- 本 ・本 (328ページ)
- / ISBN・EAN: 9784163268002
感想・レビュー・書評
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季節を感じると風に乗って、そのときのことが走馬灯のように蘇ってくる…。
懐かしい記憶が蘇ってくる…。
特に春は卒業と入学、一人暮らしに転勤、などなどの変化に新たな喜びもあれば不安もあって…
これは「春」の巻、12編の短編集。
「めぐりびな」〜亡き母が工面して買ってくれたおひなさまを持っていたが、娘が誕生し義父母から立派な七段飾りのひな人形を贈られた私は…。
最初の一話からなんとなくだが、かすかに記憶が。
読み進めていくうちに「さくら地蔵」で涙が…
これって読んだかもと気づく。
しかし再読であっても、うっすらと記憶に残っていても感動することは変わりない。
そして、幼い頃の息子や娘のこと重ねて見てしまうものも何作かあり、遠い記憶を辿ってみたりする。
表題作である「ツバメ記念日」を読むと今、娘が頑張って仕事と子育てを両立させていることを思い、老夫婦と同じ気持ちになっていることに気づかされた。
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ずっと読みたかった重松清の季節風シリーズ!ちょうど、春だし春を読みました。面白かったので夏、秋、冬も読もうと思います!春をテーマにした作品ですがテーマに家族もあると思います。あたたかな家族の愛が感じられましたー
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重松清さんの小説の特徴でもある「人の心情の変化が細やかさ」が存分に表されている作品群です。
期待と故郷を出る寂しさの両方を胸に地方から出る若者が主人公である話が多かったです。
表題作である『ツバメ記念日』が特に胸に刺さった。夫婦共働きが今はマジョリティーではあるが、20年前はまだ少数派だった中で、子どもになにかあればどちらかが仕事から身を引かなければならない。その身の引き際を上手くしなければならないのだなと感じた。亀裂の入った夫婦の仲を駅のホームのツバメによって修復した部分に感動した。 -
春を舞台にした短編集、12編。
重松さんらしく、優しいながらも、どこかせつなくて、
人の心の機微を濃やかに描かれているのは、さすがだな、と。
個人的には「さくら地蔵」の一編がお気に入りです。
さくらに包まれたお地蔵様、ささやかで優しい願いとともにあらん、と。
また、表題の「ツバメ記念日」は、なかなかに身につまされました。
同じくとも働きの身、決して楽をしているとは思いませんが、、
お互いを思いやる気持ちは、もうちょっとなぁ、とも。
ん、子供のせいにはしたくないし、子供に胸を張れる生き方をしたいです。
ちなみに今回は春を題材にした短編集ですが、
四季でシリーズ化されているとのことで、他も読んでみたいですね~ -
私の人生の1コマを見てたのかもと思うくらいに 小説を読んでいるとその時その季節やその時期の空気感を思い出した
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最初からずっと泣いたまま終わった。思えば今まで読んだ重松さんの本、全部泣いてる。きっとこんな作品が書ける重松さん自身が優しい方なんだろうと思う。
「春」は春に読もうと思ってたのに終わってしまったから「夏」は夏のうちに読みたい。 -
私にとっての全く個人的な重松作品の総括をここに。
2002年頃に「半パンデイズ」に出会って以来、初めて一人の作家を固定で気に入って沢山の作品を読み続けることになった著者。
「疾走」以外はどれも好きだった。
しかし本書を読んだことにより、私は重松作品をとうとう卒業することにした。
そういう残念なきっかけになってしまった本。
なぜならパターンがあまりにも同じ。
「かあちゃん」の中と本書の中に、全く似たような話、表現がある。
もはや句読点の打ち方から、ここが泣かせ所という溜めた書き方やリズムまで手に取るようにわかるようになってしまった。
好きで沢山読み過ぎて、新鮮味が感じられなくなり勝手に飽きてしまっただけ。今までのどの作品も本当に良かった。
今後は家にある積読本と、読み終わった本を読み返すことはしようと思う。10年経ってから読みなおすと、またきっと新たな感動をもらえるだろうから。 -
春は新しい一年が始まる季節。うれしいこと、喜び、笑顔・・・そんなものが似合いそうな季節ですが、「変わり目」の抱える不安や焦りも運んできます。
期待に胸膨らむ季節だからなお、突然の不幸は深い悲しみになる・・・。
そんな悲しみや苦しみも孕んで毎年巡ってくる再出発の季節が春なのでしょうか。 -
春を舞台にした短編集。
良くも悪くも強く印象に残るお話が無かったですw
毎度おなじみ重松節とでもいいますか、着地点が予想出来て更にその予想が覆されることなく予定調和の中小さなお話たちが締めくくられて行きます。
春先に読んでいたらまた感想も違ったかもしれません。
ちょっと「つまらない」感じはありましたが、読みやすくさらさらと一気に読ませる力はさすがです。 -
春の季節がテーマの珠玉の短編集。
まず、いきなり『めぐりびな』でやられる。苦労を重ねた母が偲ばれる古びたお雛様。
『拝復、ポンカンにて』、棺の中のポンカンにどんな言葉を書くのだろう。誰にでもある父母への悔恨の想いがよぎり、こられきれなくなります。
『さくら地蔵』は、子を持つ親として、これは切なくなります。
『霧を往け』は、どちらかと言えば、社会から煙たがられる人に着目しているところがジンとくる。都会の片隅にくらしながら、社会に埋没し、もがき苦しんでる片隅の人とは、明日の自分かもしれない。そんな全ての人へのメッセージでもある。
著者プロフィール
重松清の作品





