草すべり その他の短篇

著者 :
  • 文藝春秋
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本棚登録 : 79
感想 : 16
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  • Amazon.co.jp ・本 (216ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784163271804

作品紹介・あらすじ

高校の同級生だった女性から手紙が届き、四十年ぶりに再会して登った浅間山での一日。青春の輝きに満ちていた彼女だったが…。文芸時評で絶賛された表題作をはじめ、稜線を渡る風が身の内を吹きぬける、山歩き短篇集。

感想・レビュー・書評

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  •  ~穂高よさらばまた来る日まで 奥穂にはゆるあかね雲 かえり見すれば遠ざかる まぶたにのこるジャンダルム~♪ 佐久平に住み、千曲川、浅間山を眺めながらの暮らし、南木佳士さんの私小説「草すべり」、2008.7発行。草すべり、旧盆、バカ屋根、穂高山の4話。17歳、高校のクラスメイト兼松沙絵ちゃんが英国引越しで別れ、約40年振り、55歳で一緒に浅間山に登った日のことを描いた「草すべり」がお気に入りです!

  • ネガティブな感情にしがみついたまま放さないのが後悔.
    出来事を知的に分析して将来に備えるのが反省.
    .
    なるほどね… .
    登山の話を読むと 登山が好きな人はこんな気持ちで登っているんだなぁ…と.
    まぁ私は絶対登らないけど.
    でも…登りたくなる日がくる事もあるのかもしれない.

  • 特筆すべき点はありませんでした。

  • 著者の「山行記」を読んで以来,行ってみたかった浅間山に夏休みに登ってきた.(思ったよりずっと大変だった).
    戻ってきて「山行記」を再読.さらにルートの中で印象的な急斜面「草すべり」をタイトルにもつこの短編集を読む.

    「草すべり」高校時代の女性の同級生と浅間山に登る.
    「旧盆」旧盆に廃墟となった実家の庭で隣人とバーベキューをする.
    「バカ尾根」浅間山が目の前に見える近所の丘で花見酒を飲む.(実にうまそうだ).
    「穂高山」涸沢で穂高岳を見ながら偶然隣り合わせた高校教師の話をきく.

    こう書いて見ると,改めてなにも起こらない小説たち.「わたし」はこれらの出来事を通して,過去を回想し,現在の自分を確認する作業をしている.著者はこれを書いたときまだ50代半ばだったが,病後ということもあってか,諦念というか,悟りというか,そのような気持ちがにじみ出て,とても静かな老境小説となっている.

    私は著者よりも若いにもかかわらず,自然に感情移入ができてしまう小説たちであった.

    蛇足だが,この本,字が大きくて老眼のすすみつつある私にもとてもやさしい.

  • 草すべり
    旧盆
    バカ尾根
    穂高山

  • 医療の現場にあり、パニック障害を抱えながら小説を書いている著者。
    山に登ることを中心に現在の心境を丹念に綴る。
    小学校時代の同級生と登山の記録が心に残った。
    気にかかって新刊が出ると読む作家の1人。

  • 山という新たなテーマが加わっている。今後、登山が著者に与えるだろう影響が楽しみ。

  •  作家の感性をもって山に登るとこんな愉しみ方ができるのか・・・。山が好きなのでときどき山岳小説も読んでみるのだが、フィクション/ノンフィクションを問わず、「上へ上へ!」「前へ前へ!」という努力&根性ものが多くて、自分の感覚とは合わないでいた。
     『草すべり』は、山岳小説というよりは、山を舞台にした人間ドラマだ。ザイルもアイゼンもピッケルも出てこない。主人公(著者)は心を病んでから山に登り始めた老年に近い医師で、山の高さや難しさや数には強い関心がなく、ただ自然の中で、自然のエネルギーを感じながら、自分のペースで歩くことを好む。ぜんぜんがんばらない。文章全体に漂う諦観の念が、なぜか山の空気のように清々しく感じられる。読んだことはないけれど、『アルプ』的な空気感を想像させた。10年後くらいにまた読んでみたいと思った。

  • 年配者の山登りが実感できる内容だ.いつまでも若くないのだ.

  • 10/08/16 「穂高山」がよかった。もちろん「草すべり」も。登り     たい。

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著者プロフィール

南木佳士(なぎ けいし)
1951年、群馬県に生まれる。東京都立国立高等学校、秋田大学医学部卒業。佐久総合病院に勤務し、現在、長野県佐久市に住む。1981年、内科医として難民救援医療団に加わり、タイ・カンボジア国境に赴き、同地で「破水」の第五十三回文學界新人賞受賞を知る。1989年「ダイヤモンドダスト」で第百回芥川賞受賞。2008年『草すべり その他の短篇』で第三十六回泉鏡花文学賞を、翌年、同作品で芸術選奨文部科学大臣賞を受賞する。ほか主な作品に『阿弥陀堂だより』、『医学生』、『山中静夫氏の尊厳死』、『海へ』、『冬物語』、『トラや』などがある。とりわけ『阿弥陀堂だより』は映画化され静かなブームを巻き起こしたが、『山中静夫氏の尊厳死』もまた映画化され、2020年2月より全国の映画館で上映中。

「2020年 『根に帰る落葉は』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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