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本 ・本 (408ページ) / ISBN・EAN: 9784163241500
感想・レビュー・書評
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数ある太平洋戦争の局地戦の中で、歴史の狭間に埋没した感のある硫黄島での激戦に焦点を当て、史実を記した歴史書。筆舌に尽くし難い日本軍と米軍の激戦だけでなく、その激戦に至るまでの硫黄島の兵隊の苦悩を、実に生々しく描写している。戦況の悪化から、一切の援軍を期待できず、ただ可能な限りの抵抗を繰り広げようとする兵隊一人一人の生き様は、まさに『名をこそ惜しめ』を体現している。このタイトルにこそ、激戦を戦い散っていった無数の兵士の思いが凝縮されているのだろう。戦後60年。忘れ去られてはならない歴史の事実がこの書にある。感涙必至の名作と断言したい。
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つらい、苦しい。
読んだ時はまだ若かったから、今この年齢で再読をしたいと考えている。 -
「名をこそ惜しめ 硫黄島 魂の記録」
未曾有の激戦地で物量に劣る日本兵が米軍側に多大な損失を与えることができたのはなぜか。
魂の硫黄島での戦闘の記録。この作品で特に感じたことはやはり「日本兵一人ひとりの死への覚悟」や「死闘」です。
時代、国、軍の中枢が戦争を善だと言えば善、戦争を仕掛けると言えば戦争を仕掛ける・・・、今の私達には理解しがたい時代であり、認識だと思います。勿論現在でもそういう戦争は起こりえますが、昔の時代よりはまだ大人しいと思います。
私は今でも戦争は悪だと思います。実際に犠牲になる人々は戦争に関係ない人々であり、国や政権が欲しい人々ではない。この硫黄島での決闘に参加した日本兵も同じだと思います。彼ら全てが日本こそが世界を支配するべき国だと思っていたり、戦争は善であると考えていたとは私は思えません。家族のそばにいたかったと思いますし、出来れば戦争なんて行きたくないし、死にたくも無かったはずです。しかし彼らの意思より強大な力が国であり、時代だった。結果彼らにとって戦争は避けれない存在になっていたんだと思います。
私はこの「名をこそ惜しめ」を今再度読み返し、戦争が存在した時代を感じました。また自分自身今戦争が無い日本で暮らせていることを幸せに感じ、戦争を乗り越えてきた日本を何とか次の世代に繋げたいとも思いました。
戦争に出向き亡くなった多くの日本人の為にも、私達の世代やこれからの世代は日本を守っていかないといけない、そんな意識は大切だと改めて感じました。 -
硫黄島の闘い…数ヶ月にわたる極限状態…
食糧も水にも欠き、栄養失調と伝染病に
仲間たちが次々と息絶え、
数千倍の火力を持つ圧倒的に優勢な相手に追い立てられ、
孤立無援の中、銃弾と火炎にバタバタと友が倒されていく…
同じ体験をしない限りは、
永遠に渡って理解は出来ないはずの
それほどまでに激しい、醜い、
そして悲しみとやり切れなさに満ちた日々…
空腹と乾きは生理的に無視できない生命の欲求であり、
それを否定しながらの闘いの日々は、
生きながら死んでいくに等しい…
知り尽くすことも、感じきるも出来ない…
あの小さな島で起きた真実
この本を読んで感じるのは、
戦争とは…
決して政治や利害の問題ではなく勝ち負けでもなく、
その現実の風景は、
大挙して武器を持った他人が自分への殺意を抱いて殺到することであり、
すれ違ったことも言葉を交わしたこともなかった誰かを、
「敵」とみなして怒り、憎み、その人間を撃ち砕くことであり、
一端始まれば、
誰もが自分のかつては持っていなかったはずの感情に、
泥にまみれるようにして囚われていく…
ということ。
1200キロ離れた故国に待つ家族のことを想いながら
巨大で逃げ場のない現実の中に生き、亡くなっていった
硫黄島に眠る人たちに、敬意を捧げます。 -
出たら上官や仲間に殺されると思った。
の記述にああやっぱりそうなのか、と思う。
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