kaizenさんの感想
2011年9月11日
西村の作品では、地方の文化の記述が薄いことがある。 本書は、「遠野伝説」というだけあって、遠野地方の具体的な描写が多い。 花巻からタクシーで遠野に向かう。 早池峰山に登って高山植物を摘み取って胴乱に納める。 早池峰神社の山門、参道のそばを登山道が伸びている。 福泉寺 遠野地方では、馬を飼っていた名残が曲がり家。 人間が住む家と馬を飼う部分が90度曲げて作られる。 馬と長者の娘の話。 馬の皮を抱きしめていると、みるみる天に登っていった。 豆腐とコンニャク。 道の駅。 カッパ淵。銅像、祠。 これだけ記述があるのはめずらしい。 話は、漢方薬を作るのに投じたお金がどこへ行ったか不明で、納得がいかないが、西村京太郎の興味の範囲外なのだろう。残念。
一九三〇(昭和五)年、東京生れ。鉄道ミステリ、トラベルミステリの立役者で、二〇二二年に亡くなるまで六〇〇冊以上の書籍が刊行されている。オール讀物推理小説新人賞、江戸川乱歩賞、日本推理作家協会賞など、数多くの賞を受賞。 「2022年 『十津川警部と七枚の切符』 で使われていた紹介文から引用しています。」