火村英生に捧げる犯罪

著者 :
  • 文藝春秋
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  • Amazon.co.jp ・本 (288ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784163274508

感想・レビュー・書評

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  • アリス&火村シリーズで読んでいないものを発見したので読んでみる。
    超短編~短編が8編収録。
    こういうトリックやパズルに特化した短編集は有栖川さんのお得意。

    「長い影」
    『非定型型縊死』という言葉を初めて知った。言葉通り変わった形の縊死とアリバイ崩し。意外な人間関係も面白い。

    「鸚鵡返し」
    鸚鵡を使ったトリックだが、策士策に溺れると言った感じ。落語のようなオチが良い。

    「あるいは四風荘殺人事件」
    火村先生が現実の事件だけでなく、未完の小説作品にまで駆り出される? これこそアリスの出番じゃないのか、と思ったのにアリスでは駄目だったらしい。
    いかにもな仕掛けにワクワクする。

    「殺意と善意の顛末」と「偽りのペア」もショート・ショートみたいなオチの効いた話。

    「火村英生に捧げる犯罪」
    火村に対する挑戦状が大阪府警に届き、アリスには盗作疑惑の電話が掛かる。入試の試験監督で大学から出られない火村に代わり、アリスが事件現場に赴く。探偵のいないワトソンは活躍出来るのか?
    アリスの扱いが段々可哀想な感じになっているようでお気の毒。結局今回も火村のお使いだったし。
    大袈裟な仕掛けの割には小者感いっぱいの犯人だった。

    「殺風景な部屋」
    ダイイングメッセージも読み取る側の頭脳が要る。判ってみれば子供じみたこじつけだが面白い。今際の際に何をどう残すか、文明の利器に感謝。

    「雷雨の庭で」
    リモート会議でずっと話をしている間に起きた殺人事件。互いに席を外したのは短い間。その間に濡れもせず隣家の人間を殺せるのか。
    文明の利器を逆手にアリバイトリックを練り上げた筈が、肝心の証拠を消していなかった痛恨のミス。しかしこんな死に方、漫画みたい。

    呆気ない話もあるが、犯人当てありアリバイ崩しあり、トリックあり、様々なパズルが楽しめた。

  • 短編集。感動するほどでもないけど、そうか!という推理ネタがいっぱい。
    表題作は思ったほど。いつかのジャバウォッキーよろしく、犯人と対峙してバチバチ、というのを想像していたのです。トリックなら「雷雨の庭で」、話の仕掛けなら「あるいは四風風~」がよかった。後者は作家アリスシリーズのユーモアがある。頭に「長い影」を持ってきたのはすごい采配だ、ミステリーらしいミステリー。

  • 8編の短編集。
    「鸚鵡かえし」は珍しく火村目線で書かれてるのでとても新鮮だった。
    好きだったのは「あるいは四風荘殺人事件」
    私も多分コースター用意するな(爆)
    そして違う話ではアリスが警察側からどんな風に見られてるのかが垣間見れる。
    アリスはアリスで頑張ってるんだけどねー。
    柳井警部の娘さんは無事に合格できたんだろうか?
    一つ一つ気軽に読める短編集だった。

  • 表紙の字の並びがすごく火アリ。火村先生のフィールドワークの動機がかつての自分への贖罪なら、憎むべきはずの犯罪は火村にとって必要なものになってしまう。そのジレンマを理解して与えるのがアリスっていう。表紙だけでだいぶ妄想した。

  • 火村とアリスが活躍する短編集。
    長編と違ってサクサク読み進められるものが多かったし火村目線の話なんかもあったりして面白かった(火村目線になったのには理由があるらしいけれど)。
    長く続いているシリーズを読むと時代の変化に関する呼び名の変化やトリックなんかがあったりするのだけれど、いつの時代も火村とアリスの関係性は変わらなくてそこがほっとするというか変わらないなーと苦笑しちゃうところというか。
    あんなに犯人を追い詰める時は恐ろしいオーラを出す火村先生がアリスといると漫才コンビみたいな発言をしちゃうのもちょっと笑えてしまう。
    「鸚鵡返し」が個人的に一番好きだったなー読みやすさも含めて。

  • 火村英生に捧げる犯罪
    アリスの電話かかってきての対応が地に足ついているというか「まあそうですよね」って感じでスンってなってる。二次創作ならホイホイ向かうところだけどそこは本家の強かさのちゃんとある妙に冷徹冷静なアリスだな、と。出版社通してくださ〜い

    超短いお話が作れるのはキャラクターが確立している作品ならでは。
    名前は壮大なのに中身はクスッとしちゃう系(ミステリの筋はちゃんと通っている、構成的な話)が多いので、嫌な人もいるかも。

  • 数十ページの長編と十ページ程度の掌編と、スラスラ読める割にミステリのトリックが面白く、楽しく読めた。

  •  目次を見る限りあとがきが無いので借りるのを敬遠していた。全て読み終えたらあとがきがあるではないか。こういうことでは困る。不親切。
     『あるいは四風荘殺人事件』は「高校の物理の復習か」と思いながら読む。
     『殺風景な部屋』はドラマ版でネタバレしていたので、犯人がすぐ特定できた。視聴する前に原作を全て読んだつもりでいたのだが、ショートショート的な短編から小ネタを拾っていたのだな。
     表題作は『赤毛連盟』のバリエーションだろうか。
     巻頭と巻末作品は読み応えがあった。

  • 2022.01.30 図書館

  • うーん、いまいち?

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著者プロフィール

1959年大阪生まれ。同志社大学法学部卒業。89年「月光ゲーム」でデビュー。「マレー鉄道の謎」で日本推理作家協会賞を受賞。「本格ミステリ作家クラブ」初代会長。著書に「暗い宿」「ジュリエットの悲鳴」「朱色の研究」「絶叫城殺人事件」など多数。

「2023年 『濱地健三郎の幽たる事件簿』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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