- Amazon.co.jp ・本 (475ページ)
- / ISBN・EAN: 9784163267807
感想・レビュー・書評
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タイトルを見て「すわ右寄りの話なのか!?」と思うかもしれないけどここで言う「スメラギ」とは劇中に登場するある猫の名前。
恋人の結婚を控えて新居に引っ越した志郎は、些細な事故から子猫を轢き殺してしまう。その子猫は周囲の猫を束ねる特殊な能力をもった猫たちの王の子供であった。その日から、志郎は恐ろしい事態に巻き込まれていくことに…
……と書くとホラーなんだけど、いや、確かに怖い描写もあるんだけど、壊れていく日常に対して足掻く主人公の心情だったり、親子の情愛といった部分がメインテーマである。描かれている恐怖というのも、単純にお化けや幽霊が怖いというのではなくて、守りたいものや当たり前の日常が非日常的なものによって壊れることへの恐怖。その対比があるからこそ、そこにある日常が家族がかけがえのないものとして心に染み入る。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
ねこ怖し・・・。
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ファンタジックホラーというかホラーファンタジーというか。ありきたりだけど、泣けるお話、と言っちゃいたいです。猫が苦手な人は怖くて泣くでしょう。猫が好きな人は、切なくって泣くと思います。当然私は切なくて泣きました。猫が怖い話だけれど、読み終えるとますます猫が好きになってしまうお話。
一番印象的なのが、「猫のカミカゼ攻撃」。これ、ほんっとうに怖いと思う! 予想だにしない「復讐」です。へたに襲い掛かられるよりも、このほうがよほど怖い。だけどそれが、同時にあまりに切なく悲しくって……もうぼろ泣き。
そしてチョコとアイスの物語がほほえましいながらも、これまた泣き所。復讐を企てるある男の物語もまたしかり。すべては愛するものへの想いが引き起こした悲劇なんですよねえ……。
悲しくて泣いたり感動して泣いたり、終盤は泣かされっぱなしだったのでした。猫好きの方、ティッシュを用意して読みましょう! -
人間VS猫のホラー小説。猫がある人間に仲間を殺されたことで復讐していく話。
本人だけでは足らず、その妻やご近所さんにまで嫌がらせを…!
………。
グロいし,猫がわんさか死んでいくので猫好きの人にはおすすめしないかも。
途中,村上さんの行動が,どう本編に絡んでいくのかな??って謎だった…けど,最後に納得。
ラストはハッピーエンドなのかな。エピローグは爽やかな終わりかただった!
ただ途中はグロくて,最後だけ綺麗なのが少しちぐはぐな印象を受けたかな?
猫VS人間という設定は,猫がどこかしら神秘的な生き物であるから魅力的だったし。
小さな動物がここまで人間を追い詰めるのか??って感じで,そのへんが面白かったな。
村上さんのエピソードが悲しいけど好き。 -
イラスト / 牧野 千穂
デザイン / 野中 深雪
初出 / 『別冊文藝春秋』2004年11月号〜2006年5月号 -
決して、猫好きな方は読まないことをオススメします(苦笑)
それぐらい辛かった。描写がリアルなことも、痛みを伴うような内容も
辛くて辛くて、途中で何度も止めようと思ったのです。朱川氏の作品の中に
時々出てくるこの痛い世界が辛かった。この辛いお話がどんな最後を
迎えるのか、それが知りたいがために読みきりました。 -
猫好きには大層つらいお話でした…。
賢い猫たちと人間の物語。
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志郎が引っ越したアパートの近くの空き地は、猫が多く集まる場所で、
そこには、隠された秘密があった。。。
ある事故をきっかけに、志郎は、その猫たちを敵に回すことになる。
そして、壮絶な戦いが始まった。
猫好きには、とても耐えられないような、
恐ろしくおぞましいシーンもあるのですが、
愛嬌のある可愛い猫たちも登場し、
猫を通じて、様々な人々が描かれ、思わず涙してしまった私です。
ファンタジーっぽいホラーと言うか、
ゾクゾク感もたっぷり味わえて、可愛い猫にも癒される、そんな物語です。
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猫の妖怪(猫又ではない)によって、「新しい猫」になった猫たちに、追いかけられる話。ヒッチコックの「鳥」のように、次々と猫が飛び出す。次々と車の前に飛び込む猫を想像するだけで、気持ち悪い。もう少し、悪猫二匹について、詳しく書いて欲しかった。
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猫が集まる広場、不思議な力を持つ猫スメラギ、人間みたいな猫、ホラー・テイストだけれども、最終的には涙、涙みたいな。でも報復の為に殺されてしまった赤ちゃんやカミカゼ猫たちは報われない感じね。