- 本 ・本 (328ページ)
- / ISBN・EAN: 9784163258607
感想・レビュー・書評
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小説を読む醍醐味の一つは知らない世界を知るということである。
実は俳句の世界というものは全くの門外漢である。句会というものがどのように行われているかも知らなかった。その意味でこの小説を通じて見た俳句の世界はとても興味深い。
もっとも昭和7年8年がこの小説の時代であるので、現在も俳句の世界はいささか違うのかもしれない。
さてこの連続短編の小説は三人の女性がそれぞれの話の主人公となって展開するが、昭和初期の女性とはかくもこんなものかといささか羨ましく思ってみたりする。その時代がいいなんていうのは私のドグマであろうか。 -
ちゑさん中心の話かと思えば語り手が変わって物語が進む進行でそれぞれの物語あり面白かった。壽子さんがモダンガールな髪形になっていくあたりがめっちゃおもしろい。
句会、推敲されて作品が完成していくくだりも魅力的。 -
直木賞の候補作品。
暮愁先生のお宅で開かれる句会は個性豊かな面々が集い、とても楽しそう。
暮愁先生を密かに慕うちゑの気持ちや、ちゑが詠む俳句が素敵。 -
暮愁先生のもと、俳句を学ぶちゑ・壽子・松太郎。
うるはしき3人の乙女の周りに起こる、さまざまな出来事。
彼女たちは心の内に思う事を、どんな風に俳句に詠み込むのか・・・。
3人3様、性格が全く異なっているので、読み比べてみるのも面白いです。
乙女たち3人の出会い。松太郎さんと妹との悲しい別れ「とら、とら、とら」
女傑が持ち出した大がかりなイベントは・・・「おんな天一坊」
壽子のもとに届けられた秘密の恋文「冬薔薇」
思い上がった句会の新人仲間にぎゃふんといわせる「艶書合」
ちゑに舞い込む縁談、暮愁先生を悩ませる、大手句会の主催就任話。雪解け水のように、人はひとところにとどまってはいられない・・・「春の水」
の5編。
直木賞候補でしたね、この作品。
ラストがどうにも納得できなくて、私も☆3つです。話自体は興味深くて、情緒にあふれ、なかなかわたし好みだったのですが、やはりあのラストはさびしすぎるなぁ(泣)
でも暮愁先生の最後の一句、
百千鳥 この空のもと いづことて
に、ちゑへの愛情を感じてうるうるっときました。
ちゑの
春の暮 うれひもこひも もろともに
という句への返事のようにもとれて、乙女心がキュンときました。 -
直木賞候補に挙がったことで知った作家さん。時代背景も、句会という今まで知らずにいた世界もすべてが興味深く素敵な作品でした。3人の女性のやり取りがとても微笑ましく、仲間に入りたくなってしまいます。ただラストは私には予想外で、少し切ない気持ちになりました。
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昭和初期、暮愁先生の元で開かれる月一の句会で知り合った、ちゑ、壽子、松太郎は性格や境遇は違うけれど確かな友情を育んでいく。そんな三人に訪れる恋や悩みを俳句に乗せて時代の移り変わりとともに楽しめる一冊。俳句というとなんだか堅苦しいイメージがありますが、句会の様子はとても和やかで楽しそう!句会のルールや季語について学ぶのも良し、暮愁先生のユーモア溢れる俳句に吹き出すも良し(笑)。句会の帰りにお汁粉片手にお喋りに興じる三人娘はまるで女子高生のようで可愛らしくて微笑ましい!魅力的な登場人物たちに思わず頬が緩みます。
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俳句と句会に興味があって、NHKBSの俳句王国という番組を毎週見ていたことがある。句会は結構知的でスリリングな遊びだと思う。私みたいな人には、この小説は面白いです。毎月の句会の話がメインですから。それ以外の人にはどうなんでしょう。昭和初期の情景が描かれ、淡い恋愛模様も描かれていても、句会の添え物のような気がします。
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最初は何ともかったるく感じたけど、読み進むにつれ、句会という一般人にはなじみの薄い世界を通した昭和初期の時代描写や3美人の心理描写の巧みさに惹きつけられた。それにしても、昭和は遠くなりにけり、だなぁ…
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俳句に使われる季語ってなんて深い意味があるんでしょう。つくづく日本語の美しさ、またその言葉に含まれる意味合いに心が洗われた。
舞台となる日暮里・浅草・日本橋などは土地感があるところなので、尚一層楽しめた。
著者プロフィール
三田完の作品





