真鶴

著者 :
  • 文藝春秋
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  • Amazon.co.jp ・本 (266ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784163248608

感想・レビュー・書評

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  • 「夜の公園」「風花」と似た雰囲気に早くも食傷気味だったところに、違うテイストの作品だったので読みやすかった。
    母子の関係が、距離で説明されていて、新鮮。でもよくわからない。

  • 【其の一】
    私にとってはとても怖い話でした。
    怖いので、早く結末が見たくて、どんどん先に読み進みます。
    「ついてくる」
    この言葉が始めにパーンッと出されただけでゾクッとしました。

    そして、世界のあやふやさ。曖昧さ。
    世界は自分が知覚している範囲にしか無いのかもしれないと思うことがたまにあります。
    これはまさにそんな世界です。
    普段、そんなことを考えていても、漠然としてすぐに思考は別の方向に流れていきますが、
    この作品を読んでいると嫌でもそのことに考えが集中してしまって、
    世界は自分が作っているのか、
    世界には自分しかいないのではないかと不安になりました。
    今も不安です。

    【其の二】
    死別ではなく失踪というところがミソでしょうか。
    会えるかもしれないという希望を残し、本当にお前は俺に会いたいのかと問う、
    ちょっと乱暴な別れ方だと思いました。

    【其の三】
    どうやったらああやって好きな人と別れられるのでしょうか。
    これが大人の別れ方?

    【其の四】
    川上弘美さんの作品を理解するには、私にはまだまだ人生経験が足りないと痛感しました。

  • 久しぶりに読んだ川上さんの文章。
    こんな感じの話を書く人だったっけか?

    なぜ主人公は真鶴へと何度も足を運んだのだろうか。
    主人公と共に現実と夢のような時間の狭間を何度も行き来した。

    結局、夫の失踪理由ははっきりとしなかった。
    それでも主人公にとって真鶴が、心に折り合いを付けるきっかけとなったのは確かなんだろう。

  • 人と人とのつながりのなかで生じる主人公の心の混沌に、切なくなったり、つらいな、と感じたり、読んでいて途中は心が重くなるようですが、最後は希望の見えるいい文章で終わっていて気持ちがよかったです。『過去の中に姿を消すことのできるものは、今あるものばかりだ』という文章には、なんだか胸がいっぱいになってしまった。

  • 「濃淡のぐあいが、ふしぎな話ですね」っていう台詞が本の中にあるのだけど、まさにそんなお話でした。

    最初から最後まで淡々と独特の雰囲気が漂っていて、そこにずず〜っと引き込まれていく感じ。

    言葉の使い方も不思議。

    読む人の年齢や置かれている状況によって受けとる印象が変わる本なんじゃないかなと思います。

    女性におすすめ。

  • ふわりふわり、どきっ、しーん
    読んでる間は完全にこの本に時間を奪われているみたいです。



  • ゆっくりと首を絞められるような

    ゆっくりゆっくり 呼吸が浅くなる



  • ごく個人的な事情なんだけども、たまたま他の似たような本と同時期に読んでしまって。
    結末や登場人物が入り混じってしまった。

    やわらかーい
    しょざいなーい
    ふかーい
    いたーい

    話。

    「母親」であることが、どういうことなのか垣間見た。
    確かに垣間見たと思った。

    あと、こう、全体的に

    部屋を掃除していたら、ある本が出てきて、こんなの持ってたんだーと思って掃除を続けたらその後何冊も、何冊も何冊も何冊も同じ本が見つかるんだけど、まったく記憶にない。

    みたいな気持ち悪さとか、びっくりどっきりが次第に色濃く繰り返す話です。 

  • 夫がずいぶん前に失踪し、母と娘と暮らす女性。ある日、性別不明の何者かの気配に誘われ、深い理由も無いままに真鶴を訪れる。夫の日記にも登場するこの地がなぜか気になり、何度か足をはこぶ。
    夫はなぜ失踪したのか、いまはどうしているのか、また、彼女を誘う「ついてくるもの」とは何なのか、隠された真実とは何か、というのが話の重要なポイントではあるが、母や娘、不倫関係である男性とのエピソードによって、理不尽にも夫を失った主人公の喪失感がより際立っている。感情など目に見えないものの描写が独特。

  • 十数年前に夫・礼が失踪、
    今も、生きているのか死んでいるのかわからない。。。
    あやふやの気持ちのまま、妻子ある男性と付き合い、
    娘と母と3人で暮らしている、京。

    愛する夫が残した日記に書かれていた「真鶴」の文字にひかれ、
    京は、真鶴へ向かうのだが。。。

    何かがついてくる。。。それは、存在の不確かなもの。。。

    思わず「え?!これってホラーなの?」と思ってしまった私。
    でも、読みすすめていくと、どうもそうではないらしい。。。?
    夢か現実か。。。ん????

    夫・礼が、とらえどころのない魅力の持ち主で、
    ぞわっ。。。とするような冷たさと優しさを備え持っている、
    京にとっては忘れられない大切な人だったんだと感じた。

    ついてくるものに導かれ、向こうの世界へ踏み込む彼女を引き止めたのは。。。

    何冊か川上弘美の本は読んだことがあるけれど、
    どうも、これまでのとは雰囲気が違う。。。
    断念しようかと思いつつも、いつの間にか引き込まれ、読了。
    なんとなく、理解できたようなそうでないような。。。不思議な感覚の本でした。

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著者プロフィール

作家。
1958年東京生まれ。1994年「神様」で第1回パスカル短編文学新人賞を受賞しデビュー。この文学賞に応募したパソコン通信仲間に誘われ俳句をつくり始める。句集に『機嫌のいい犬』。小説「蛇を踏む」(芥川賞)『神様』(紫式部文学賞、Bunkamuraドゥマゴ文学賞)『溺レる』(伊藤整文学賞、女流文学賞)『センセイの鞄』(谷崎潤一郎賞)『真鶴』(芸術選奨文部科学大臣賞)『水声』(読売文学賞)『大きな鳥にさらわれないよう』(泉鏡花賞)などのほか著書多数。2019年紫綬褒章を受章。

「2020年 『わたしの好きな季語』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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