小銭をかぞえる

著者 :
  • 文藝春秋
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本棚登録 : 146
レビュー : 28
  • Amazon.co.jp ・本 (177ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784163274300

感想・レビュー・書評

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  • 主人公はなんて嫌な男だろう!すべての男のもっている「馬鹿で子供で役にたたなくて小心で卑怯で、全く無駄に純粋」なエッセンスが凝縮されてる‥すごくムカムカしました、やってくれるじゃないか。確かに一部男性読者には熱狂的に受け入れられるかもしれない、「ファン」が付きそうな作家ですね。
    だが敢えていうなら芥川賞はこういう作家にこそとって欲しい。いいじゃないですか!近頃のおセレブなお若い嬢ちゃん作家の受賞に飽き足らなかった方には溜飲が下がるんじゃないかな。
    文章は古風で平明で格調高いと言ってよいと思います。こんな美文でこんなクソヤロウを描くなんて贅沢きわまりない。

  • 2話目(表題作)は顕著にそうなんだけれど、主人公が余りに理不尽すきて、おいおいそりゃねえよ、怒ってるけど明らかにお前がおかしいよ、という盛大な突っ込み待ち小説。ここまで邪で横暴なひとをひととも思わない心情を吐露して、かんぷなきまでに読み手による擁護を不可能にするというのは、計算ずくでなければ逆に恐ろしい。ペット、ぬいぐるみのお話はなんじゃそりゃとなった。夫婦喧嘩は犬も食わぬ。でも自分無視して永遠とぬいぐるみに話しかけられ続けたらイライラしてくるのはちょっと分かる笑 

  • 相変わらずのゲス野郎っぷりですが、そこがまた癖になります。

  • 久々に最後まで読めた西村作品

  • 焼却炉: 同棲相手の女が三体の縫いぐるみを赤ん坊のように可愛がり私の鼻につく。女は石女で、私に内緒で不妊治療をしていた。なんだかんだ、私なりに女に愛しさを感じる日々。ある日、女が私の蔵書を損ねて大げんか。私は怒り縫いぐるみの首を引きちぎって巣鴨あたりに飛び出るも、女から蔵書に何かされては困ると思い直し、引き返して仲直り。二度目は藤澤の蔵書を損ねられたことで怒髪が天を衝き、女の縫いぐるみを完膚なきまでに引き裂いてゴミ袋へ放り込み、濡れた吸殻やら牛乳やらをぶち込む。
    小銭:藤澤全集の五巻を刊行する資金繰りに奔走する私。S出版には一度支払いを待ってもらったため再び待ってもらうことは私の信用を堕とすことだと私は思い込んでいる。当てにしていた古書買取は二束三文。かつての人足時代の友人山志名に会いに行くも袖にされ、ブチ切れてブサイク妻と娘を貶める罵詈雑言を吐いて帰宅。結局同棲相手の女の父に頼る。女に電話をかけさせ、50万を借りる約束を取り付ける。女は父親に苦言を呈される。私は必要な金額を盛って伝えていた。差額の20 万円で懐が暖かくなり、女と池袋の高級レストランで食事しようと出かける。時間つぶしに入った古本屋で貴重な本を見つけ、女から札を借りて購入してしまう。女があとから、それは生活費だったと文句をつけてきたため、これから美味い物を食べようという気分を削がれて私は不機嫌になる。街中で大げんか。女は駄目押しで、印刷所への支払いの領収書を渡すように申しつけてくる。私はタクシーで女より早く帰宅。特上寿司を宅配させ都バスで女が帰るとこれ見よがしに見せつけた。女は狂乱になりそこここに貯めた小銭をかき集め高いピザを頼む。ピザが運ばれてきたところへ女の心をえぐるような罵詈雑言を浴びせる私。

  • なんだかやめられない強烈な依存性を持つ「西村小説」。収録された2篇「焼却炉行き赤ん坊」も「小銭をかぞえる」も、判で押したように暴力沙汰でオチを迎えるというのがなんとも素敵。

    しかもそこで繰り広げられる暴力というのは、バイオレンス小説のそれではなく、一人の惨めな男が身近な人に向かってカッとなってなされるつまらないものばかり。だけどそのつまらなさが、妙に心地よい。

  • 読後感はよろしくないが、自分の中の見たくないものを見せられたからか。嫌な感じがするのだか、体の中に入ってきたものか、後からじわじわくる感じ。

  • くそ男すぎて笑えてくる。でも露悪的だったり自虐的だったりする人が好きなので嫌いになれない。むしろすごく好き。…なんて年増女が言っても鼻くそ投げられそうだけど。不快じゃない気持ち悪さが一周して小気味よく感じる不思議。

  • 読んだ後味は良くはないが、何故かまた次の作品へと手が出ちゃうんだな。これで西村賢太作品、三作目を読了。

    何故これが文学となって、多くの人の支持を得ているのか正直意味がわからん。相変わらず胸くそ悪い話だけれども、またそんな胸くそ悪さを求めて、ジャリ銭握って本屋に向かう俺も意味わからん。

  • 作品世界がきちんと確立している。芯が太く、ごつごつした手触りが心地よい。

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著者プロフィール

1967(昭和42)年7月12日、東京都江戸川区生まれ。中卒。新潮文庫版『根津権現裏』『藤澤清造短篇集』角川文庫版『田中英光傑作選 オリンポスの果実/さようなら他』を編集、校訂、解題。著書に『どうで死ぬ身の一踊り』『暗渠の宿』『二度はゆけぬ町の地図』『小銭をかぞえる』『随筆集 一私小説書きの弁』『人もいない春』『寒灯・腐泥の果実』『西村賢太対話集』『一私小説書きの日乗』(既刊六冊)『棺に跨がる』『形影相弔・歪んだ忌日』『けがれなき酒のへど 西村賢太自薦短篇集』『薄明鬼語 西村賢太対談集』『随筆集 一私小説書きの独語』『やまいだれの歌』『下手に居丈高』『無銭横町』『夢魔去りぬ』『風来鬼語 西村賢太対談集3』『蠕動で渉れ、汚泥の川を』『芝公園六角堂跡』『夜更けの川に落葉は流れて』『藤澤清造追影』などがある。

「2019年 『狼の吐息/愛憎一念 藤澤清造 負の小説集』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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