ナラ・レポート

著者 :
  • 文藝春秋
3.09
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本棚登録 : 56
感想 : 15
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  • Amazon.co.jp ・本 (366ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784163232805

作品紹介・あらすじ

ナラの大仏を破壊した少年モリオの涙はやがていにしえのキンギョ丸、アイゴ若の説話にリンクし、アイミツ丸の悲劇と絡み合う。物語が物語を呼び、記憶が記憶に重なって、めくるめく小説世界が立ち現れる。引き裂かれた母子とともに、さまざまな時代を、夢と現実を往き来する、まったく新しい読書体験。時空を超えてエキサイティングに展開する驚くべき物語。

感想・レビュー・書評

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  • 読み終えるまでに2週間。
    読んでいる最中も、読み終えたあとも、どんな物語なのかがわからないままでいる…というのが正直な感想です。

    奈良の地で繰り返される、時代を超えた母子の因果。
    母が子を呼び、子が母を呼ぶ。
    圧倒的な愛の濁流に飲み込まれてしまったような感覚です。
    奈良という土地が秘めた力も感じられました。

    津島佑子の小説は初めて読みました。
    以前『快楽の本棚』(中央公論新社)を読んだとき、女性であることを強く意識している人だと思いましたが、本作に描かれた母親の姿からもそれを感じました。
    他の作品も読んでみたいですが、かなり読むのに体力を使いそう…。

  • 現代の奈良、古代の奈良、中世の奈良を舞台に、引き裂かれた母子を描く長編小説。物悲しく、難解で、史料からの引用やコラージュも多く、読みづらかったけれど、文学と土と森の匂いの強い豊かな小説ではあった。

  • 素敵な装丁だなあと気になっていたので図書館で。太宰治の娘だと父が言ってましたが本当なのかな?調べてみた。本当だった(笑)

    取りあえず最後まで目は通しましたが何がなんだかさっぱりわからず。主人公にも母親にも何一つ共感できない。そして何で大仏や奈良に拘るのかという所から入り込めないのでその後の色々なお話へのメタファーも首を傾げるばかりなり。おとぎ話としても何が言いたいのかさっぱりなので正直最後は飛ばし読みで終わりました。

  • 読んでいる途中、「面白いような気がする」と思うけど、面白そうな要素が、あまり生かされず、終わってしまった感じ。
    何度も読み返さないと、理解できない部分もあるが、読み返すほど主人公が魅力的ではない。

  • どう感想を書いていいのかわからないというより どう感じたかが自分でもよくわからないある親子のナラにおける輪廻転生のお話?時代がめまぐるしく変わるので分からなくなってきたが途中から 分かろうとする努力をせずに読みすすめ詩(うた?)も飛ばし気味に読んだ結局どういうことなのかわからなかったけど不思議な読後感はこれまでになかった感覚

  • 090514

  •  なんだか、よくわからなかった。 二歳で母と死に別れた森生。奈良公園の鹿を生贄として殺し、霊媒師のところへ行って母の霊を呼ぼうとする。母の霊は鳩に宿り、森生とともに奈良の大仏を壊しに行くが・・・。
     母と子の絆をテーマに、ケガレ思想を絡めて日本のさまざまな時代を舞台に森生と母を描く。

  • 不思議なお話。「奈良」が少し怖くなる。始まりは鹿を殺した少年が自分の罪に逃げ場を失い、幼い頃死んだ母に救いを求める話かと思ったが、そう単純なものでもないようで、母と子の業、奈良という土地の持つ歴史の業、それが大人のファンタジーとなっているのか。始まりの12歳の少年モリオとそのモリオが2歳のとき死んでしまった母。母と子は様々な時代にその姿を変えながら未来の記憶を持って存在する。キンギョ丸とアコウ、アイゴとイタチ、鹿とおそらく義経に捨てられた少女、アイミツ丸と母トラン。母を求める少年と、子を思う母の姿は普遍ということなのか。奈良の大仏を破壊しなければならなかったのはなぜか、そして結末の大仏は何の意味なのか、良くわからない。ただ、古典や猿楽、そういった知識があればもっと理解できるのかもしれない。全体に漂う雰囲気は好きなのだが・・・

  • ぐるぐるぐるぐる──遥かなる時間を、母と子の切れない絆を描いた作品。何が何なんだと思っていたら終わっています。1度読んだだけでは全てを理解するのは難しいでしょう。母と子の、不思議な縁の物語です。

  • 頭の中がぶっとんだ。なんなんだ、これは?!常識をはるかに越える凄い本。凄まじいまでの母の子を想う念の強さにたじろぎながらタイムワープする自分。轟音の中、激しい揺れに振り落とされないよう必死になって読んだ。読んで感じたことを伝えるのは難しいが心が震えた。

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著者プロフィール

津島 佑子(つしま・ゆうこ) 1947年、東京都生まれ。白百合女子大学卒業。78年「寵児」で第17回女流文学賞、83年「黙市」で第10回川端康成文学賞、87年『夜の光に追われて』で第38回読売文学賞、98年『火の山―山猿記』で第34回谷崎潤一郎賞、第51回野間文芸賞、2005年『ナラ・レポート』で第55回芸術選奨文部科学大臣賞、第15回紫式部文学賞、12年『黄金の夢の歌』で第53回毎日芸術賞を受賞。2016年2月18日、逝去。

「2018年 『笑いオオカミ』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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