楽園 下

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  • 文藝春秋
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  • Amazon.co.jp ・本 (361ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784163263601

感想・レビュー・書評

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  • 『楽園 上』を読み終えて、下巻をすごく読みたくなった。

    下巻

    無関係にしか見えない伏線(当然意味がない物はないはずですが予想できない感じ)が収斂されていきます。
    見えたくなかったものにたどり着くとき、人は無意識に「逃げ」てしまいます。
    でも見えてしまったものは見るしかないですね。
    そんな「見る」を感じる話でした。

    私は宮部みゆきさん作品で『火車』が好きです。
    普通の人と違う能力を人は望みます、羨ましがります。
    でも得た人は違う能力に戸惑い、苦しみます。

    「宮部みゆきさんの物語は、フェアであることを意識している」と聴きました。
    片方だけでなく、もう片方の視線を常に意識していることを感じました。

    『楽園』
    望みなんでしょうか。幻なんでしょうか。

    「楽しい」時間、場所。
    誰にでもつかむ権利があります。
    誰にも遮る権利はないです。

    あ~、いろいろ考えさせられます。
    良い話です。
    また『模倣犯』を読み返したくなりました。

  • 職場の方にお借りしてました。下巻です。

    上巻よりも印象が悪くなってしまいました・・・ホント無駄に長いんだもの。そのくせ描くべきところはほっとくんだよね。

    例えば山荘の絵の話。本筋と絡むことなく終了しちゃって・・・
    模倣犯のスピンオフ作品だということを前面に出して宣伝してるのなら、ココを外しちゃダメでしょ、と私は言いたい。
    っていうか、そこをほっておいたくせに等の能力と事件の関係性も最後まで希薄で、だったら余計に等を登場させる必然性が全く感じられませんでした。
    だからこそせめて、模倣犯との橋渡し的な象徴として、山荘の絵の話を使うべきじゃないのか?

    それとか、上巻で「ちや」にまつわる話を永遠してたのに、これも結局本筋と絡むことなく終了しちゃうし。
    とにかくそんな感じの本筋と関係のない話が多すぎて、スピード感なくってイラっとしちゃう。

    あとは私、やっぱり滋子がキライみたい。
    職場に迷惑かけまくりだし、暴走しすぎて失礼だしデリカシーないし、とにかく関わりたくない下世話なおばちゃんでした。

  • 「模倣犯」から9年後の別の事件、ルポライター前畑滋子がまた関わってしまった。出だしは超常現象の解明風に始まったため著者の「おそろし」の現代版みたいになるのかと思っていたら、やはり難解な事件に突入し、また著者のテーマとも思われる、悪は感染するのごとく事件はつながっていく。一般家庭でもちょっと間違えば起こりかねない事件であり、その時家族はどうすればいいのだろうかという問いかけだけが残ったが、最後に敏子さんに幸せの兆しが見えたところで救われた感じだ。

  • ラストが温かくて、ほろりとくる。

    上下通して読んでいくと、「きょうだい」というものの理不尽さが心に残る。
    誠子は確かにいい子だったのだろう。茜は確かに強情でひねくれた子だったのだろう。でもそれは生まれた時からそうだっただけでなく、その後の生育環境による部分も大きく影響するのだ。
    もともときょうだいというのは親の愛を奪い合う存在である。血を分けたことがプラスに働くこともあるが、幼い頃はまず親の愛を奪う敵なのである。

    下巻の後半に出てくるくだりが胸に刺さる。
    もし家族の中に良くない者がいた場合に、いったいどうすることが正しいのかという問いだ。茜は殺されてしまった。三和明夫は温情をかけ続けてもらったあげくに逮捕された。
    荒井事務局長はいう。「それならどうすればよろしいというのでしょう」と。
    切り捨てればいいのか。放り出してしまえばいいのか。
    だからといって殺してはいけない、というのはあくまでも第三者の意見だ。
    切り捨てられない関係の中で、どうしようもない存在が生まれてしまったときに、いったいどうすればいいというのだろうか、という問いは、なんだか悲鳴のように感じられた。

    さらに、最後のほうに出てくる「楽園」に関する記述も胸をうつ。
    楽園は予め失われている。それでも人は楽園を求めてしまう。どんなものであろうとも、その楽園は求めた者の楽園であるのだ、と。

    人の業というものをつくづく考えさせられる物語である。

  • 等が誰の記憶を見て土井崎家の秘密を描いたのか知るために
    滋子は等が参加していた「あおぞら会」へ取材に訪れた。
    また誠子や近所の人びと、叔母夫婦の記憶を頼りに
    生前の茜の人間関係を洗い出していく。
    すると土井崎元が職場の人間から誠子の治療費だと偽って
    借金を重ねていたことがわかった。
    もしかすると土井崎夫妻は誰かに脅されていたのではないか。
    茜の不在を不審に思う人物はいったい誰か。
    「あおぞら会」に参加してもらった刑事秋津の妻から
    会長の親族に怪しい男がいるという情報が入り
    事件は一気に収束へと向かう。
    カバー写真;小山泰介 装丁:鈴木正道(Suzuki Design)

    身内に問題人物がいる場合どうすればいいのか。
    見捨てるのか、責任を取って殺すのか、暴れないように甘やかすのか。
    難しい事態だし解決されてもいませんが考えるきっかけになります。

    これも上巻から間が空いたので
    最初滋子と誠子と敏子が誰が誰だかわからなくなりました。
    茜の死の真相を知るまでの地道な筋道はいいんですが
    事件の発端も解決への決め手も超能力というのは少しいただけない。
    『模倣犯』を読んでから挑んだほうがよかったかな。

  • 感じたこと

    前畑滋子は宮部みゆきなのではないか?と思わずにはいられなかった。

    宮部さんは
    ある出来事を調査し、裏を取って、推察することに喜びを感じる人なのではないか、とか
    仮説を立てて、検証するのが好きな人なのではないか、とか

    なぜなら、そういうシーンが描かれている場面は読んでて楽しかったから
    でも、もしかすると、自分自身が仮説→検証→反省という行為が好きだからかもしれませんけどね

  • さすがは宮部さん、と言うしかない。

    最後になって楽園の意味がわかった時はちょっとぞくりとした。

    人物の切り取り方がうまいのかなぁ。

  • ちょっと不思議な力に不思議な話とサスペンス.ぽろぽろと,ちょっと心を打つシーン.こう書くと小粒に聞こえるけど,正反対で,色々なものがちゃんとつながっていてとても面白い.子をなくす親の,様々な心が描かれていて,どれ一つとっても心が揺さぶられるのに,それがたくさんとなると...

  • 読んでいて、もちろん小説ではあるが、ジャーナリストってなんなんだろう?って考えさせられた。
    それぞれの家庭にそれぞれの事情が有り、そっとしておいて欲しいこともあるはず。
    主人公の滋子は、最初は気の進まない依頼ごとであったが、次第に自分自身が納得したいがために、関係者の止めてほしい、という要請を無視するような形で、他人の人生に踏み込んでいく。
    滋子を助けるような形で登場する刑事たちも、あまりにも軽くて、正直この小説の登場人物に対して誰にも全く好感が持てなかった。
    そのせいか、読み終わっても納得感というものはなく、釈然としない感じだった。

  • 読み進めていくうちに、なんだか中心がぶれていくような、
    焦点が合わないような感覚でした。

    それに、サイコメトラーという不思議な能力を扱った理由が
    いまいちわからなかった。

    読み終わった後に気が付きましたが、
    模倣犯での山荘の絵の謎が不明。

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著者プロフィール

宮部 みゆき(みやべ みゆき)
1960年、東京都生まれ。1987年に「我らが隣人の犯罪」でオール讀物推理小説新人賞を受賞し、デビュー。
1992年『龍は眠る』で日本推理作家協会賞、1999年には『理由』で直木賞、2002年『模倣犯』で司馬遼太郎賞、2007年『名もなき毒』で吉川英治文学賞など、数々の文学賞を受賞。
大沢オフィス所属。日本推理作家協会会員。日本SF作家クラブ会員。直木賞、日本SF大賞、小説すばる新人賞、河合隼雄物語賞など多くの文学賞で選考委員を務める。
『模倣犯』や『ブレイブ・ストーリー』など、多くの作品がドラマ化や映画化などメディア・ミックスされており、日本を代表するエンターテインメント作家として人気を博している。2018年10月、『宮部みゆき 全一冊』を刊行。

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