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- 本 ・本 (320ページ)
- / ISBN・EAN: 9784163262109
感想・レビュー・書評
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「人生とは何か」なんて今どき手垢に塗れてカッコ悪いテーマだ。だが、小林紀晴という書き手は911の記憶と父の死の体験を入れ子式に語る過程でどうしてもこの問いと向き合わざるをえなかったはずなので、その真摯な態度に胸打たれる。今でも生々しく当時のことが蘇るNYCの日記形式の記録も、父をめぐる記憶も(個人的にはポール・オースターすら彷彿とさせられ)実に感動的だ。だが、両者は噛み合うようで噛み合っておらず、どこか思い出話を2本読んだ後のような尻すぼみな感触を覚える。しかし、この「続き」を期待したくもなり困ってしまう
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9.11のテロという突然の喪失と末期癌を患った父親の死という緩慢なる喪失を交互に描いています。著者は写真家だけあってか瞬間の情景を切り取るような文体が独特です。「失うものなど何もない」と思っていたのですが、この本を読んでそれは何も失ったことのない者の傲慢だった、と思うようになりました。心にヒリヒリしたものが残りました。
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