははっ。
    ニヤケながら読み終えました。
    伊良部先生健在だわ!

    今回、「空中ブランコ」「ハリネズミ」「義父のヅラ」「ホットコーナー」
    「女流作家」の5本立て。
    登場人物たちはそれぞれ本気で悩んで精神を病んでいるんだけど
    伊良部先生にかかると、 どこか滑稽で笑えてしまう。
    「義父のヅラ」は、正直かなりニヤケながら読んでしもた。
    だって、確かにやりたいもの。やってしまいたいもの(笑)

    「女流作家」はちょっと、自分の体験と重なるものもあったりして
    身につまされるね。
    表現をするっていうのは、なかなか難しい。
    伝えようと思ったこととは違うことが受け取られてしまったり。
    伝えたいことと、受け手の知りたいことのギャップだったり。
    損得勘定中心で動いている世の中への憤りだったりね。

    しかし、伊良部先生最強だわ。
    次回作も楽しみです♪

  • 色々な精神ストレスがあり、面白い

  • 能天気な医師にすがると、私も沢山の荒療治をしてもらえるのだろうか?一人一人の治療を少し覗き見すると、患者の悩みがスルスルと解きほぐされていきます。
    表紙は悪魔のような絵ですが、中身はほんわかです。読み終わったとき鳥肌が立ちました。おススメです。

  • 稚気に富む神経科医の伊良部って、実のところ脇役なんかなぁ。偶然に彼のところを訪れた悩める患者たちが主役で、もちろんいくらかは治療の効用もあるのだけれど、基本的には周りの仲間たちの支えと時間とがクスリになって病を克服していく物語でしょ。伊良部が天然なのか計算尽くなのかは知れないけれど、尋常でない振る舞いがおもしろいと受容できるかどうか。あまりに現実と乖離していてきついか。患者の設定が富んでいるのが魅力で、小説で読ませるより脚本にして観せた方がいいのかも。田舎の公務員を患者に仕立ててストーリーを考えてみるが、どんな病の設定がおもしろいやら、なかなか思いつかない。

  • 飛べなくなった空中ブランコのり、先端恐怖症のヤクザなど、一風変わった患者が訪ねる伊良部総合病院。
    しかしそこには、患者以上に不思議な、ちょっと間抜けでつかみ所がない、しかし人懐っこさもあり、心を許してしまう精神科医の伊良部先生がいる。

    症状を治そうと必死な患者と、全くお構いなしでマイペースな伊良部先生とのゆる~い掛け合いが、たまらなく癒しになる作品である。

  • 短編だが、ひとつひとつが、いい味出している。

  • 「いらっしゃーい」というマヌケな患者を迎える伊良部院長の息子で精神科医が主人公。様々で一風変わった心の病気を持つ患者をさらに変わった方法で治していきます☆笑ってスッキリしたい人にオススメです。

  • 読みやすかった。何故だか、主役に伊良部一郎医師とips細胞で人騒がせした森口尚史氏が重なりました。

  • めっちゃ面白い♡
    登場してくる女の人はたいていウザいけど(笑)、
    伊良部が面白くてハマった!!!!!

    嫌なこととかあったら伊良部総合病院行ってみたい笑笑

  • 伊良部先生2作目。
    伊良部先生のあっけらかんとして突拍子も無いことをガンガンやるのは見ててすごく面白いです
    ハリネズミが好き!

  • 嘘みたいな精神科医。嘘みたいな患者。でも面白い運びで進むんだよね。

  • 伊良部先生またまた大活躍!好きだなあ。

  • やはりはずれがない。

    なんだか元気になれる小説。

    「義父のヅラ」がいいね~!!
    義父である教授のヅラをはがしたくなる医者の話。
    この悩みに対する伊良部の対処療法もほほえましくなってしまった。

  • インザプール、町長選挙とともに、精神科医伊良部先生主人公の短編集。 伊良部シリーズは、人間の可笑しみに焦点をあてたユーモア溢れる作品が中心でどれも面白いけど、この空中ブランコの中の、「女流作家」という作品には泣かされた。
    引用しちゃうと、
    “わたしは彼らを前にして思うよ。せめて自分は誠実な仕事をしよう、インチキにだけは加担すまい、そして謙虚な人間でいようって ”
    この一文を読んだ時に、もうどうしようもないくらい、とめどなく涙があふれた。
    「言葉の力」を再認識した作品。

  • これまた一気に読んでしまった!とってもおもしろかった!

  • 「イン・ザ・プール」より好きでした!
    最後のエピソード「女流作家」でのマユミちゃんのデレに全てを持って行かれた・・・!!

  • インザプールでハマり、二冊めの奥田英朗。

    伊良部先生。絶対にいたら大問題な先生なんだけど、
    どっかにいてほしいなーなんて思ってしまう。

    この小説に出てくる各章の主人公達は皆真面目な性格。
    自分もそういう融通のきかない性格だから余計にハマるの
    かもしれない。
    そして、伊良部先生に癒されるのかもしれない。

    空中ブランコと女流作家が特によかった。
    どちらも言葉の力を感じる部分があるのだけど
    私自身もまさにそう思ってるので
    心地よく感動してしまった。

    すべての話において、最後は希望の光を感じるところが
    気持ちいい。

    この作家さんの文章そのものも読みやすく、分かりやすく
    心地よい。

  • 精神的な病を抱えている患者を、
    能天気で子供のように無邪気で
    注射が大好きな神経科医が救っていくストーリー。

    人は誰でも弱い部分があってそれを見せないように必死なんだなーと。
    また、自分もそういう部分があるなと感じました。

    無邪気な神経科医の描写を読んでいると、こっちまで思わずふっと笑ってしまう。

    とても素敵な本でした。

    2012年4月30日読了

  • 前にアニメをチラッと見ていたので読んでみました。相変わらず伊良部先生は面白かったです。

  • ドラマ『Dr.伊良部一郎』原作 http://www.tv-asahi.co.jp/irabu/

  • 職場のイルカさんから面白い本だと聞いて、読んでみました。
    神経科を訪れる患者たちの話なので、かなり変わった病気に悩む人々が登場しますが、なにより奇天烈なのは彼らを迎える伊良部ドクター。

    外見の描写に手加減なく、かなりひどいルックスだと、話の端々からわかります。
    そして内面は、何を言い出すのかわからない、予測のつかない不思議な人物です。
    すごいキャラクターが主人公の話ですね。

    患者は訝しがり、自分の常識を頼りなく思いながらも、ドクターのハチャメチャさにどんどん引きずられ、巻き込まれていくうちに、いつしか自分の抱えていたトラウマから解放されていきます。

    伊良部は、純粋な子供の心を持ち続けているのか、それともすべて計算しつくした、ひねくれものの名医なのか。
    患者も読者も、いくら首をひねってもわからないままで、そこがこの作品の大きな魅力です。

    ぐいぐいと読者を引き付けて離さず、奇想天外なストーリーながら、(こんな人たちはどこかにいるだろう)と思わせる確かな筆力を持った作家。
    患者の職業はそれぞれですが、曖昧さがなく、しっかりとした下調べの元に執筆されていることを感じます。

    患者は、普通の会社員ではなく、空中ブランコ乗りやヤクザ、流行作家や医者仲間やプロ野球投手など、華やかで替えのきかない職業の人ばかり。
    職業を見るに、お金持ちの人が多そうですが、その分心への見えないストレスがたまっていることがわかります。
    プライドが高く、高慢な勝ち組の人たちが、ドクターの奇天烈ぶりに負けて、すっかり患者らしくなってしまうところが痛快で、掛け値なしに面白い本です。

    ところでドクターは、なぜそんなに注射マニアなんでしょう。
    ほかの作品を読めば、わかるのでしょうか。
    『イン・ザ・プール』よりも先にこちらを読んでしまったので、第1弾も読んでみようと思います。

  • 改めて人の真意を知るには会話が大切なんだって気づかせてくれました。

    伊良部のキャラがすごく良いです^^
    義父のヅラには爆笑してしまった

  • アニメに触発されて再読
    やっぱり面白いです
    読むとスッとする作品。

    精神科医の伊良部先生の行動がいちいち面白いです。
    まぁ、実際周りにいたら腹が立つとは思いますけど(笑)
    でも伊良部先生を見ていると「あ、これでもいいのか」と、気が楽になります
    いつのまにか患者と一緒に、こちらも伊良部先生に治療されているのかもしれません。

  • 精神科医:伊良部のもとへ、ちょっと変わった症状に悩む患者さんがやって来るシリーズものの短編集。
    設定がとてもおもしろい切り口となり、コミカルな描写にひとりで読んでいたら声をあげて笑ってしまうところもあったくらい。
    その上、終わり終わりには何だかほっこりさせられた。

    この本の中には5つのストーリーが入っていて、一番好きなのは「ホットコーナー」。
    プロ野球選手の苦悩、というところが私の興味を引きました。


  • 短編集。

    変だけど、憎めない精神科医伊良部先生がいい。
    全編読んでみて、装丁を見てなんとなく想起する話があって「あー」と思ってクスリと笑える。

    精神的な病は、きっと根が深くて、こんな風に簡単に治らないんだろうと思ったり。
    でも、治る時はこんなふうに、ふっと治るんだろうなと思ったり。

  • 友人より

  • 伊良部先生のファンになりました。
    マユミさんも最高です。
    イン・ザ・プールも、早く読まなきゃです。

  • 伊良部総合病院の神経科に訪れるのは、サーカス団員やヤクザの若頭、プロ野球選手などなど。
    クセの強い患者たちと伊良部先生の交流の話。

    --------------------------------------

    どの話もすごく面白かった。
    そのなかから自分も経験したことのある”イップス”に苦しむ野球選手の話、『ホットコーナー』について。

    今まで無意識にやっていた動作(ボールを投げる、バットを振るなど)が突然うまくできなくなってしまうこと。それがイップス。

    自分はバスケットを小さいころからやっているが、フリースローを打つときに利き手ではない左手の動きがおかしくなってしまった。漫画『スラムダンク』の名台詞にもあるようにシュートを打つときは、”左手は添えるだけ”でいいのだが、自分の意思とは関係なく左手に力が入ってしまうようになったのだ。

    幸い自分の場合は、左手を添えずにシュートすることで、不自然だけどまあまあ支障はなくこなせていたとは思う。
    周囲はイップスを理解していなかったので笑われたりすることも多くて、わりと辛い経験だった。自分もイップスのことは経験するまで知らなかったし、しょうがないといえばしょうがないとは思う。でも、失敗を笑われるのって当事者にはすごくきつい。

    プロ選手であればイップスは選手生命に関わる問題だ。
    それでもやっぱり伊良部先生はおかまいなし。自分のやりたいようにキャッチボールをお願いしたり、草野球に連れだしたりする。
    勝手なことをしているのにいつのまにか患者自身が問題解決の糸口をつかんでしまう、伊良部先生の患者との交流スタイルは最高。
    イラストを描いて才能発揮したり、小説を読んで感動するマユミさんはもっと最高。

全1225件中 1 - 30件を表示

著者プロフィール

おくだ・ひでお
1959年岐阜県生まれ。プランナー、コピーライターなどを経て1997年『ウランバーナの森』でデビュー。2002年『邪魔』で大藪春彦賞受賞。2004年『空中ブランコ』で直木賞、2007年『家日和』で柴田錬三郎賞、2009年『オリンピックの身代金』で吉川英治文学賞を受賞。著書に『最悪』、『イン・ザ・プール』、『マドンナ』、『ガール』、『サウスバウンド』、『家日和』、『無理』、『噂の女』、『我が家のヒミツ』、『ナオミとカナコ』、『向田理髪店』『ヴァラエティ』など。映像化作品も多数あり、コミカルな短篇から社会派長編までさまざまな作風で人気を博している。

「2019年 『ヴァラエティ』 で使われていた紹介文から引用しています。」

空中ブランコのその他の作品

奥田英朗の作品

空中ブランコを本棚に登録しているひと

ツイートする