W/F ダブル・ファンタジー

著者 : 村山由佳
制作 : 久留 幸子 
  • 文藝春秋 (2009年1月8日発売)
3.13
  • (56)
  • (179)
  • (339)
  • (126)
  • (36)
  • 本棚登録 :1717
  • レビュー :332
  • Amazon.co.jp ・本 (496ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784163275307

作品紹介・あらすじ

奈津・三十五歳、脚本家。尊敬する男に誘われ、家を飛び出す。"外の世界"に出て初めてわかった男の嘘、夫の支配欲、そして抑圧されていた自らの性欲の強さ-。もう後戻りはしない。女としてまだ間に合う間に、この先どれだけ身も心も燃やし尽くせる相手に出会えるだろう。何回、脳みそまで蕩けるセックスができるだろう。そのためなら-そのためだけにでも、誰を裏切ろうが、傷つけようがかまわない。「そのかわり、結果はすべて自分で引き受けてみせる」。

W/F ダブル・ファンタジーの感想・レビュー・書評

並び替え:

表示形式:

表示件数:

  •  なぜこんなに経ってから読んだのだと思った。けれどこの本がでたころ、
    いろいろ大変で本を読む気持ちから離れていた。
    もしそのころに読んでいたら、こんなふうに全身で切なく、寂しく、
    心に沁みている感じに気が付けなかっただろう。

     ああ、どうして・・・と読み終えて思った。
     これだけ男性がそばにきて、抱かれても”ひとり”なのだ。何をどうしても満たされない”独り感”。
     先輩とずっと過ごしていくのかと思っていた。大林の誘いに「やめてやめて!」と叫んだ。
    会っても尚「そのまま帰って!」と願った。
     まさか大林を選ぼうとは。
     大林も本気なセリフをはいていたけれど、何をもって信じればいいのだ。

     先輩からの最後のメールも切ない。
    でもこのなかで一番切ないのは奈津だった。

     普通には到底できないつきあいをしながらも、なぜだかあきれたり悪く思ったりしなかった。

     涙がでそうででなかった。
     切なくて哀しくてどうしようもなかった。
     厚い一冊まるごと、自然にいろんな感情が寄せてくる。

     志澤、最悪!と怒っていたことがいつのまにか消えたラストだった。

  • すごい、の一言に尽きる。
    一気に読んでしまった。最初志澤との情事があまりにも気持ち悪いので読むの辞めようかとも思ったが朝方だというのに一気にこうして読んでしまった。
    村山さんの本は天使の卵、天使の梯子、星々の舟しか読んだことありませんでしたがどうも好きになれなかった。だけどこの作品を読んでだいぶ見方が変わりました。
    奈津のあの欲の強さ、女として、目を奪われた。
    男の書き方も素晴らしい。大林の出現により岩井が変わる描写とか素晴らしすぎて鳥肌たった。
    中央公論文芸賞、島清い恋愛文芸賞、柴田錬三郎賞の三冠しただけある作品。

    • 猫丸(nyancomaru)さん
      文庫になったので読んでみようか、と思っていますが。。。
      2012/04/11
  • こんなにも共感した本は初めて。想像力が豊かなところ。親との確執。
    自分は変なのかもしれないという罪悪感。
    →奈津・三十五歳、脚本家。尊敬する男に誘われ、家を飛び出す。“外の世界”に出て初めてわかった男の嘘、夫の支配欲、そして抑圧されていた自らの性欲の強さ―。もう後戻りはしない。女としてまだ間に合う間に、この先どれだけ身も心も燃やし尽くせる相手に出会えるだろう。何回、脳みそまで蕩けるセックスができるだろう。そのためなら―そのためだけにでも、誰を裏切ろうが、傷つけようがかまわない。「そのかわり、結果はすべて自分で引き受けてみせる」。

  • テレビで著者のインタビューを観て、興味を持ったので読んでみた。
    主人公の女のしての、そして著者の作家としての覚悟を感じた。

  • たくさんの賞をとった作品だけど、読む人を選ぶ小説なんじゃないかな。30代以下の年齢の人で主人公の気持ちを理解できる人は少ないんじゃないかと、作者と同年代の私は思います。
    まるで作者自身を思わせる主人公に、村山由佳という作家の、自分の内面をすべてさらけ出しても書きたい、という執念のようなものを感じ、圧倒されました。
    40代以上の女性なら、読んでみてもいいのでは。

  • 主人公が同い年で、夫との年の差も近い。
    仕事や境遇は違うけど、奈津さんとは似てるところもあって、勝手に親近感。
    こういうラブストーリーが面白く読めるようになったのは、30過ぎてからだ。
    女性の、あまり公にしない部分が赤裸々に描かれているだけに、レビューは書きづらい(;^_^A
    思うに、恋愛体質というのは肉体的欲求と心理的欲求のどちらを重視するかで変わると思う。
    ただ男性と抱き合えれば済むのなら、相手に家族がいようが関係はない。
    そこに心も癒されたいという欲求が生まれ、その人の特別になりたくなって、そうなると不倫関係は終わらせないと辛い。
    どうして、体も心も癒してくれる相手が既婚者だったのかね。
    こういうところがうまく行かない。
    心のすれ違いを体でしか埋められないから、自由なあまり別の相手を求めてしまう。
    また、現れてしまうんだよね、心に穴が開いてるときに限って。
    ほんとは、ただ独りを愛して愛されたいだけなんだけど、それが叶わないばっかりに、いや、叶っていることに気づかないばっかりに離れることになってしまう。
    実際、女性は一人の男性に一通りの愛され方をされるだけじゃ満足できないのだろう。特に体は。
    でも、心はただ一人を求めているから、そうでなければいけないと思っているから、誰かのものになる。
    心の安定を捨て去ってまで、体の求めるものに忠実になるわけに行かないから。

    あまり書いてると、浮気願望があるかのように思えてくる(-ω-;)
    ないよ。
    奈津さんを羨ましいとは思わない。
    欲望に正直に生きると孤独で虚しいってことは何となくわかるから。

  • なんか濃いものが読みたいなと思って借りた本。

    開いてみればそれは官能小説でした。

    セックス描写が多いものは久しぶりに読みました。最初の浮気相手(出張ホスト除く)、志澤はいかにも肉食な男性。相手をひれ伏させるタイプ。
    次の岩井はロールキャベツ男子。奈津に対する気配りとかがすごく女性受けがよさそう。私もこの中では岩井が一番好きですね。旦那さんにしたいタイプですね。浮気は困るけど。志澤の次の相手として奈津の心と身体を癒す人でした。
    坊さんやらなんやらはおいといて最後の大林。これはまだつかめない。だから奈津も大林にとらわれはじめたのではないでしょうか。

    夫の省吾との擦れ違い。省吾にはきっと悪気はないんですね。だからこそ奈津を苦しめもする。好きになれない夫だとは思いましたがだからといって奈津を愛していないわけではない。
    別居を始めて、たまに省吾のことを思い出しはするけど私は犬のハヤトも思い出してほしかった。一緒にいるのが環だからって、ハヤトのことを忘れないでほしいなぁ。

    志澤を振り切ったと思ってさえやはりどこかで志澤の影があった奈津。
    奈津が夫のもとへと去ってゆくきっかけを与えただけに特別な男性だったのでしょうか。それとも彼のあの攻撃的なところに女は惹かれるのでしょうか。

    最後に岩井が変わってしまったのが残念だったけど、奈津が変わってしまったから岩井も変わってしまったのだろう。せっかく妻にしか言わない「愛してる」を言ったのに。

    花火大会のシーンのラストは美しい情景でした。

    この作品を30代の主婦の目線で読んだらどうなんだろうと思いました。また私と感じ方が異なることでしょう。

    この奈津が60、70になったらどう過ごしているのか気になります。

  • 期待はしてたんだけど、全体的に薄っぺらい印象。
    脚本が書けなくなったから、男をとっかえひっかえしているように
    しかみえなかった。
    旦那とのくだりは、うちの元旦那と似たところがあって、モラハラだなあと思いながら真剣に読んでしまったけど。

  •  途中(P353:岩井氏と会っている時)で思わずおおっ!と声をあげてしまった。その個所を引用します。
    “揺るがない優しさこそがほんとうの男らしさだと気づくとき、たいていの女はすでに年老いてしまっている”
     これはまさに『ベルサイユのばら』のオスカルがアンドレに対し放った台詞“心やさしくあたたかい男性こそが、真に男らしいたよるにたる男性なのだということに気づくとき…たいていの女はもうすでに年老いてしまっている…と…。”と同様ではないか。確か二人が初めて結ばれる直前である。
     著者は岩井氏のキャラにアンドレを入れている!?
     いやいやいや…。アンドレオスカルのあの後のシーンは私にとって至高の1ページであって、淫乱さなどみじんもないのである!ほんの一瞬でも重ねて考えた頭を、思わずぶるんっと振った私だった。
     ずいぶん脱線してしまったが、アンドレとか、岩井氏とか、無償の愛を注ぎ続けるキャラクターに、女性は弱い。著者の計算を感じた設定だった。
     単なる官能小説ではない。
     主人公奈津の極めて動物的な行動に対して、男たちのなんと人間的なこと。あの志澤だって、彼女を振ったように見えて実は「しっぽを巻いた」のだ。彼の理性がストップさせたのだと、私は解釈する。夫、デリバリー君も含め5人の男たちが、頭で理解しようとするのに対し、奈津の体が先走っているところが面白い。
     ラストも、台詞にあったように、風呂敷を広げたまま終わる。これも計算のうちだろうか。奈津が書いたとしか思えない読後感は、著者の思惑通りなのかもしれない。

  • 「ほかの男と、した? 俺のかたちじゃなくなっている」と帯に書かれていて、表紙が女性の裸体って普通は買えません。図書館でたくさん借りたときに一冊混ぜこんで借りました。恥ずかしかったです。

    村山由佳さんの文章は綺麗でとてもすきです。国語の教科書にのってほしいくらい好き。
    ダブルファンタジーは私はダメでした。不特定多数の人とセックスするっていうのがダメ。

    美味しいコーヒーの入れ方シリーズは爽やかな恋愛らしいのでいずれそちらを読みます。

全332件中 1 - 10件を表示

村山由佳の作品

この本を読んでいる人は、こんな本も本棚に登録しています。

W/F ダブル・ファンタジーに関連する談話室の質問

W/F ダブル・ファンタジーを本棚に登録しているひと

ツイートする