粗茶を一服 損料屋喜八郎始末控え

  • 文藝春秋 (2008年10月31日発売)
3.22
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  • 本 ・本 (264ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784163275406

感想・レビュー・書評

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  • 粗茶を一服 ― 損料屋喜八郎始末控えシリーズの3作目 
    2008.10発行。字の大きさは…小。

    損料屋喜八郎は、恩義の有る先代米屋政八の頼みで、札差の2代目米屋政八を守るために奮闘する物語です。損料屋とは、鍋、釜などの生活必需品の賃貸業です。

    公儀が棄捐令を発布してから3年になるが、棄捐令で痛めつけられた札差は、非道な仕打ちに怒り貸し渋りで応酬した。
    世の中の景気は、一向に上向いてこない。其処で公儀は、お助け策として、米の配給に三万両と銭の貸付けに千両を配給することを決めた。こめの配給三万両は、全て札差から米を買い町の会所を通じて配給される。
    そのお助け策に、大きな騙りが仕掛けられた。その動きをいち早く知った喜八郎は、伊勢屋四郎左衛門を動かして潰してしまうが……。

    【読後】
    テンポがよく、喜八郎の動きも良く、読むのが楽しみな一冊です。
    2021.03.08読了

    ※シリーズ
    「損料屋喜八郎始末控え」シリーズの1作目
    https://booklog.jp/users/kw19/archives/1/4167670011
    「赤絵の桜ー損料屋喜八郎始末控え」シリーズの2作目
    https://booklog.jp/users/kw19/archives/1/4163240802

  • 面白かった。
    2018年、戌年に「猫札」から始まる小説である。
    7話からなるのだが、最初の騙りの話から、次々とその騙りの本体が、見えて来る。
    札差会所の伊勢屋四郎左衛門の話。
    棄捐令によって多額の貸金棒引きに迫られた他の札差たちの中の者が、猫好きの伊勢屋の足を引っ張られるような事態を起そうとしている。
    その悪だくみをどう処理好いていくのか?
    大口屋は、伊勢屋を廃業へ追い詰めるために、猫札と称してだまし取らろうと、大城屋と、近江屋の手代の雪三郎を手下に従えたのだが、、、露見してしまい、土左衛門となってしまう。

    損料屋喜八郎始末控えなので、主人公は、喜八郎なのだが、この小説は伊勢屋を中心に描いている。

    題名の「粗茶を一服」も、茶道では、この言葉は、普通の粗茶の扱いででなく、御濃茶迄の事であり、正式の懐石料理付きの茶事の事である。

    一般に、我母などが、「粗茶ですが・・・」と、言いつつ静岡の玉露を来客のおもてなしに使用していたが、あなた様は、粗茶かもしれませんが、精一杯のおもてなしをしておりますと、言う意味合いだと、、、幼心に聞かされていた。
    茶道を習って、この言葉は、難しいと、感じたものである。

    表だった言葉の中に含む意味合いを解く難しさ。
    伊勢屋が、名品の器に料理を謎解きのような趣向で、もてなすのを、なんと上手く調理しているのだろうと、、、、。
    最後の懐石の料理の後の縁高の主菓子にあんで包んだおこしとは、、、想像もつかないお菓子であったのには、笑ってしまった。
    棄捐令発令前の元旦に札差が、役人を宴会に招待した時に振舞ったのは、尾張特産の大粒小豆と和三盆使用の汁粉で、理解できた。
    何と上手く当てはめているのだろうと、、、、。

    最後に十三夜のにゅうめん 「提灯下に居る子犬が鼻を鳴らした」

    戌年にピッタリだったかも、、、と、楽しく読み終えた。

  • 町飛脚が届けるのは、書状だけではない。言伝もあれば、金を届けたりもする。両替商の近江屋には、朝から夕までひっきりなしに、町飛脚が出入りする
    休んでいる限り、職人には手間賃は入ってこない。その上、雨は、肌寒さを長屋の路地に居座わさせているのだ。懐も肌も、両方が薄ら寒い職人は、何度も舌打ちをしてから、恨めしそうな目で雨空を見上げた

  • 内容(「BOOK」データベースより)

    大不況下でも図抜けた身代を誇る札差のドン・伊勢屋を陥れようと、悪い噂を江戸中に流しているのは果たして誰なのか。仕掛けられた罠、謎、そして伊勢屋の豪快な意趣返し。極上の茶の香りにのせ茶室で展開される商人たちのかけひきに喜八郎はどう動くのか。秀弥との恋の行方も気になる大人気シリーズ第三弾。

    平成30年5月23日~25日

  • 前にももう読んだようだがまるで覚えがないので再読
    2018.03.31.

  • 敵か味方か

  • 今年 一番読んだ作家さんは 山本さんかな。

  •  損料屋喜八郎始末控えのシリーズ第3弾。
     棄捐令による不況の中でも傾かない伊勢屋を狙う悪い噂に、喜八郎が真相に迫ります。

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     シリーズ3作目なんですけどね、またもこの巻から読んでしまいました。
     おもしろかったんだけれど、喜八郎さんの右腕・左腕となって活躍する仲間たち以外の人間関係が、1作目と2作目で出来上がったんだろうなぁ、という感じで、ちゃんと1作目から読めばよかったと後悔…。
     順番に読んでいったら、絶対もっとおもしろかったと思う。

     あと、この本、7章から成ってるんだけれど、7つの短編連作でなく、最初の3章で1つの話、次の3章で2つ目の話、最後の1章で3つ目の話、という構成だった…。
     第1章で事件が解決しなかったので、1冊で1つのお話(第7章で1つの事件が解決する)と思って読んでいたので、第3章を読んでいるとき、事件が解決しそうになっても、まだ何か続きがあるのかと思ったりして、何か気持ちがぐちゃぐちゃになった。
     そこ、もうちょっと分かりやすく表示してくれたらよかったのになぁ、て思う。

     てか、このシリーズ、喜八郎さんが主人公なんだよね?
     3つ目の話以外、あんまり喜八郎さんが活躍してる感がないんだけど…。
     伊勢屋さんが主役なのでは?

  • 風景描写やら雰囲気やらはとても良い、がしかし、肝心の話の筋書きが並の域を越えれないところが辛い

  • 損料屋喜八郎始末控え第三弾。

    前作をとばしてしまったのと、一作目を読んだのがかなり前で、誰が誰だかわすれてしまっていたのが残念。
    また読む時は一気に読んでしまおう。
    今回は喜八郎よりも伊勢屋が表だった事件が多い。
    商いに厳しく、悪評も多い伊勢屋だが、いいものはいいと認め、そのためのお金はおしまないような心意気がかっこいい。
    最後のにゅうめんがとてもおいしそうだった。

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著者プロフィール

1948年高知市生まれ。都立世田谷工業高校卒。旅行代理店、広告制作会社、コピーライター、航空関連の商社勤務等を経て、97年「蒼龍」でオール讀物新人賞を受賞。2002年『あかね空』で直木賞を受賞。江戸の下町人情を得意とし、時代小説界を牽引する人気作家の一人。著書多数。

「2023年 『草笛の音次郎』 で使われていた紹介文から引用しています。」

山本一力の作品

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