夜想

  • 文藝春秋 (2007年5月30日発売)
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本 ・本 (448ページ) / ISBN・EAN: 9784163259901

感想・レビュー・書評

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  • 妻子を事故で失った主人公は、物を通してその人に起きたことなどが分かるという女性に会い、救われます。

    もっとたくさんの人がその女性に救われて欲しいと思った主人公は、その女性と共に宗教団体のような団体を作ります。

    テーマは、悲しみは無理して消さなくてもいい。悲しみを乗り越えられないのならそれでいい。その悲しみを受け入れて生きていけばいい。だと思います。

    物語は、男性目線と、娘に家出されて探しまくる女性目線で進んでいきます。

    最初は、団体を立ち上げちゃうし、宗教団体じゃないと言ってもそんな感じだし、悲しい終わりが見えているよ。と思いながら読みました。

    中盤から後半になると、ページをめくる手が止まりません。

  • 妻子を事故で亡くした主人公が
    街で偶然出会った不思議な女性に救われる。
    彼女は持ち物から相手の過去を読み取れる特殊な能力を持っていた。

    彼女に感謝し、尊敬し、やがて崇拝になり
    そんな人たちが一人増え二人増え…
    新興宗教ってこうやってできあがるんだな。
    初めの志は高くても
    運営していくうちにそうなってくんだな。

    終盤で主人公がちょっとおかしくなってくんだけど
    あれ?もしや最初からおかしかったの?
    どこから?となった。

    超能力的なことはほぼ信じてないので
    もしかしたら遥も最初からマスターと組んで
    騙してたのかなとかまで思ったけど(笑)

    人って自分に都合のいい考え方で
    いくらでも進んでいけちゃうんだな。
    宗教にしたくないと思いながらも
    せざるを得ない主人公は
    結局なんなんだ。
    そして能力者の遥はなにがしたかったんだ。

    もし私が遥なら、能力を信じてもらえなかった過去や
    恐怖で絶対目立たないように生きてくと思うけどな。

  • 2つの話がクロスするように進みます。話の流れとしては、それほど驚くことはなく、わかりやすい伏線を素直に回収していく感じでした。

    主人公が自分の異常さに気づくまでは、なんとも気持ち悪い感じのキャラです。そんな主人公に、喫茶店で発した笠置のセリフが良かったな。

  • 宗教がテーマ、という事であの傑作、『慟哭』のような作品なのだろうか、と思ったがまるで違った。何というか、貫井らしい濃さがなく、物語も平坦で、展開も驚くほどに平凡だった。

  • 不思議な力を持つ美しい女性と悲惨な事故で妻子を亡くしただ無気力に生きてる男性。2人が出会い人を助けたいという思いが宗教のような集団になっていくストーリー。宗教組織でのトラブルがストーリーの大半だけど読み終えてみると宗教組織は頭に残らない。こんなにページ必要ですか?それよりラストで明かされる主人公雪藤が精神的ショックから立ち直るために幻覚幻聴で心を癒していた事や、精神を病んでる娘を探す母の不気味さが印象に残った。この雪藤と遥はこの後どうなるのかな。それが気になった。

  • 交通事故で妻子をなくし、抜け殻のようになってしまった男。彼が偶然出会った若い女性、彼女は物に残った思いを読み取ることができるという不思議な力を持っていた。
    彼女を引き上げ、サポートをしたい。自分のように、彼女に救われる人間は多いはずだ。自然発生のように集まった人々と共に宗教的な団体を立ち上げることとなる…。

    不思議な力を持った天美遥、彼女を支えると誓う雪藤直義、娘との関係に悩む主婦の小安嘉子。
    物語は雪藤の語りで進んで行きますが、そこに不穏な空気を纏って割り込む小安嘉子の物語。
    全く関係ないのに、何だろう?と思って読んでいたのですが、このおばさんが恐いんだなぁ~
    想像通りと言えばそれまでだけど、常軌を逸した人間が一番恐いと思いました。
    自分の心を救えるのは自分自身。この作品もずっしり重い。いまだ余韻に浸っています。。

  • デビュー作『慟哭』以来の、宗教をテーマにした小説。登場人物の機微が丁寧に描かれていることと意外性のある展開で、読みごたえがありました。

    「なぜ人は、自分の眼鏡でしか世界を見ようとしないのか」と相手を非難すること。その行為もまた自分の眼鏡でしか世界を見ようとしていないというパラドックス。

  • とにかく怖いの一言。好きにはなれないし読むのも時間がかかったかな。こうやって人って宗教にはまってくのかなぁ。とにかく私には無縁の世界だし理解もできない。物語としても派手さはないというかあまりパッとしないかな。全く好きにはなれない。

  • 妻子を事故で亡くした主人公が、特殊な能力を持つ女子大生に出会う。彼女の純粋に人を助けたいという気持ちを活かそうとした主人公の行動は、彼の意思に反して、彼女を教祖とする新興宗教まがいの団体の設立へ発展していく。
    新興宗教の話ではなく、悲しみから逃れられない主人公の再生物語。
    ラストのほうでは驚かされることがいくつかあり、ミステリー的にも満足。
    (図書館)

  • 妻子を事故で亡くした雪藤が
    特殊な力を持つ遙に出会い、彼女の力を広めようと
    新興宗教まがいな団体を作る話。

    誰にもどこにも面白味を感じられず
    最後の、おそらく言いたかったであろうことにたどり着くまでが
    ひたすら長かった。

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著者プロフィール

1968年、東京都生まれ。早稲田大学商学部卒。93年、第4回鮎川哲也賞の最終候補となった『慟哭』でデビュー。2010年『乱反射』で第63回日本推理作家協会賞受賞、『後悔と真実の色』で第23回山本周五郎賞受賞。「症候群」シリーズ、『プリズム』『愚行録』『微笑む人』『宿命と真実の炎』『罪と祈り』『悪の芽』『邯鄲の島遥かなり(上)(中)(下)』『紙の梟 ハーシュソサエティ』『追憶のかけら 現代語版』など多数の著書がある。

「2022年 『罪と祈り』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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