風味絶佳

著者 :
  • 文藝春秋
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本棚登録 : 1909
レビュー : 390
  • Amazon.co.jp ・本 (237ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784163239309

感想・レビュー・書評

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  • 甘くとろけるもんは女の子だけじゃないんだから―
    肉体の技術をなりわいとする男と、それに惹かれる女の心境を綴った短編6篇。


    山田詠美の描く女性はとても柔らかい。そしてイヤラシイ。
    触れるとぐにゃりとカタチを変えてしまう、とてもとても脆いものに感じる。

    二人の恋人と、職場の同僚との間を泳ぐ鳶職の男。
    「間食」

    清掃職員に料理という手段で最大の愛情と感謝を注ぐ女。
    「夕餉」

    同僚への恋心と、70過ぎても現役の祖母を持つガソリンスタンドで働く男。
    「風味絶佳」

    初恋をやり直す引越し作業員と母親とを見守る娘。
    「海の庭」

    スナックで働く女と出会い、結婚する汚水処理作業員の男。
    「アトリエ」

    葬儀場で働く父親と、大学時代の想い人との結婚に戸惑う男と、その妹。
    「春眠」


    どれもが、ゆったりとした時間の中で語られ、普遍的で、ドラマティックだ。
    「」(カギ括弧)の外で、語り手の主観で節々に綴られている自分や相手の言葉が、その場の空気にピッタリと吸いつくように存在し、そしてそれは絶大な表現力で、時には相手の女性の匂いさえもが漂ってくるような錯覚を与える。

    甘ったるくて、寄り添い、抱き合う感触。
    ピリッとして、突き放つ、痛々しい刺激。

    女の子はまさにシュガーとスパイス。
    そのどちらもが効き過ぎる。

    省みる景色は風味絶佳。そしてきっとこれからも。


    山田詠美、その他の著書

    ・放課後の音符
    ・トラッシュ
    ・ぼくは勉強ができない

    などなど。

  • 自分ではありえない恋愛模様が描かれていて、そうか、そんな愛し合い方があるのかーってかんじ。当人たちが満足ならそれでいいじゃんって。ふーん。実は山田詠美さん初めてでした。

  • ☆きっかけ 今年は今まで読んだことのない日本人作家さんの本を積極的に読んでいこうと思ったので。  ★感想 山田さんの作品、実は以前に読んでいたことに気づきました(笑・『ぼくは勉強ができない』)。短編が苦手なのもあるとおもうのですが、その主人公に少しでも共感できるところがあれば、その作品を楽しむことができるのだな、と感じました。この作品の登場人物たちには、私はあまり共感できなくて、ちょっと残念でした。

  • 山田詠美さんらしい、毒々しさ。どの短編も、ラストがもう一押しほしいなぁ、と個人的に思う。
    なんだか聞いたことあるな、と思いながら読んでいて、「シュガー&スパイス」という言葉が出てきたときに、映画を見たことを思い出しました。濱田岳見たさに見たので、どんなストーリーだったか全然覚えていないけど。
    詠美さんの「あとがき」の締め方がかっこいいです。

  • 日常の、当たり前の「綺麗」の前には、さまざまな職人のがんばりがあることを知った。少しそちらの世界を意識するよになった。

  • 短編集

    「間食」の寺内の飄々とした生き方が可笑しい。それに振り回される雄太もかわいい。
     ー彼の世界は失くなった。つまり、彼は、世界中の人を殺しちゃったのと同じでしょ?」ー

    「夕餉」夫よりごみ収集の仕事をする男を好きになる女の作る完璧な料理が印象に残った。

    「風味絶佳」表題作。アメリカナイズされた祖母に感化され、表面ではそれを拒みながらも多大な影響を受けて育ったことを思い知る孫の志郎。切なくていい話。
     ー「そんなに顔も見たくない人、沢山いるの?」「いるよ」ー

    「海の底」離婚した母はすぐ、幼馴染の作並と親しくなる。それも祖父母ぐるみで。娘である日向は初恋のやり直しのような二人が理解できない。
     「戻りたい場所」があるって幸せなことだなあとしみじみ。

    「アトリエ」とろとろな感じが大好きな麻子。食べるものにしても感覚的なことにしても。そんな麻子の希望を最重視する汚水槽清掃業の裕二。二人でとろとろ。

    「春眠」章造は好きだった女の子がよりによって母をなくして独り身の父と結婚したことがいつまでも受け入れることができないが・・・。
     ー「誰かは、必ず誰かの見方でいなきゃ寂しいじゃん?」-

    どの短編も風味絶佳でした。

  • 風味絶佳は、あまり好きじゃなかったけど、夕餉は残る話だったな。

  • 私にとって初めての山田詠美さんです。映画を見に行った時、始まる前の予告編で表題作が映画になったことを知り、「風味絶佳」という綺麗な言葉を気にしつつも読んでいませんでした。
    どの作品もどの登場人物もクセがあります。『風味絶佳』のグランマ、『春眠』の弥生、『アトリエ』の麻子など、現実に傍にいたら、ちょっと距離を置いてしまうかもしれません。このクセの強い登場人物たちを一つ一つの作品にキチンとおさめて、自然と読者に溶け込ませているのだから、詠美さんは凄い!とファースト・コンタクトで思いました。

  • キャラメルより高野豆腐が食べたくなるお話。

    読んでいた時は頭がフル回転していたことは記憶していても、内容の詳細は記憶してないので、感想・レビューが書けない。
    せめて短編集でなければ、もう少し記憶の容量に対応出来たのだけど。図書館で読んだのが二週間前で手元にないので何も書けません。無念。

    食べ物に絡めながら、人間の微妙な面を過不足なく描いていくのはさすがプロだと思った。

  • 「山田詠美、やっぱり好きだな」と思わせる満足感はさすが。タイトルになっている「風味絶佳」もとてもよいが、他の短編も素晴らしい。一人一人の登場人物に深みと立体感があり、目の前に浮かんでくる。

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著者プロフィール

山田 詠美(やまだ えいみ)
1959年、東京生まれ。明治大学文学部中退。85年『ベッドタイムアイズ』で文藝賞受賞。同作品は芥川賞候補にもなり、衝撃的なデビューを飾る。87年には『ソウル・ミュージック・ラバーズ・オンリー』で直木賞受賞。89年『風葬の教室』で平林たい子文学賞、91年 『トラッシュ』で女流文学賞、96年『アニマル・ロジック』で泉鏡花文学賞、2000年『A2Z』で読売文学賞、05年『風味絶佳』で谷崎賞、12年『ジェントルマン』で野間文芸賞、16「生鮮てるてる坊主」で川端賞を受賞している。その他の著書に『無銭優雅』『学問』『タイニー・ストーリーズ』『明日死ぬかもしれない自分、そしてあなたたち』などがある。

風味絶佳のその他の作品

風味絶佳 (文春文庫) 文庫 風味絶佳 (文春文庫) 山田詠美
風味絶佳 (文春文庫) Kindle版 風味絶佳 (文春文庫) 山田詠美

山田詠美の作品

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