スメラギの国

  • 文藝春秋 (2008年3月12日発売)
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Amazon.co.jp ・本 (480ページ) / ISBN・EAN: 9784163267807

感想・レビュー・書評

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  • ★2008年6月12日 47冊目読了『スメラギの国』朱川湊人著 評価A

  • 猫好きカップルと不思議な猫と野良猫達の愛と復讐の話。
    力を持った無垢な存在とか、狂信とか独占欲とか、独善的な愛とか死闘とか。
    猫好きの人には読んでてしんどい作品かも知れない。でも可哀想だったり悲しかったりだけの話じゃないから、うっかり読み始めちゃったら最後まで読んで欲しい、そんな感じ。

  • エピローグを読んで、プロローグをようやく思い出した。

    それくらい、先の展開が読めなかったのだけれど
    敵の正体がまさかの。。。という感じでちょっと拍子抜けと言うか、そんな急に言われても。。。みたいな感想が。

    猫の兄弟アイスとチョコ
    交通事故で息子さんを無くした営業マン
    は素敵な展開だったけれど

    大家さんとか
    カミカゼとか
    彼女とか
    の事を考えると。。。

    主人公の家族の思い、若気の至りも強調されていたけれど
    あの精神年齢のスメラギには届いたのか??
    それとも、思考が伝わった段階で成長したのだろうか??

    ルイがあの家庭環境でそういう考え方、行動に走ったのは
    子どもが思春期を迎えての
    一種の反抗期、中2病のようなものなのだろうか。。。

    途中様々な事件が起こっただけに、分かりやすい終わり方だったけれど、もやもやする。。。

    アイスとチョコの平和なワンシーンを想像して、しんどい思いをごまかそう。。。

  • 犬派の私ですが、表現しがたい読後感です。

    所々、童話っぽさとか登場人物の感情の切り替わりにひっかかるものはありましたが、全体を通して次の展開が気になって、停滞することなく読み進められました。

    残酷な描写や、めでたしめでたしで終わらせてはいけない所業もあって、こう言ってしまうのは憚られますが……おはなしとしては面白かったです。

    運転していて轢死している動物を避けただけでもどうしようもない気分になるのに、このカミカゼ攻撃の精神破壊度はどれ程のものか……。

    ラッキーとスメラギがいつか出会えるといいなあ。

  • 自分の大切なモノを守るためなら鬼にもなる。

    志郎が最初に子猫を轢いてしまった段階で、ちゃんと供養をしてあげていたら、ここまでにはならなかったのかも。そして車も処分して。パニック状態の志郎は麗子に嘘の上塗りをして、身動きが取れなくなっちゃって・・・あーぁ。

    ところで志郎は今までの一連のこと、ちゃんと麗子には話したのかなぁ。麗子は今までの嘘、許せたのかなぁ。それらのすべて納得して一緒になったのなら、それがお互いが幸せなら別に文句はないけれど、どちらにしてもせめて殺した猫ちゃんたちの供養をちゃんとしてあげてください。

    ルイの思いが歪んでいるのかだけなのか、本当はもっと別の何を企んでいたのか、いまいちわからなかった。

  • 図書館にて。

    誰の中にも、凶暴な部分はあって、普段は眠ってるだけなのかもしれない。

    その瞬間が過ぎて、初めて、今の決断は間違っていたかもと知るのは、なんだか皮肉・・・。

    謝る。それで終われば、一番平和な解決法なのに。人間は偉くて、動物は弱いなんて、勝手に決めてはいけない。

    一人や一匹の存在で、考え方が変わってしまう。分かり合うという事は難しいと感じた小説でした。

  • 猫好きさんにはおすすめ出来ない作品だということを先ず最初に申し上げておきます。
    動物への残酷描写が多いものの、個人的には嫌いではありません。
    スメラギがただただ哀れでならない。
    村上さんサイドのお話は、チョコとの出会いからの救いがあって本当に良かった。
    交通事故における現行法下での刑罰には私自身思うところも多く、やりきれなさに胸が痛みます。
    志郎さんサイドはもう何て言うかね、追い詰められた故とはいえ、あんなにも暴走した彼がラストではちゃっかり幸せそうにしている空々しい姿こそがある意味ホラーです。
    本当に幸せ?

  • 面白かったけど、怖い。そして、描写がえぐい。
    ノスタルジックホラーというジャンルらしく、知らなくて読んでびっくりした。

    終わった感じとしては切ないかな。

  • 文章・内容の前に、ネコを心の底から愛しているので読むのが辛かった。
    最後まで読んだけど、結局ネコが被害にあっただけ。
    ひどい。かわいそう。
    今まで以上に人間不信になりそうだ。

    文章のテンポはいいし読みやすいんだろうけど、内容が受け付けない。
    こんなことを平然と書ける作者の本はもう読みたくない、と思った。

  • スメラギの国社会って、ヤンキーやチンピラたちに当てはまると思わない?ごく一部だと思うけど。

  • じわじわと追い詰められるのが、辛かった。もう、悪い結末でもいいから、早く終わらせてあげて!と何度も思いました。

  • 蛹から生まれる『ヒュン』という白い美しい猫のような生き物と進化した猫たちと闘う営業マンの物語。『猿の惑星』の猫版みたいなところもある。ぼくは桜庭一樹の『伏』も連想した。内容のわりには、読後感も爽やかな作品に仕上がったいる。

  • この本を読んで朱川さんに惹かれた。かなり濃いホラーだけど、そこに上手く動物を絡めているところがすごいと思った。
    今でもスメラギのような猫はどこかでひっそりと暮らしているのかもしれない。

  • この作者さん初めて読んだー。
    面白かったですが、猫不信になりそうです。

    それよりも読む前の本の厚さと文字の小ささにこれ読み切れるだろうかとちょっと不安になりました。でも読み始めたら案外余裕だった。
    内容上猫とのエピソードが多いのでジンゴローとチョコにはうるるとしちゃったよ。
    猫好きな人には読ませられない本ですね。

  • なんだかもう全てがやるせない…。
    ほんのちょっと歯車が狂ってしまったせいで
    “どうしてこんなことに…”と頭を抱えたくなるような悲惨な状況に。
    あの時ああしていれば、とかこうだったら…とどんなに思っても
    状況は雪だるま式に悪化する一方で。

    ラストでハッピーエンド風な読後感だけど、なんとも哀しいお話。
    ジンゴロー姐さん・・・

  • 2010 11/10

  • 猫の神風アタックは嫌だ。

  •  悲惨としかいいようがなかった。なぜルイがあのような行動をとったのか記述も足りないが理解できなかった。いや、理解できるはずもない。お国のためと狂信的な思いが走らせた行動なのだから。これは過去、お国のため天皇陛下のためと、将来のある若者の命を粗末に扱った大日本帝国軍の指揮官らの愚行を猫を使って再現したのだと思う。唯一違うのはルイの行動をスメラギは自身の手を汚すことで改めたが・・・・。いやそこまでの批判ではないかもしれない。
     日常を舞台にし、人間同士の戦争を思い起こさせる記載はほとんどないため、ここまで連想する人は必ずしも多くはないと思うが、少なくともこの本を読んだ人が過去の特攻の事実を思い出した時、以前よりももっと明確な意思をもって否定するのではないだろうか。
     更に筆者は戦争だけでなく、交通事故の被害者家族に対する世の中の不条理についても、もう1つのストーリーを展開することで訴えかけてきた。加害者を救うだけの法律、軽すぎる過失の扱いなど、直接被害にあわずとも日々のニュースを聞き感じていた憤りを家庭崩壊にまで至ったひとりの男の行動に重ねて表現してくれた。
     正直、この本の内容を思い出した時に最初に感じたのは冒頭の気持ちだったが、ラストに感動はあった。猫が人間の言葉をしゃべるのがこのような伏線になるとは思わなかった。一方で恐怖そのものにもなる言葉が、ラストでは涙をさそった。
     とまあ非常によかったのだが、猫好きには許せない展開もあり、評価は4とした。

  • まんまと表紙に騙されました。

    前半こそジンゴロー、ヨアヒム、アイス、チョコなど可愛い猫の描写が見られますが、
    空き地での一件以来、目を覆うような凄惨な描写ばかり。
    特に事故で飼い猫を失った人にはキツい描写が続きます。絶対読まないで下さい。


    伏線の張り方も甘いし、最後に無理矢理和解させようとして“良い話”に仕立てようとした展開もイマイチ。
    スメラギがああでは、死んだ猫たちも浮かばれない……。
    死によってしか、愛情や命のかけがえのなさを表現できないのでしょうか……?

    たしかに作者のメッセージは伝わりますが、伝え方が適切だとは思えませんでした。
    二度と読まないと思います。

  • アカチャンッテ、イイナァ。
    アカチャンッテ、カワイイナァ。

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著者プロフィール

朱川湊人
昭和38年1月7日生まれ。出版社勤務をへて著述業。平成14年「フクロウ男」でオール読物推理小説新人賞。15年「白い部屋で月の歌を」で日本ホラー小説大賞短編賞。17年大阪の少年を主人公にした短編集「花まんま」で直木賞を受賞。大阪出身。慶大卒。作品はほかに「都市伝説セピア」「さよならの空」「いっぺんさん」など多数。

「2021年 『時間色のリリィ』 で使われていた紹介文から引用しています。」

朱川湊人の作品

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