- 本 ・本 (248ページ)
- / ISBN・EAN: 9784163251608
感想・レビュー・書評
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『十代って、残酷な時間なんだ。
十八の今、つくづく思ってしまう。とても、残酷な年代なのだと。
否応なく全てが変わっていく。変わらされてしまう。
留まることは許されず、立ち止まることも許されない。
ただ前へ、前へ、前へ、先へと進むだけだ。
急流に浮かぶ小舟みたいだ。』(本編より)
『ガールズ・ブルー』を少し大人向けにしたかのような、青というよりちょっとくすんだブルーグレーが似合うお話だなと思った。
あさのさんの女の子同士の話は、どこにもいやらしい表現がなく、純粋に二人の関係を描きたいという意思が伝わってきて、私はすごく好きだ。
『あなたがいるから、ありふれたモノクロな風景もあざやかに色づく』
そんなメッセージに溢れた作品だと思う。
どちらかといえばマイノリティな二人の『ありふれた風景画』、なんて素敵。
BGM:つよがり少女/BaseBallBear
*追記(4月7日)
『ガールズ・ブルー2』が出てた・・・!!
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あさのあつこさんの青春小説は最高。恋愛小説でもあり、のめり込んだ。
高2の瑠璃と高3の周子が主人公。10代、出会い、別れも生々しく、儚い。残酷な年代という表現はぴったり。高校で忌み避けられている2人の出会いからの1年間をみずみずしく描いている。
互いに対しての想いの表現の仕方が圧巻。
瑠璃と周子の心の成長が見られて嬉しい。
「日々、よく似た取り留めない会話を繰り返す人たちを軽蔑していた。魂にかすりもしない言葉を寄せ集めて、何になる。悪意や中傷や無責任な噂の温床になるだけではないかと。」
「でも、それだけじゃなかった。どんな言葉でも交わす意味はある。瑠璃が独り勝手に背を向けていた会話に慰められた者も支えられた者も心躍らせた者もいたはずだ。」
「言葉は人を傷つけもするし、陥れもするけれど、こんなふうに幸せにもしてくれる。毒なのか薬なのか、刃なのか温もりなのか、交わしてみないとわからない。そんなことも知らなかったのだ。知らないままでいなくて良かった。本気で思う。」
高校生の時に読みたかった。 -
2000年代前半に、こんなにフラットに同性同士の女性の恋をあさのあつこさんが書いていたのかと驚いたし、救われた。
あさのあつこさんは少女より少年を書くほうが好きなのだろうという印象があって、それはもしかしたら「少女」ひいては「大人の女性」に社会きら付与されるのが柔和とか曲線とか受容とかそういう良くも悪くもやわらかさの記号だからっていうジェンダー的な問題絡むのかなとふと思った。この作品の瑠璃や周子も、「ガールズ・ブルー」の理穂や美咲も、雰囲気や身体の描写に硬質さを求める感じがある。
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決めつけてしまったら、そこから一歩も動けなくなる。
何も知らないくせに、何も知ろうとしなくなる。
他人を決めつけるということは、傲慢で尊大な罪を犯すということだ。
高校二年の高遠瑠璃。
一歳違いにモデル体型で自分の美しさを熟知した姉がいる。
父と母は別居状態。
学校では、好ましく無い自分をめぐる噂が流れてるのも知っている。
そんな瑠璃が初めて心から、知り合いたいと願う三年生の、綾目周子。
周子は魔女とも変人とも噂される。
烏の言うことがわかるらしい。
全編を通して高校生のリアルな悩みや心の波立ちが描かれ、
瑞々しい言葉のチョイスが素敵だ。 -
好きです
こういう展開
颯爽としてる人達 -
しばらく前に読了。表紙絵の女の子の目が印象的。
おもしろかった。序盤からファンタジー要素が出てきたのでてっきりそっち系のノリになるかと思いきや、展開は割とリアル寄りで少し意外。異能のせいか、周子の側にあまり迷いがない感じなのがちょっと気になった。異能抜きだと、話としてはつまらなくなっちゃうのかしら。
初出が一般文芸誌で、出版社も文藝春秋だから一般書扱いだろうけど、これ児童書(YA)で出してほしかったなぁ。 -
10/49
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10
著者プロフィール
あさのあつこの作品





