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Amazon.co.jp ・本 (344ページ) / ISBN・EAN: 9784163252100
みんなの感想まとめ
複数の物語が交錯し、第一次世界大戦から世界恐慌にかけてのドイツを舞台にしたこの作品は、登場人物たちの人生を通じて、真実と虚構が交わる独特の魅力を持っています。読者は、6人の男女の物語を追いながら、彼ら...
感想・レビュー・書評
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複数の物語とそれぞれの作者略歴から、段々と全体像が浮かび上がってくるのが面白い。
最後まで読んでから最初の物語をもう一度読み返したら、より輪郭がはっきりしてみえた。
という感想を過去に書いていたのだけど、どんな話だったっけと久しぶりに再読したら、これじゃ内容を断片的にしか思い出せないはずだわと思ったのでもう少し書き足す。
第一次世界大戦から相次ぐ内戦で疲弊するドイツを生きる男女6人の交錯する人生。彼らの物語は真実か創作か願望か。惑わされる。
アルトゥールを取り巻いていながらも、なんとなくずっとヨハンが中心にいると感じていた。ヨハンの詩のせいかもしれない。
読み進めて真実が見えた後は、虚構が愛しく思えてしまう。
壊れて欲しくないけど壊れるのも見てみたいという、あやうい感覚を呼び起こされた。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
複雑な時代背景と幻想的な描写に初めはよく分からないまま読み進めていたが、徐々に全貌が見えてきて最終章にかかる頃にはもう一度冒頭を読み返したくなっていた。
当時のドイツの空気感というものが伝わってきて、現代しか知らない若い作家には書けない作品なのだろうと思わされた。
話が進むにつれて形が見えてくる様は非常に面白かったが、歴史描写と幻想描写が織り交ぜられており読む人は選ぶかもしれないと感じた。 -
いつもながらわくわくする魅惑的なタイトル。「伯林」と「蝋人形館」を合わせるとか。でもいつもながら私の期待値が高すぎたのか、中身は想定内でそれほど濃くはなかったかな。
とはいえ、やはり皆川ワールド、独特の耽美で妖しい世界を堪能した。畸形一歩手前の蠱惑的なイメージ満載。 -
入れ子構造っていうのかな?一体誰の物語が真実なのか・・・、恩田陸先生の『夏の名残りの薔薇』『中庭の出来事』とかで鍛えられたミステリ的文法のおかげで展開はすんなり受け入れられましたが、やはり皆川先生はすごい・・・。
報われないいくつもの恋・・・。
物語の中で展開される、思い出の中の年上の友人ヨハンネスを思い続けるジゴロのアルトゥール・・・そんな彼に向かう過激な舞台歌手ツェツィリエの歪な恋・・・幼いナターリャのアルトゥールへの真っ直ぐな恋情・・・そんな彼女を想うハインリヒ・・・。
これだけでもう魅惑が過ぎる・・・。
いやもう過去の男に骨抜きになってる男に恋い焦がれ続ける少女と彼女に惚れ込んでる大人の男ってもうそれだけで性癖タコ殴りすぎて・・・。
運命の相手の他の男にも恋してる女とか・・・。 -
未読の方には一気に読むようおススメします。
私は3週間位かけて少しずつしか読めなかったので、頭大混乱です。
物語は6人の登場人物を軸に進みます。
6人それぞれの「物語」と「作者略歴」からなっています。
ここ、詳しく言えないけれどポイント(笑)
重くて暗いのだけど、霞んでるのだけど、とっても綺麗な世界です。
「全ての物語を書き終えたものには、自殺の特権を与えよう」
舞台は第二次世界大戦前のベルリンやらです。ヒットラーも少しだけ出てきます。
暴動多発、銃は普通に手に入り、管理のゆるい病院から薬持ち出し放題・・・
題名の通り、「蝋人形」が、勿論出てくるのですが。 とっても効果的。
なるべくしてなったという感じの作品です。
笑える場面は1つもないけれど、色んな廻り合わせ、偶然とある人の意図からなる必然とが錯綜して、もうどきどきです。
物語の中で繰り返される「熱帯植物園」の描写があるんだけど、それがまた良い。
場所毎の世界観の違いがはっきりします。
神は世界を壊すために世界を作った。
それをまねた実験を行ったZ**。
うん、面白かった。
けれど、たぶん私はこの物語の40%位しか読めていないので、★4つで。 -
猥雑で退廃的で耽美で甘美。第一次世界大戦から第二次世界大戦までのドイツを舞台にした、薬と蝋と熱帯植物の臭いが漂う本。
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6人の男女の人生が、時系列を前後しながら絡み合っていくさまは読み応えあり。薬の影響か、全編に、窒息してしまいそうな艶めかしさと妖しさを感じる。
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混乱を極めた1900年代前半のドイツで翻弄された6人の登場人物たちのそれぞれの小説と「作者略歴」という現実の描写で進んでいく物語。
最初は本当に霧を見ているように曖昧で何もわからない状態だったけど視点が変わるたびに世界が開けてベルリンに引き込まれた。
結局アルトゥールがいかに魅力的であるかという描写に尽きるんだけど、この複雑な物語のなかでアルトゥールへの潔い想いが輝いていた。
あと、この時代のヨーロッパって最悪だけど好き。
本当の最悪はこの物語が終わってから始まるんだけど。 -
20世紀初頭のドイツを舞台とする、連作幻想小説。
オムニバス風の構成そのものが全体の構想の肝となり、入れ子の作中劇が三重に含まれ、虚構と事実の混濁が読み手を幻惑させる。
慣れていないと冒頭から暫くは少々読み難いが、掌編が折り重なるにつれ、登場人物の相関関係や場面展開がジグソーパズルを嵌めるように濃厚に浮かび上がって引き込まれてゆく。
時代背景をがっちり押さえた描写が屋台骨となっているので、世界観が骨太に構築され、読み応えがある。
掌編のピリオドを打つ『書き手』は、物語を綴ることで他人を愛し、愛するために綴った。
それは、或る意味見事とも言える妄想の昇華であり、鋭敏に曝け出された告白でもある。
そしてまた、某か創作を発信する者は、多かれ少なかれ、この『書き手』と近い心境に立っているのではないかと感じられた。 -
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こういう世界が描ける作家はすごいと思う。出てくる単語が使い古されたものだとしても,鏤められた人物達の思いが最終的にまとまっていく構成はおもしろい。
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ツィツィリエが好きだ。
繊細な男に魅入られた男と女たちの話。 -
断片的に繋ぎ合わされる物語。時系列も前後したりしているし、なかなか全貌が見えなくってやきもきしたりもしましたが。徐々に繋がってゆく感じが良いのかも。期待したような「ミステリー的仕掛け」はさほどなかった気もするけれど、全体的に謎は満ちている印象。
皆川さんで蝋人形、というと、やっぱり耽美で禍々しかったな。特にあの入り口の光景を想像してみると、滑稽でグロテスクな気もするのだけれどやはりひどく美しい。非常に印象的。 -
09/02/19読了
時代はWW1〜くらい。
それぞれの登場人物の視点から絡み合って結末にいくんだけど、この人の本は今までは現実→時間経過につれ幻想的に、な感じだったのにどちらかというと今回は反対だったような。それはそれで面白かった -
続きが気になって気になってしかたなかった。
読後感がとにかく悪い。
それでも、それが不満かというとそういうわけではないし、むしろ読んでよかったと思う。
そこが皆川作品のすごいところだなあ。
全編に渡って点と点が線としてつながる気持ちよさと、気持ち悪さが一緒に内包されている。
この話は、最終章のツィツィリエの言うとおり、彼女のための物語とも言える。
彼女は思うまま、自分作の奇妙な寸劇を作ろうとする。
読んでいて、とにかく私はその傲慢さが気に入らなかった。
俗っぽいので作中のマティアスとツィツィリエを憎む気持ちさえあって、
特にマティアス、お前許さんぞ…と思ったりした。
でも、マティアスもツィツィリエもキャラクターとして純粋に面白いと思うし、その物語をもっと読んでいたいと感じた。
(憎む気もあれど、同時に「じゃあどうするのか」ともっと知りたくなるような)
アルトゥールがヨハンを神格化して傾倒するさまは「総統の子ら」のカールとヘルマンの関係のようだった。
「太陽馬」でも感じたけど、性的な欲望を介さない男性同士の脆い憧憬・崇拝・執着的なものの描き方がとにかく美しい。
皆川先生はどうしたらこんな作品を書けるんだ。
ドイツのふたつの大戦間のベルリンがどうであったかと、ドイツの地理を少しでも知識として持っていたほうが楽しめると思う。
にしても、最後の書簡は説明的すぎる気がする。
あのわずかなページはなくてもいいように思う。 -
いったい何が真実なのか未だにわからない。
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うわー、これぞ皆川!といったカンジの退廃的で耽美な雰囲気がすばらしい!
それぞれの視点から語られる、重なりそうでズレていく物語。とても幻想的です。 -
なんでしょう、WW1あたりからヒトラー台頭あたりの時代のベルリンを舞台にし、かつて少年兵で今は堕落したジゴロの青年貴族、ロシアから亡命した一家の少女、少年兵だった頃の若者に助けられた男、蝋人形師、実業家、名の売れた歌手で蝋人形館の女館主等々の視点とさらに彼らの略歴からなる、いわゆるひとつの幻想“藪の中”? 仕掛けの二重底っぷりが皆川作品らしいと思いました。
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耽美な世界。
囚われます。 -
陸軍幼年学校から軍人の道を歩むはずが、ジゴロとなったアルトゥール。
帝政ロシアからドイツに亡命し、シナリオライターを夢見るナターリャ。
ミュンヘン市民のプロレタリアートでルンペン暮らしから這い上がり、ナチ
党員となるフーゴー。裕福なドイツ系ユダヤ人の家に生まれ、義勇軍に参加
した後、大富豪となるハインリヒ。薬を常用する蝋人形師マティアス・マイ。
カバレット“蝋人形館”の看板歌手ツェツィリエ。彼らの人生は、様々な場所、
時代で交錯し、激動の歴史に飲み込まれていく―。
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著者プロフィール
皆川博子の作品
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