- 本 ・本 (192ページ)
- / ISBN・EAN: 9784163267500
感想・レビュー・書評
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旅にまつわる8つの話が収録された短編集。
筆者にとって旅先は「いずれは立ち去らなければならない場所」「もう二度と来れない場所」だった、という背景を知ると、8つの物語から感じていた逃避感の理由がわかった気がした。
あとがきを読むのが一番楽しかったかも。
<収録作品>
アナーキー/映画的な子供/ヒッチハイク/終電は一時七分/I島の思い出/夜を着る/三日前の死/よそのひとの夏 -
井上荒野さんは自分でもわからないような曖昧な感情の描き方が本当に上手いと思う。
登場人物と一緒に心のありかを探っているうちに荒野ワールドに入り込む。
そして唐突に物語は終わり、夢から覚めたように私一人がそこに立ち尽くしている。
えもいわれぬ読書体験をさせてもらえる幸せ。 -
旦那の尻尾を掴んでやろうぜ――スイミングスクールで知り合った美穂と秋郎は東北へと向かう。
(アマゾンより引用)
この旦那嫌なヤツだったな -
よくまぁ、これだけのシチュエーションの男と女の話があるもんだ。
世の中の人たちって、こんなにたくさんの経験があるのかしら……と錯覚してしまう。
小説家ってすごいなぁ……
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旅にまつわる短編集。人が旅に出るのには理由がある。それが小旅行であろうと、あてのない流浪の旅であろうと。晴れていようと、曇っていようと。孤独であろうとも、そうでなくっとも。人生と同じように、すすむ。でも、何かを見つめ直すのにはいい機会だなぁ、と改めて思った。
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なんとも摩訶不思議なタイトル... と同じく何気ない日常の一コマなのになんだこの非日常的な感じw
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短編8つ。
二度目の堕胎帰りのカップル、不倫相手からすすめられた島に母と一緒に旅行した思い出、浮気相手の死を恋人たちとの旅行中に知った女など。
どの話も陰鬱な印象だった。
相手とわかりあえない苛立ちから突飛な行動をとってしまったり、それでも思い切り良く突き進めずにうやむやにしてしまったりするかんじがリアル。 -
井上荒野さんの作品を読むのは初めて。短編集。名前は荒野(こうや)と読むのだとずっと思っていたけど、(あれの)さんだったのね。
自分としては、小説でもあまり男女の恋愛モノが好きではない。中でも不倫とか浮気とかを美談にしたドロドロ劇場は読んでいて不快感しかないから嫌い。この作品は純粋に恋愛モノってわけではないだろうし、テーマはもっと違うところにあるのだろうけど、節々に垣間見える男女の関係が自分としては苦手分野にあって幸先不安を感じた。でも、じっくり読んでみると、その恋愛模様も含め意外と気持ちよく読めた。現実的で決してハッピーエンドで終わらないところも良かった。装丁もなんとなくクラシカルな感じがあってイイネ! -
一度読みたいな、と思っていた作家さんで図書館で見つけたので借りてみました。
読んでいてすごく感じたのが、主人公が不幸な女性ばかり。
他の方がレビューで書いていたとおり、「曇り空」な作品。
私は嫌いではないです。
文章も読みやすく、きちんとした文体で書かれていて、他の作品も読んでみたいと思う
「アナーキー」「映画的な子供」「ヒッチハイク」「終電は一時七分」「I島に思い出」「夜を着る」「三日前の死」「よそのひとの夏」8編からなる短編。
どの話の女性も少し不幸で、男性はデリカシーがなく最低。
後ろから3作は改題をしているみたいだけど、改題後の方がいいタイトルになったと思う。
「映画的な子供」「夜を着る」「三日前の死」が好き。
著者プロフィール
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