忘れ貝

  • 文藝春秋 (2004年11月19日発売)
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Amazon.co.jp ・本 (200ページ) / ISBN・EAN: 9784163235202

感想・レビュー・書評

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  • この作家さんにしては珍しい、現代をモチーフにした作品で、
    テーマは「癒し」と言っていいと思う。
    私自身は「癒し」という言葉が好きではない。
    正確に言うと、今、世間で氾濫している「癒し」の使い方がいやなのだ。
    カワイイものやキレイなものを見たり聞いたりするだけで
    癒されるはずなんかない。
    それは一時的に慰められているだけで、
    しばらくすればまた痛みは戻ってくるのだから。

    しかし、この小説では、「癒し」について真っ向から取り組んでいる。
    「癒し」とは、自力で得なければならない「力」であって、
    その後押しになるものが、環境であったり、家族であったり、他人であったりする。
    「癒し」としてそれらが作用するかどうかは、本人がどう立ち上がって、
    その場から一歩を踏み出すかにかかっている。

    内容については触れられないが(できるだけ予備知識なしで読んでほしいと思った)、
    喪失感から立ち直れない人には、ひとつのきっかけを与えてくれる本だと思う。
    この小説のラスト、勉とその友人たちに後押しされるように歩を進めた美奈子の姿が、
    自分自身の立ち直りのイメージとも重なる。
    また、そんな風に一歩を踏み出せたらいいと思った。

    こんな小説を書いてくれてありがとうございます。

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著者プロフィール

三咲光郎(みさき・みつお)
1959年大阪生まれ。関西学院大学文学部卒業。1993年に『大正暮色』で堺市自由都市文学賞、1998年に『大正四年の狙撃手』でオール讀物新人賞、2001年に『群蝶の空』で松本清張賞、2018年に『奥州ゆきを抄』(岸ノ里玉夫名義)で仙台短編文学賞を受賞。2022年に『空襲の樹』で第1回論創ミステリ大賞を受賞。

「2024年 『娘剣士 守りて候』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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