私の男

著者 :
  • 文藝春秋
3.56
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本棚登録 : 4616
レビュー : 984
  • Amazon.co.jp ・本 (381ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784163264301

感想・レビュー・書評

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  • とにかく強烈だった。
    桜庭さんの作品はかなり読んだけどこれは次元が違うくらい強烈に印象が残ってる。

    禁断の父娘(花と淳悟)の恋愛関係について書かれた本。
    仄暗いストーリーだけどものすごくパワーを感じて、
    読みだすと止まりませんでした。強烈な引力に引き寄せられているような。
    また、過去に遡っていくストーリー展開も効果的だった。
    各章ごとに語り手が変わる芥川スタイルはもうトレンドですね。

    流氷のシーンは鳥肌が立ちました。
    流氷を見送る花の壮絶とも言える表情が不思議と鮮明に思い浮かんだ。

    男性には受け入れがたい話かもしれないけど、
    この本を評価する女性は多いのではないでしょうか。
    あと、物語に整合性を求める方には向かないですね。
    でも人間に整合性を求めるなんてナンセンスな気もします。

    他人には理解できない感情はあって当然。
    支離滅裂な展開だってこの世の中には一杯ありますから。

    読み終わって釈然としない方もいらっしゃるかもしれないけれど、
    私はこの物語に流れてる雰囲気とその時々の感情の描写を評価したいです。
    物語を通しで捉えるとうーんと思うかもしれないけど、
    登場してくるシーンを一つ一つ切り取るととても秀逸。
    そんな「私の男」とってもいいと思います。

    淳吾のビジュアルはオダジョー派かトヨエツ派か。
    私は断然、トヨエツ派。
    ろくでも無いけどかっこいい。
    こういうキャラクターに私は弱いんですよね。

    • さおぴさん
      うおぉこれ読みたいけど躊躇してました・・・・・・!気になる。。。
      うおぉこれ読みたいけど躊躇してました・・・・・・!気になる。。。
      2013/02/15
    • cecilさん
      >さおぴさん
      エロいのと暗いのが平気であればお薦めです!読み終わった時の疲労感がなんともいえないw
      >さおぴさん
      エロいのと暗いのが平気であればお薦めです!読み終わった時の疲労感がなんともいえないw
      2013/02/15
  • 冒頭が狡い。「私の男は、ぬすんだ傘をゆっくり広げながら、こちらに歩いてきた。」なんて、文章に掴まれて引きずり込まれました。「国境の長いトンネルを抜けると雪国であった」という有名な小説の冒頭に匹敵するくらい作者にしてやられたなーと思いました。
    ただ内容は静かなのに激しい。決して気分の良い物語ではないです。
    淳悟にとっても花が“私の女”なら良いのになと思いました。花が女としてなれる淳悟のすべてであったらなーと。花にとっては淳悟がすべてだという感じがしました。
    でも、どんどん物語が過去に遡っていくから、まるで花に未来はないよ、あるのは過去だけだよ、と作者が言っているような気がしてならなかったです。花の前から姿を消した淳悟はどこへ向かったのでしょうか。

    そういえば、花の「おとうさぁん」という呼び方や、大塩じいさんの「ヨォ」とか「ネェ」という語尾が、いい感じでイラッとさせてくれました。

  • カテゴリ化するのは無粋な話だけれども、ヒロインは綾波レイ的な何かだよなぁ、という雑感。処女に母性を持たせる聖母性ほど淫心を擽られることはない。
    エログロナンセンス三拍子揃えて勢いで読ませる筆力、薄い本と言われる界隈で好まれそうな題材を山盛りにし破綻させずに多視点(この辺りも薄い本らしさがある)及び逆順時系列を使い纏め上げる構成力、文章内の比喩表現が美しく湿度の高さを見事に表現していて、すばらしいと思う。

    ところでナンセンスはどこにあるのかというと。
    もうそもそも冒頭の結婚が成立してしまうところやら、押入れの中身の腐乱を考えないところやら、(能力についての言い訳はあるにせよ)「目を見ればわかる」やら。現実的に考えたらそこはどうなの? あ、でもこの物語にリアリティは必要ない部分なんで削ったんですねわかります、としか納得出来ない部分。無理やりそう自分に言い聞かせても、喉に刺さった魚の小骨のように、世界に浸る邪魔をしてくれたけれど。

    全体的に文章がひどく官能的。男の手の乾燥した様や唾液の粘度の高さや乾燥した愛液など、水まわりの表現にくどいほど気を遣っているせいだろう。若干しつこく感じる程であるが、でもそこがまた滴るようですばらしい。エロスに湿り気は必須なのである。
    でもこれだけエロ描写が卓絶していても、この小説は官能小説ではないのである……不思議だなぁ。

    文庫版の表紙絵を見かけたけれど、"男"の両目は色のないマーガレットのような”花”で、干からびたような無骨な手だけが色を持っている。やはり男の手は強烈に意識に残るものとして作中に描かれているのだろう。

  • ふたりの心情はどこか現実離れしてるにも関わらず、引き込まれる。ふたりには、暗く深い海のような未来しか見えないのが、また辛くなる。

  • イヤな小説である。近親姦に殺人まで絡むのだから当たり前だ。だが、うなるほど上手い。
    冒頭のシーンで鮮やかな花柄の傘をさして銀座を歩く2人は、印象的ではあっても、まだ作り物めいたキャラクターだ。それが、荒川の拘置所近くの安アパート、黒い海を望む紋別の町に舞台を移したとたんに、肉の重さや匂いをまとわりつかせて動きはじめる。
    時間をさかのぼる叙述形式によって、あまりにありえなさそうな花と淳悟の関係に得心がいくようになるというわけでもない。ただ、その土地の濃厚な気配とともに、2人の肉の交わりが、実体のある重みとして感じられ始める。
    氷原の上で、花にこんこんと語りかける「大塩さん」、荒川のアパートの2人にとりついている田岡、結婚式の会場で、いい気になるなよ、小娘・・・という気配をのこして動く中年のウェイターなど、脇役たちが放つ存在感も強烈だ。
    主人公に「腐野」なんて名前をつけるあたりがどうも軽い印象だったのだが、先入観を裏切るどっしりした作家ぶりで、これから読む機会が増えそうだ。

  • エロイだけの話かな?と読む前は思っていた。
    が、そういうものではなく、どちらかと言えばミステリーに近い。

    影のある親子、ただし養父と養女の関係。
    北に住んでいたときに、彼らに起こった出来事はなんだったのか?

    第一章が現代であり、花が結婚し養父から逃れていく。
    淳悟はその後姿を消してしまうため、どうなったのかすごく気になるが、その後が描かれていない。また、花の母親とどのようないきさつがあったのかも描かれていないため、その点が少し不満。母親と愛し合っていたのか、そうでなかったのか。

    結果的にあまり好きになれる内容ではなかったが、デビュー作でこれだけ書けるとは素晴らしいと思った。他の作品も読みたいと思える作家。

  • 店頭にこれが、並んだ時は、こういうのはいいですって、勝手に拒否。直木賞も煽って、結構、売れていたような。
    桜庭一樹という名前も普通に聞くようになって、急に読んでみようと思い立った。これが、私の読み時。
    すごく読み応えがあった。
    近親相姦が軸で、単純には、そこが桜庭一樹的と思える。内容は、奇をてらうったものではなく、文学が、ずっと取り上げてきた心の闇とそこにある家族の話。本当に欠陥を持ってしまった時、それでも生きていくのに、必要なものを考えさせられたし、本当にそれでも生きていかなければならないのかとさえ思ったけれど、答えなんて出ない。誰かを犠牲にして、それでも、幸せには生きられない負のスパイラル。あー、久々に出口のない話を読んだ。

  • 読了2回目

    こんな終わり方だったっけ?

    物語は現在から過去に向かって進んでいく。

    間違ったことをしていた2人なのに、最後に幸せな結婚が出来た花は良かったと思うけど、安定した海上保安官の立場を捨てて、どんどん荒んでいった淳悟はどうなったんだろう。

    結末はこれが一番良かったんだろうけど、なぜだか花にはお父さんから離れないで欲しかったかも。

  • 濃厚で衝撃的で残像がいつまでも頭から離れない...そんな映画で、どうしても気になる部分が多々あったので補うつもりで原作を。
    なるほど単なる近親相姦ではないんだなあ、と。
    花はおとうさんコンプレックス。
    淳悟はおかあさんコンプレックス。
    花はそれを埋めるように淳悟を。
    淳悟はそれを埋めるように”血の人形”である、花を。
    「おとうさあーん」と叫ぶ花と、
    「おかあさあーん」と叫ぶ淳悟、似ているなあって。
    もちろん、補うためだけではないと思うけれど。
    再読する際は第6章から遡るつもり。
    またもういちど、映画も観たいです。
    浅野さんと二階堂ふみちゃん、圧巻でした。
    本を読んでいても、二人がほんとうに、そこに、いるみたい。

  • イエモンにインスピレーションを得ていると知って納得。
    確かに私の知ってるあの世界だ。
    花のことを理解できるのは自分の環境のせいだろうと気付いて妙にざわつく。

著者プロフィール

桜庭 一樹(さくらば かずき)
1971年、島根県生まれの小説家。
1999年「夜空に、満点の星」で第1回ファミ通エンタテインメント大賞小説部門佳作を受賞しデビュー。
『赤朽葉家の伝説』で第60回日本推理作家協会賞(長編及び連作短編部門)、『私の男』で直木賞を受賞。他の代表作に『GOSICK -ゴシック-』『砂糖菓子の弾丸は撃ちぬけない』『赤朽葉家の伝説』などがある。
ゲームのノベライズやライトノベル作品や、山田桜丸名義でゲームシナリオを手がけるなど幅広く活躍している。

私の男のその他の作品

私の男 (文春文庫) 文庫 私の男 (文春文庫) 桜庭一樹
私の男 (文春文庫) Kindle版 私の男 (文春文庫) 桜庭一樹

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