湖水地方

  • 文藝春秋 (2008年1月29日発売)
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本 ・本 (160ページ) / ISBN・EAN: 9784163266701

感想・レビュー・書評

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  • 2作収録。どちらも主人公は女性で、身内との関係に鬱々と悩んでいる。妹の恋人と関係を持った姉の、「妹の方が自分より愛されているのではないか」という感覚はなんとなく理解できる。
    ぼやけたはっきりしない、何かひっかかるものを感じ、2作だけでは判断ができない。著者の他の作品を検索しても殆ど情報がない。もう書いていないのかな。岩井俊二あたりが映画化しそうと思った。

  • 著者は1978年生まれだそうで、若い世代だけに「今」を捉える感覚が優れているな、というのが第一印象。
    「湖水地方」の湖、「シャルル・ド・ゴールの雨女」の空き地を潰してできた広大な公園などの情景の無味乾燥さが、「今」という時代をよく表しているように思えます。

    個人的には「シャルル・ド・ゴールの雨女」のほうが好み。
    空港のカフェでの短い時間の会話と回想を切り取った作品ですが、テンポラリーな舞台設定と、主人公の極めてプライベートな(他人から見れば取るに足らない、しかし本人にとっては深刻な)煩悶とのバランスが、妙味のある抒情性を生んでいます。

    「湖水地方」のほうは、妹が体調を崩して嘔吐した…という始まり方がいきなりベタさを感じさせるオープニングで、やや萎えました。
    最後に、突飛に葦舟が登場するあたりの唐突性は嫌いじゃないですが。

  • 無駄な言葉が多すぎる。作文を読んでいるような感じ。

  • 「湖水地方」というタイトルに惹かれ、読みました。
    帯には、「何が起きていたのか?何が起きなかったのか?美しい姉妹の間に迫る、逃れがたき葛藤」とまるで往年の大映ドラマのような仰々しい言葉が並び、どんな話かと思いきや。。妹の彼との逢瀬、華やかな美人である妹への意識下の嫉妬心など、確かに大映ドラマ的でありながら、さらりとして、それでいて内面を描くような筆致で、また、主人公の一種の諦観のようなものが、仰々しさや厭らしさを感じさせない素敵な物語だった。

    もう一篇の「シャルル・ド・ゴールの雨女」も、表題作と同じく、ある種の諦観が漂っていて、素敵な物語である。

    新しい作品が出れば、ぜひ読んでみたいと思える、新人作家さんでした。

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