坂の上の雲 (4)

  • 文藝春秋 (2004年5月14日発売)
4.02
  • (35)
  • (29)
  • (33)
  • (0)
  • (0)
本棚登録 : 279
感想 : 25
本ページはアフィリエイトプログラムによる収益を得ています
  • 本 ・本 (520ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784163229102

感想・レビュー・書評

並び替え
表示形式
表示件数
絞り込み
  •  本巻は旅順要塞の激闘と黒溝台会戦で辛くも日本が勝利を掴んだ経緯が書かれているが、本巻は特に両会戦の戦闘描写に重点が置かれており、平和な現代日本からは想像を絶する戦闘描写がリアルであった。先人の苦労の上にある平和な現代日本を考えさせられた。
     また旅順要塞陥落を機に、日本軍の戦況が徐々に好転していく様子は、ある意味で戦前からの日本の壮大で綿密な戦争準備に対する伏線回収のような読了感を感じられ、本小説が加速度的に面白くなる巻であった。

  • モルトケ戦術の新しさは、主力殲滅主義にあるであろう。戦場における枝葉の現象に目もくれず、敵の主力がどこにあるかを素早く知り、味方の最大の力をそこに結集させていっきょに攻撃し殲滅するというものであった
    人は生計の道を講ずることにまず思案すべきである。一家を養い得て初めて一郷と国家のために尽くすと言う思想は終生変わらなかった

  • 日本が最も熱かった時代、明治。先進国に追いつけ追い越せという風潮の中で経験した日清、日露という二つの戦争。中でも日露戦争について同時代を生きた2人の軍人の兄弟と1人の俳人の人生を通じて同時代を鮮やかに描き出す。言わずと知れた司馬遼太郎の代表作。詳細→http://takeshi3017.chu.jp/file7/naiyou23903.html

  • [評価]
    ★★★★★ 星5つ

    [感想]
    この巻での大きな出来ことはやはり旅順要塞の陥落だ。
    児玉源太郎が第3軍の指揮を代行することで203高地が攻略され、旅順要塞の攻略が一気に進んだように言われるが、この本においてはキッカケに過ぎないといった感じだ。
    ただ、203高地攻略以降は基本的には重砲を集中配備し、攻略地点を重点的に砲撃することで歩兵の侵攻をサポートしていたといった感じかな。
    また、もう一つの読みどころはバルチック艦隊の大遠征だろう。日本海軍を極度に恐れ、恐慌状態に近い艦隊の大遠征はこの時点で戦力的にロシア海軍有利にも関わらず、後々の敗北を強く暗示させる内容となっていた。

  • 自分も酒から栄養をとりたいお話し

  • 子規の人間的特徴は執着の深さである。人間に対する執着は、つまり愛である。人の師となり親分となる上に是非欠くことのできない一要素は弟子なり子分なりに対する執着であることを考えずにはいられぬのである。例えば、それは母の子を愛するやうなものである。高浜虚子
    人間の頭に上下などない。要点を掴むという能力と、不急不要のものは切り捨てるという大胆さだけが問題だ 秋山真之
    秋山真之の米国にゆくを送る
    君を送りて思ふことあり蚊帳に泣く 正岡子規

    明晰な目的樹立、そして狂いなき実施方法、そこまでは頭脳が考える。しかしそれを水火のなかで実施するのは頭脳ではない。性格である。平素、そういう性格をつくらねばならない。秋山真之

    よき独裁君主とは?
    強い意志と性格が必要である。次に高潔な感情と思想、それから知恵と教養と訓練が必要である。
    ウィッテ

  • 少しずつハマりつつあります

  • 主に、日露戦争で悲惨な戦場になった旅順を、児玉がこっそり乃木の代わりをつとめることによってようやく奪うことができ、そこから敵の艦隊を沈めることに成功したお話。バルチック艦隊は合流が間に合わず、日本の同盟国英国にいじめられながら遠いヨーロッパを航海中。


    日本史とかでも乃木希典、東郷平八郎は日露戦争で大活躍したって学んでたけど、ここまで乃木が無能な指揮官だったとはびっくり。当時の国民は誰も知らないんだな。

    やっぱり信じられないのは、日本人の勇敢さ。。。わたしには理解不能だが、理由は以下であるらしい。

    明治維新によって誕生した近代国家では、国家というものが庶民に重くのしかかっていた。が、明治の庶民にとってこれは苦痛ではなく、ときにはその重圧が甘美でさえあった。明治国家は日本の庶民が国家というものに初めて参加しえた集団的感動の時代。いわば国家そのものが強烈な宗教的対象であった。

  • 評判の良さから読み始めたけど、ここまでおもしろいとは思わなかった。
    組織論や仕事に対するモチベーションなど下手なビジネス書より役立つし、壮大な物語に凄く引き込まれる。

    全部読み終わってから改めてレビュー書こ。

  • 日露戦争開戦から、旅順総攻撃までが描かれている巻。
    もはや秋山兄弟の物語という雰囲気ではなくなっている。

    司馬史観という。
    その史観に同意するかは別として、本書を読んでいると、神の視点から日露戦争を見ているような錯覚を起こしてしまう。
    ロシア側、日本の海軍、陸軍、大本営とさまざまな立場の、思惑をすべて俯瞰しているようなのだ。
    もちろん司馬がそれだけさまざまな資料を読み込んでいるということ。
    それに対し、何がしかの批判的な読み方をするのは、とても難しいと感じる。

全25件中 1 - 10件を表示

著者プロフィール

司馬遼太郎(1923-1996)小説家。作家。評論家。大阪市生れ。大阪外語学校蒙古語科卒。産経新聞文化部に勤めていた1960(昭和35)年、『梟の城』で直木賞受賞。以後、歴史小説を次々に発表。1966年に『竜馬がゆく』『国盗り物語』で菊池寛賞受賞。ほかの受賞作も多数。1993(平成5)年に文化勲章受章。“司馬史観”とよばれ独自の歴史の見方が大きな影響を及ぼした。『街道をゆく』の連載半ばで急逝。享年72。『司馬遼太郎全集』(全68巻)がある。

「2020年 『シベリア記 遙かなる旅の原点』 で使われていた紹介文から引用しています。」

司馬遼太郎の作品

  • 話題の本に出会えて、蔵書管理を手軽にできる!ブクログのアプリ AppStoreからダウンロード GooglePlayで手に入れよう
ツイートする
×