まほろ駅前多田便利軒

著者 :
  • 文藝春秋
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本棚登録 : 5827
レビュー : 1147
  • Amazon.co.jp ・本 (334ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784163246703

感想・レビュー・書評

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  • 便利屋を営む多田の元に、高校の同級生・行天が転がり込んできて・・。
    仕事を通じて、困難に直面しつつも再生し自分を取り戻す作業を続ける2人。
    持ち込まれた仕事の面倒な状況に首を突っ込み、面倒な人間関係に関わるうちに、
    結局、多田は自分の内面にしまっておいた、封印しておきたい過去の出来事に
    向き合わざるをえなくなる。


    さて、2人(行天は気が向いたときに、ポイントを押さえた仕事をする程度なのだが)が
    扱った仕事の内容は、

    ペットの世話
    犬の引き取り先探し
    塾の送り迎え
    恋人のふり
    高校生の身辺警護
    納屋の整理

    様々な仕事内容もさることながら、仕事の依頼人もずいぶん変わっている。
    娼婦のルルとハイシー。(なんだかかわいい。ビブリアにも、似た雰囲気を持つ人が
    いたような。)
    小学生の由良公
    クスリの売人・星くんと高校生の清海
    木村さんと北村君

    そして、同級生の行天。
    謎の多いこの人は、痛めつけられたことで言うことを聞かなくなってしまった
    獰猛な犬のようでもあり、
    人の好さやためらわずに人の懐へぽんと飛び込める人懐っこさも併せ持つ。
    身近にいれば、近づき難い雰囲気を持っている人なのだろうが、
    本で読み、第3者として眺めていれば魅力のある気になる人だ。


    行天の元妻の凪子がいう。
    「愛情というのは与えるものではなく、愛したいと感じる気持ちを
    相手からもらうことをいうのだと」(P191)


    最近聞いたんだよね、こういう言葉。誰からだったろう・・・。
    そうだ、言ったのは年下の友達だった。
    「『幸せになる』って人はすぐ言うけどさ、幸せは『なる』ものじゃなくて、
    『感じる』ものなのにね。」
    「なるほど。メモしておかなきゃね」と私は笑いながらも、とても感心したのだった。

    どちらも能動的な自分の態度や積極性が生み出すものではなく、
    太陽の陽射しを浴びて、じんわりとした温かみが伝わってくるように、
    相手によってもたらされるものなのだ。
    対象となる人がいても、必ず与えられるものではないだけに、
    もたらされたとき、そこに喜びと感謝の気持ちが生まれるのである。

    • kwosaさん
      nico314さん!

      nico314さんのレビューの素晴らしさもさることながら、

      >「『幸せになる』って人はすぐ言うけどさ、幸せは『なる...
      nico314さん!

      nico314さんのレビューの素晴らしさもさることながら、

      >「『幸せになる』って人はすぐ言うけどさ、幸せは『なる』ものじゃなくて、
      『感じる』ものなのにね。」

      名言じゃないですか!
      その「年下の友達」さん、ただ者じゃないですね。
      いかん、メモ、メモっと......

      あっ、もしかしてこの方が「かなわない」お友達ですか?
      2013/05/20
    • nico314さん
      kwosaさん、コメントありがとうございます!

      そうなんです!
      旅行先で同室になり、夜遅くまで話し込んで眠る時に、
      布団の中でそっ...
      kwosaさん、コメントありがとうございます!

      そうなんです!
      旅行先で同室になり、夜遅くまで話し込んで眠る時に、
      布団の中でそっと手を合わせて「よい1日をありがとうございました!」と
      心の中で感謝している気配をお互いに感じて、
      距離がぐっと近づいてまたまた話し込んだのが、
      親しくなったきっかけだったんですけどね。

      愛情にあふれ、懐の深い人で、魅力的な人なんですよ!
      仲良くなれて、いやいや、出会えて本当に良かった!!
      そういう気持ちを抱かせてくれた人です。
      2013/05/20
  • まほろ駅前番外地がドラマ化されたので今頃だけど原作を読んでみた。
    仕事は一生懸命なんだけどどこか飄々としている多田と
    多田の元に突然転がり込んできたかつてのクラスメイト・行天。
    この行天が多田に輪をかけて変人で 始めは二人のキャラに馴染めなかったけど
    様々な客からの依頼をこなすうちに 多田と行天の二人の過去が分かって来て 決して仲良くはない二人なんだけど絶妙なコンビに見えてきて
    笑いさえ生まれてくるから不思議だ。
    客との依頼にまつわる悲喜こもごもかと思いきや 結構危ない場面が多くて流血沙汰も@@
    後ろ暗い過去を持ち自分は孤独だと思う二人も次第に人の輪の中で生きてるのだと思えたラストはちょっと励まされた。
    サブキャラですが施設に入ってる曾根田のおばあちゃんの予言や路線バスが間引き運転しているに違いないと言って聞かない岡さん。面白い。
    番外地にも出てくるのかなあ。続編早く読みたい。

  • 直木賞受賞作
    読んでて思った・・・便利屋は絶対儲からないと(笑)

    ストーリーは幸福の再生・・読んでいる時は気付かなかったけど、依頼人に対する真摯な接し方、くだらない仕事と思えることでもポリシーを持って行動する。背伸びするでもなく、できることだけやる。それでいてお金に見合わなくても最後まで仕事をやり遂げ、暖かく見守る。こんな男って・・いいなと思う。

    思うが、決してマネできない。が、それもいい。等身大でいいのだと、この本は教えてくれた。

  • 直木賞受賞作品。

    なんという突飛な人たちの集まり!
    行天に始まり、自称コロンビア人たち、やの付くお仕事に関わる人だったり…多田が引き寄せているのか、行天が連れてくるのかは不明だが、見ているこちらからしたら楽しい。

    後半は多田の重い部分が現れるが、読者があまり重く感じないのはこの話の雰囲気だからか、それとも飄々とする行天に引きずられているのか、まんまとこの作品の空気に入ってしまったみたいだ。

    多田が便利屋を始めた理由が素敵だった。
    「近くにいる存在よりも遠くの存在の方が救われることもある(あやふやですが…)」

  • 久しぶりの再読。
    やっぱりこのシリーズは好き。
    刹那的に生きる行天と過去の傷を引きずる多田。
    二人のアンバランスなようでピッタリのコンビが良いし、脇役キャラも良し。
    娼婦の二人や闇の男・星や、バスの間引き運転摘発に燃える岡など、これからの絡みも楽しみ。
    ハードボイルドなところや人情めいたところ、センチメンタルやコミカルなど様々な雰囲気が楽しめる。
    続編も読んでいこう。

  • 再読。
    番外地を先日読んで、あれ、もともとどんなだったっけ、と思い、探してみた。
    懐かしい。
    しをんさんの作品だったんだなあ、と、前は全然意識せずだったので、新鮮にも感じる。
    人とつながることを、やり直すことを、切ない祈りをこめて願うような物語。

  • 生々しい描写とか、闇社会の部分とか結構あったけれど、登場人物の一人ひとりに優しさが滲み出ていて、読んでいて苦ではなかったです。
    多田と行天の関係性に憧れます。

    続編があるらしいので、読んでみたいです。

    2014/04/24 読了

  • ドラマより断然原作です

  • この世界好き

  • ちょっと前にDVDを観て雰囲気を気に入って、そのときに三浦しをんさんの小説が原作だと知って、でもすぐに原作を読む気にはならず、ほかの作品に手を出してみたら、がっつりハマッた。
    今、深夜にやってる『まほろ駅前多田便利軒 番外地』を観ていたら、そろそろ原作が読みたくなって借りてきました。

    映画を先に観ていても十分楽しめる。
    あの映画は、原作のイメージをうまく映像化していたんだとこれを読んで思いました。

    大きな事件は起きない。
    過去の出来事を後悔し続けて生きる男と、少しだけ心に闇を抱える男の奇妙な友情にセンチメンタル。

    • 猫丸(nyancomaru)さん
      「大きな事件は起きない。」
      変わらないと頑なに思っている男達の心が、少しずつ変わっていくのは、大きな事件だとも言えるでしょう。。。
      「大きな事件は起きない。」
      変わらないと頑なに思っている男達の心が、少しずつ変わっていくのは、大きな事件だとも言えるでしょう。。。
      2013/04/10
    • NAEさん
      苦悩というか闇というか、そういうものを抱えた男たちの姿に感動しました。
      苦悩というか闇というか、そういうものを抱えた男たちの姿に感動しました。
      2013/04/30

著者プロフィール

三浦 しをん(みうら しをん)。
1976年、東京生まれの小説家。出版社の就職活動中、早川書房入社試験の作文を読んだ担当面接者の編集者・村上達朗が執筆の才を見出し、それが執筆活動のきっかけになった。小説家の専業になるまで、外資系出版社の事務、町田駅前の古書店高原書店でアルバイトを経験。
2006年『まほろ駅前多田便利軒』で直木賞受賞。2012年『舟を編む』が本屋大賞に選ばれ、翌年映画化された。2015年『あの家に暮らす四人の女』が織田作之助賞受賞。また、『風が強く吹いている』が第一回ブクログ大賞の文庫部門大賞を、2018年『ののはな通信』が第8回新井賞を受賞している。
Cobalt短編小説賞、太宰治賞、手塚治虫文化賞、R-18文学賞の選考委員を務める。最新刊に、『愛なき世界』。

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