- 本 ・本 (160ページ)
- / ISBN・EAN: 9784163263700
感想・レビュー・書評
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認知症を発症した父親に、仕事を辞め介護することを決めた次男の幹夫。
寄り添うと決めたはずなのに、徘徊や過去の話しばかりする父親に、戸惑い翻弄されてる毎日。
ある日、父とよく行く龍が峰の公園で、佳代子に出会った。介護の仕事をしていた佳代子のアドバイスで父との関係も穏やかになっていく。
私も母が突然亡くなり、残された父親は実家で独り暮らし、三年前に癌を煩い入退院を繰り返した後、私も姉も離れて暮らしている為に、最後は施設にお願いすることに。食べられなくなってからは軽く認知症がでたらしい。離れていて、頻繁に会えないせいか、夜中に父の携帯から何度か電話がきたことがあった。「どうしたの?」と聞いても終始無言。
会いに言った時に、父にその記憶はなく、最後の最後まで私には甘く優しい父だった。
介護と言えることは何ひとつ出来ていないまま終わってしまったが、自分が一緒に暮らしていたらこんなふうに寄り添う事が出来たか、まるで自信が無い。
佳代子にも、トラウマになった過去があるが、彼女のような人から介護されたら、家族も救われるだろうな。
タイトルもそうだが、変わった名前の作家さんだなと思っていたら、住職だそうだ。
龍の話がちょくちょくでてきて、週末は私の好きな龍神神社へ行こうと決めた。
紫陽花の花が綺麗に咲いているころだろう。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
H30.8.5 読了。
・認知症の父親と同居することになった息子と散歩で訪れた先で出会った介護士の女性の日常を描いた作品。認知症の人との関わり方が描かれており勉強にもなった。文章はきれいな表現が多い気がする。 -
認知症になった父がいて、介護の話なのに、なんか明るいというか希望がみえるというか。作者がお坊さんだからってのはあるのかもしれないなと。起きたことをただ「起きてること」ととらえてそれ自体が不幸でも幸せでもなく、ただ起きてるっていう感じで。この人の本は二冊目だけど他の本も、もっと読んでみたくなった。
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ほんと、介護の仕事ってがんばればがんばるほど、仕事と自分の人生の境がわからなくなる。
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タイトルに惹かれて読んでみたけれど、内容は意外にも介護の話。
小説のスタイルではあるけれど、認知症の人との接し方などはとても参考になる。
けれど小説としてはどうなんんでしょう?著者が僧侶と言う事もあるせいか、何かにつけて説明過多の気がして、読んでいてもどこかに感情移入することもなく距離を感じてしまった。
内容的には面白いと思うだけに残念な気がします。 -
経営していた喫茶店を畳んで、認知症の父親と共に生活をすることになった主人公。
父親との散歩中に出会った佳代子と共に、父をめぐるあれこれや佳代子の過去が描かれている作品。
いやいや、出来過ぎた人間ばかりでしょう。
それとも比較的仲が良いというか一般的な家庭で育つとこんな感じなんですかね。
症状がそこまで激しく出ていないからまだこの程度なのかもしれないけど。 -
老人のアルツハイマーが取り上げられている。
少しきれい過ぎるかな と思う。 -
老人のボケについて、とても考えさせられた。ボケてしまって、現在のことが分からなくなったら本人も、それ以上にその周りの人間もつらいのだなと思った。でも、一人で介護するんでなく、この本のように二人で理解してボケた家族と付き合っていけたら、それが幸せな道なんじゃないかな、と思う。
著者プロフィール
玄侑宗久の作品





