TOKYO YEAR ZERO

  • 文藝春秋 (2007年10月12日発売)
3.44
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感想 : 33
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  • 本 ・本 (384ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784163264202

感想・レビュー・書評

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  • 『TOKYO REDUX 下山迷宮』 を読みたくて、その前にこちらからと思い読み始めたが、残念ながら私には合わない文章だったので、50頁ほどでギブアップ。

  • 一時期エルロイや馳星周のノワールに嵌ってた俺としては、なんだか懐かしい。久々にど直球のやるせなさ小説を読んだ気持ち。

    文体といい、腐敗著しい警察と暗黒再サイドの人々が登場人物なところといい、荒み汚れきった貧困する大都会が舞台なところといい、猟奇的な殺人が頻発するところといい、ラリった感じをリフレインの文体で表現する技法といい…ジェイムス・エルロイの影響をもろに感じる(っちゅうか、パクってる?)

    アメリカや台湾を舞台にした先達より、終戦後の東京と言う遠くて近い世界、暴力を無力感がうずまく日本という、我々にとってはなんともむず痒いところを刺激されると、主人公がひたすら痒いところをガリガリ掻くように、読みにくい文章をひたすら読み進めたくなってしまう。

    ムッサオモロいわけでもなく、かといって単なる粗悪な量産型ノアールというわけでもなく、評価の難しい作品だけど、またノアール欲求が高まったら続編探してきて読むかもなぁ

  • これはなかなか、嫌いじゃないぞ。適当に言うなら夢野久作とか?
    まぁイチイチ出てくる、痒いところを掻いた、ガリガリ、みたいなのが好きかどうか。もはやテクノビートのように繰り返されるリズムに脳がとろけるようだ、、というかざっくり読み飛ばすんだけどまぁそういう雰囲気作りも鬱陶しいようで悪くない。
    ともかく大正時代風な混沌も良いけど、この終戦直後の東京のグチャグチャは色々訳あって日本人が描くのは大変だろうから、そういう意味でもなにげに新鮮だし、ラストも良いよ!狙い過ぎかもだけど、いやあえて狙われてみるのもまたをかし、だよ!

  • 三波刑事は何を忘れよう(思い出そう)としているのかとしているのか?って切り口で読むと、ジャンルは全然違うけど、カズオ・イシグロの『失われた巨人』と重なる部分があって面白かった。

  • おどろおどろしい、これが外国の方の作品とは驚いた。戦後すぐの、日本国民の生活の混沌とした雰囲気が良く出ていたが、私は気が重くなる内容だった。小平事件を基にした作品。

  • 再読。疲れた。出版された15年ほど前に読みながらプロットを書き留めたノートを見ながら読んだが、それでもちゃんと理解出来たかどうかは自信がない。それでも、悪夢のようなこのミステリー(?)、ノアール(?)、幻想小説(?)が圧倒的にすごいことは分かった。さて、第二作読むか!

  •  原著は2007年、日・英・米同時刊行。2007年の「このミステリーがすごい!」第三位の作品。文庫本で500ページを超える長篇だが一気に読み終えた。日本敗戦直後を舞台としたノワール小説。

     1945~46年の連続強姦殺人事件(小平事件)に取材した作品だが、作の主な関心は男たちの「変われなさ」にある。敗戦後の日本の現実に適応できず、勝者が持ち込んだ新しいルールになじめず、戦争の中で身に付いてしまった思考と嗜好と記憶を手放すことができない。その意味で、容疑者逮捕に令状が必要になったと嘆く警察官と、中国人や台湾人や朝鮮人に闇市のヘゲモニーを奪われることを「恥」と捉えるヤクザ者と、中国の戦場で覚えてしまった性暴力を反復しつづける小平義雄とは同類なのである。そして、戦後に生きのびるために、憲兵から名前を変えて警察組織に潜り込んだ三波もまた、変わりたくても変わることのできなかった男の一人だった。
     
     語りの中でうるさいほどくり返されるゴチック体のつぶやきは、初めから精神に変調をきたしていた三波の中にあるもう一つの声の表象としてある。

  • 1

  • スティーブンキングも真っ青な
    ダークさ怪しさ満載の敗戦当時の猥雑な東京で起こった
    実際にあった連続殺人事件小平義雄事件をモチーフに
    狂気と過酷な現実のはかないほど薄い一線を行ったり来たりしながら
    精神の崩壊すれすれに捜査を続ける刑事の物語。
    ディビッド ピースの東京三部作の一作目
    『TOKYO YEAR ZERO』
    暗黒の世界が見え隠れする文体にゾゾッ!
    これは1945年が舞台。
    終戦後、進駐軍のいる首都東京で、食べ物もままならない貧困のなか
    闇市でヤクザと台湾人、中国人、韓国人との軋轢。
    外国人に権利を与えようとする進駐軍、
    それと戦うため、裏で結託するヤクザと警察。。。
    コールタールの色のような物語。
    作者ディビッドピースはイギリス人。日本在住。
    多くの翻訳出版界は外国で刊行された作品をそのまま翻訳紹介と
    言うケースがほとんどだが、、、
    この作品は日本発の問題作!

  • イギリスの作家が書く占領下の日本での事件。東京3部作の第1作。
    連続強姦殺人犯、小平義雄を追う警察官たちの話です。

    1つの行に本文と太字で書かれる挿入文とが混ざっており、読みにくいです。
    でも、読みにくいなあ・・・と思いながら、1日で読んでしまいました。面白かったです。

    小平義雄が逮捕されたのは終戦後ですが、実は終戦前から彼は犯行を繰り返しています。終戦直前に発覚した、小平がやっているはずの事件を、小平に結びつけずに封印しようとする警察官たち。この事件が明るみになれば、彼らの身が危なくなるからです。
    人種差別、冤罪、憲兵たちの逃亡、隠蔽、占領軍とヤクザの絆。本当に色々なものが複雑に交錯して、一見何も明確にならないまま、話は終わります。

    「見かけ通りの人間は誰もいない」と、主人公は繰り返しつぶやきます。
    同僚が昨日までと全く違う顔で同じ名前を名乗っていても、気づかないふりをする空気。怖ろしいです。

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