小袖日記

  • 文藝春秋 (2007年4月23日発売)
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感想 : 118
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  • 本 ・本 (272ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784163258904

感想・レビュー・書評

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  • 「源氏物語」執筆のお手伝いとしてネタ提供する小袖ちゃん。
    雷に打たれ気づいたら平安時代に転移して17歳の張りのある体になっていた。しかも重力も軽いようで身体能力も上がってたとか。
    平安時代の貴族社会の女性たちって生きずらかったんだとしみじみ思う。身分が高いと働きに行くこともできず、高級娼婦として通ってくる男たちに生活援助してもらうか出家するかだなんて。選択肢少なすぎる。
    高校時代、源氏物語を読んで女好きの夜這い話だと思って辟易してたけど時代背景とか知るとなかなか奥の深い物語。
    年齢、容姿に拘らず逢瀬を交わした光源氏もただの女好きじゃなかったのかぁって気もしなくもないようなっw

  • 三浦しをんさんの『本屋さんで待ち合わせ』で紹介されていて
    「ぜったい読みたい本リスト」にすかさず書き込んだ1冊です。

    さすがしをんちゃんのオススメ本!
    (あ、この場合、本当は作者の柴田さんをさすがと言うべきですよね、ごめんなさい!)

    雷に打たれて現代から平安時代へと変則的な(?)タイムスリップをして
    小袖という女官の身体に、意識だけ入り込んでしまった女性の物語なのですが

    意識を取り戻した途端、自分を囲む女房たちを見て「おかめの大群!」と慌てふためき
    立ち上がろうとして自分の髪をふんづけて鼻から転び
    仕事中に小柳ゆきのバラードを歌えば悪霊退散の加持祈祷をされてしまうという
    冒頭の描写から、笑いが止まりません。

    でも、この小袖、実は源氏物語を執筆中の紫式部こと香子さまに
    物語のネタを提供するという、日本文学史上、重大な役目を担う女性だった!
    という設定が、また素敵。

    夕顔が糖尿病だったり、なぜか末摘花が絶世の美女だったり
    葵の上は生霊になど祟られてなかったり、明石の上に熱愛の相手がいたり。
    パラレルワールドを逆手にとって、源氏物語をシニカルな視線で書き換えながら
    千年たっても変わらない男の身勝手や
    生まれてくる命のため、恋敵を庇って不名誉な噂を一身に引き受ける女性の
    凛とした姿勢が描き出されます。

    「わたしの書く物語の中では、男のひとたちにも苦しみを感じ、
    愛に対する責任も最後まで果たしていただきます。」 
    と高らかに宣言する香子さまに拍手喝采し、

    現代だろうと平安時代だろうと、生まれてしまった時代の中で
    いろんな呪縛にとらわれながら、懸命に幸せを探して生きる
    すべての女性たちにエールを送りたくなる物語でした。

    • まろんさん
      まっき~♪さん☆

      あら~、図書館にありませんでしたか(>_<)
      ブックオフとかに格安で置いてあるといいですね~。

      私も柴田さんがこんなタ...
      まっき~♪さん☆

      あら~、図書館にありませんでしたか(>_<)
      ブックオフとかに格安で置いてあるといいですね~。

      私も柴田さんがこんなタイプの本を書くなんて、ちょっと意外でした!
      おかめ軍団の真ん中で目を覚ましたヒロインのパニックぶりの可笑しさも
      光源氏のモデルとなった平安時代の貴公子たちへのシニカルな視線も
      とてもいい感じにブレンドされている本でした。
      まっき~♪さんも、なんとかして読めますように!
      2013/02/25
  • 読んでいる途中はちょっとイライラすることもありましたが
    読み終えてみれば、面白かったなーという感想です。

    21世紀の現代で、不倫相手にフラれて自棄になってた女性が
    雷に打たれて目を覚ましたら、平安時代の貴族の屋敷。
    藤原道長の娘・彰子の教育係である香子お付の女房。名は小袖。
    その香子さんは「源氏物語」を書いた紫式部であり、
    小袖はそのネタに都の恋の噂を聞き集めている、らしい。
    一言でいえば、タイムトラベルものの源氏物語パロディ。

    現代の感覚で平安時代の暮らしを見た感想が結構リアルなのかも。
    臭いとかね。
    おかめだらけでみんな慢性栄養失調だとかね。
    日常生活や世俗の描写もおもしろい。

    源氏物語の儚げでたおやかで頼りない姫君たちは
    ほんとはちゃんと自分らしく生きていたんだよ、
    嫉妬に狂ってただけじゃなく弄ばれてただけじゃないんだよ
    てかみんながみんな光源氏に夢中なワケないじゃん
    のような解釈でちょっぴりシニカルに書かれています。
    女としては原作よりこっちのほうが共感できる。

    千年たっても変わらない男と女の姿があり
    そうなれば、自分が生まれてしまった時代を懸命に生きて
    幸せを探し続けるしかないのよね。

  • 高校時代に古典の授業でやった事を思い出しながら前半読了。後半はどうなるのか楽しみながら夢中で読んで、最後には涙。大切な事に気付かせてくれる一冊でした。ミステリ要素があったり、この時代の食料やトイレ事情、女性たちの生き様など分かりやすくて、想像以上に面白かったです。

  • 2013.8.13読了。
    雑誌に載っていたので、借りて読んで見した。
    久々古典をテーマにした小説。だけど、SFなので読めるかなと思ったらすんなり読めた。
    「夕顔」「末摘花」「葵」「明石」「若紫」の中では「明石」が良かったな。
    こんなラストかぁ、と。恋に生きた女って感じで(笑)
    「若紫」は現代に戻るための話みたいで、流し読みになってしまった。
    現代語訳でいいから源氏物語、読んでみようかな。

  • はじめて読んだ作家さんの本ですが、他の作品も読んでみたいなと思う1冊でした。
    「あたし」が主人公の私小説風ですが、平安時代にタイムスリップという設定もおもしろかったし、源氏物語にかけてその裏は・・・というところも良かったと思います。

  • 源氏物語をベースにした本。
    主人公が平安時代?にトリップしてしまうという、少しSFっぽさがある。
    源氏物語を知っていると格段に面白いと思う。
    あまり知らない人が読んだら、分からないところがあるかもしれない。
    (宜しければ、うちの本棚にある『まろ、ん?』を読んでからこの本をどうぞ)

    主人公のサバサバした感じが良かった。
    本人の源氏物語に対する思いとかが中々面白かった。
    語りが現代人なので、よく見る現代人の容貌を想像してしまうが、出てくる女性達はみんなおかめ。
    そのおかめがどうも想像しづらかった。
    話はミステリーのようで面白かった。
    本来の源氏物語の裏でこんなことがあったら…と想像するだけで面白い。
    欲を言えば、『若紫』もそのようなテイストにして欲しかった。

  • 7月半ば 最近の柴田よしきは何を読んでも外しませんなあ。源氏物語を逆手に取ったというか、こんな本が書けるとは思わなんだ。全部読みたくなっている。

  • 平安時代?にタイムスリップ。源氏物語の裏話的な話。面白いだけではなく女としての生き方を思う。

  • 2021年7月4日
    末摘花や夕顔、葵の上の真相?
    そんな事情があったとしたら、すごく面白い。
    タイムスリップはよくある話だけど、源氏物語のこの解釈はなるほどと思わせる。
    都の悪臭、不衛生も初めて知った。雅な世界の良さとマイナス点がリアルに感じられた。

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著者プロフィール

 小説家、推理作家。
『RIKO-女神の永遠』で第15回横溝正史賞。
 猫探偵正太郎シリーズ、花咲慎一郎シリーズ など。

「2021年 『猫日記 Cat Diary』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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