四とそれ以上の国

  • 文藝春秋 (2008年11月27日発売)
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Amazon.co.jp ・本 (224ページ) / ISBN・EAN: 9784163277004

みんなの感想まとめ

独特な雰囲気を持つこの作品は、四国を舞台にした五つの物語を通じて、土着的な文化や不思議な景色を描き出します。読者は、時に怖さを感じながらも、その魅力に引き込まれていく様子が伺えます。特に、物語の中で語...

感想・レビュー・書評

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  • ちょっと怖くて、でもすごく力のある景色。
    電車の中から眺めた四万十川を思い出した。
    雨の中、たまに人気のない駅に止まったあの景色。
    すごくすごく四国に行きたくなってしまった。

    四国を舞台にした5つのお話が収められているけれど、全部なんとなく景色を眺めたという程度で理解は出来ていないと思う。
    代々語り継がれてきた昔話を聞くのに似ているかもしれない。
    理解出来ないことも、不思議なことも、怖いことも、全部そのままを受け入れるしかない。

    中でも最後の「藍」が好きだと思った。
    そもそも藍が逃げるというのがとても不思議。
    どう決着をつけるのかと思ったら、想像以上に鮮やかなラストだった。
    四国に行きたいな。

  • 昔、本のタイトルで中身が気になって図書館で読んだが、よく分からず最初の話だけ読んでやめてしまった…こんな本もあるのかと思った

  • 四国を舞台にした意味のわからない短編集。ストーリーを追求しない文章の羅列は読了に耐え得ない。

  • 久しぶりに、いしいしんじさんの小説を読んだ。
    最初はなかなか読み進められなかったのだけど、いつのまにかはまっている。
    よくわからないけれど、独特なこの世界にずぶずぶと。

    四国という場所に宿る、土着的なものから生まれるものがたり。

  • 四国出身でも途中で投げ出したくなるくらい、独特な世界観。話は特になく、淡々と生活や、それぞれの心情が語られて行くのみ。

  • あまりよくわからなかった。いつもの伸びやかさがないような……「塩」はよかったです。

  • よそ見を許さない本で一気に読んでしまった。
    読み始めるとすぐに生々しい、気持ち悪さを感じるのだけど、数ページ読むともう捕まえられていて他に気をやりたくなくなる。床を歩いていると思ったらいつのまにか壁で、天井で、という感じの不思議さで、ああいしいさんの小説だと思う。
    いしいさんが言葉の前にあるもの、もっと根源的な衝動のようなものへどんどん向かっているのは感じていたけど、その志向が分かりやすいかも?

    感情も、言葉も、性的欲望も、暴力も、知的好奇心も、今も昔も、自分も他人も、四国でみんな渦になってどろどろに戻っていく。こちらの頭の限界を超えて飛び回る話についていくうちに、ああそうなんだなと分かる…ように感じる。
    私はまだ行ったことがないけれど、四国がぎっちりと詰まっていて「それ以上」へどんどんあふれ出しているのが読んでいてたのしく、「ふくふく」してしまう。
    どれが好きというのは悩むけれど、ガツンと来る「塩」、藍職人の地に足感と藍のふわふわした旅が絡まる「藍」が素敵だった。

    鳴門の渦の話は梨木香歩さんの「やがて満ちてくる光の」にもあったけど、やっぱりエネルギー、物語の溢れるところなんでしょうね。とっても行ってみたい。

  • タイトルと、装丁が素敵で何度か借りてみて、漸く読んだ。
    不思議な雰囲気。嫌いじゃない。

  • #宇宙船のエンジンの機械油は、マッコウクジラから採れる。「そして何より鯨がすみずみまで用いられたのは人が読む本だった。(中略)まったく関係ない話にみえたときも、巨大な鯨あるいは目に見えない鯨の影が海面下をゆったりとすすむ気配は本のどこかに必ずたちこめ……」

    #鯨は加工され、その姿をさまざまに変え宇宙にまで行く。遠いものと遠いもの同士を結び付け、さらにより遠くまで行こうとする試みこそが書物の機能であるなら、『四とそれ以上の国』はいしいしんじの最深記録。もはやアーヴィングでもフォークナーでもない、傑作。

    (2009/02/19)

  • 四国を舞台にした短編小説集。しかし、いしいしんじのこと、ただの四国に納まりません。人形浄瑠璃に心奪われ、英語教師は鉄道で南へ行き、巡礼の道を人々は行き、渦を見て、逃げた藍を追う。幻想というか、現に夢がもれ出ているのか、妖しげな世界が繰り広げられています。
    それは、ありとあらゆるものから物語が溢れ出ているからなのかも。四国の人々、土地、歴史、文化、伝統、交通、産業などなど。どれもこれもが物語となり、何もかもから物語が溢れ、それぞれが絡み合う。全ての物語の色が混ざり合いながらも、それぞれの色を残し主張し合う。あたかもマーブル模様を成すように。
    だから、主軸となる物語を見失ったり追えなくなることもありました。溢れる物語に翻弄され溺れてしまったのです。また再読すれば、新たなる物語を掴むことができるのでしょうか。

  • 八十八ケ所巡礼、うどん、塩作り、鳴門の渦潮、正岡子規、高校野球など、四国の特産、風俗、名勝、慣習を、旅しながら、異世界四国を語る。児童文学の時と違って、文章が読みにくかった。若い娘となった藍が可愛かった。未読のポーの大渦の話を読みたくなった。

  • 鯨そのものが小説に似ているのかもしれない。あるいは夢や、空間の穴に見える巡礼路の様子、「なつかしさ」といったようなものに。
    (P.108)

  • 思い出や記憶や予感、感性、善意や悪意みたいな普段は目に見えないものたちが幽霊になって一同に介している感じ。だから不穏で気持ち悪いひと(もの)もたくさん出てくるけれど、そういうものから目を逸らさないいしいしんじさんの優しさ…でしょうか。我々がいつも目を逸らしているもの、見ようとしないものって何だろう、と思いを馳せました。単純に「なにこれこわい」では終わらせられない。やっぱりすごいと思う。

  • この本のレビューで、ある人が
    「『ポーの話』以降の模索の先の一冊、という気がする。(略)うーん、そっちにいくのか。」
    と書いていた。私も同感。

    私は『ポーの話』は好きだった。でもこの『四とそれ以上の国』は模索の一冊という感は否めない。

    『ポーの話』では全体的にファンタジーと清廉さでまとまっていたのに対し、『四とそれ以上の国』は不思議設定の世界と現実感的な描写がちぐはぐな感じがした。

    ファンタジーと清廉さを脱却しようとしているのが伝わる。
    より人間くささを出そうとしているのが伝わる。

    だけど、それが、私としては私の好きないしいさんではなくて残念だった。読むのがしんどかった。

    私はいしいさんの物語を読むとパウル・クレーの絵を思い浮かべてしまう。
    美しい様々な色彩を感じるし、物事を形どおりに描かないという部分がそう感じさせるのかも知れない。
    何が描かれているか見えるのではなく、感じる作品。

    現代社会の細事による感情じゃなくて根本のところの感情がいしいさんの作品にはある。
    現実社会で生きている私たちじゃなくてもっとずっと太古の人間の有様のような、そういう人間の本質の世界を感じる。しかも人間の善の部分。

    この『四とそれ以上の国』はこれまでのいしいさんに人間の血なまぐさい部分を少し足したような作品だと思う。

    『四とそれ以上の国』は『塩』『峠』『道』『渦』『藍』という5つの短篇から成る四国を舞台にした本。
    短篇なんだけれど、四国という繋がりによって長編のような感じもする。
    私はとくに『道』がしんどかった。

  • よくわからなかったけれど、夢をみているような、なんだか土臭いような世界に連れていかれるような感触は、楽しめました。
    「藍」では、“逃げ出した藍”が妙にリアルで生々しく、藍の独特のにおいが思い出されて、息苦しくなるようでした。

  • わからなさすぎて挫折

  • 『ぶらんこ乗り』で好きになった、
    いしいしんじさん。

    『四とそれ以上の国』というタイトルを見て、
    不思議なタイトルだと思い、
    何かおとぎ話のような小説かな、と思って手に取ったら、
    四国を舞台にした、不思議な短編集でした。

    たしかに、どれも不思議でちょっとこわいお話たちは、
    『四とそれ以上の国』という感じ。
    四国は超越してる。

    ちょっと純文学のフレーバーも漂っていました。
    読点が少なくて、内容もファンタジー混じりだから、
    よくよく丁寧に読まないと置いていかれそうだったな。

    二番目の短編『峠』が、
    個人的には好きでした。

  • ■うん、ごめんなさい。「ポーの話」に続く、世界観入りきれなくて読みきれなかった、第二段。(いちおうw、なんだかんだで読み切るタイプなんだけど、入りきれなかったよ。。。)
    四国の話っぽくはあったけど、ついてけず。

  • 色や空気、雰囲気は伝わる。
    解釈しようとか、理解しようとか、そういう話ではないかな。
    ただ、全体的に性的なものと血の臭いがして、個人的には落ち着かない話ではある。

    かぜひいて、ぼんやりした頭で読むのには最適ですな。

  • トラック運転手をしている男は野球について考える。
    もし野球が南半球で発明されていたら
    ランナーは右まわりに走っていたのだろうか。
    入院中の弟に聞くと右利きの人間は
    左足の方がふんばりやすいからだと答える。
    実は名ピッチャーである男は今日も渦潮を見に行く。
    「渦」ほか全5編。
    装丁・装画:池田進吾(67)

    難解です。奇想天外な発想がぼんぼん出てきて
    それなのに突飛ではなく昔話のように聞こえる。
    藍とか渦潮とか遍路とかうどんとか、四国名物集。
    徳島懐かしいわぁーかずら橋も出して欲しかった。

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著者プロフィール

いしい しんじ:作家。1966年大阪生まれ。京都大学文学部卒業。94年『アムステルダムの犬』でデビュー。2003年『麦ふみクーツェ』で坪田譲二文学賞、12年『ある一日』で織田作之助賞、16年『悪声』で河合隼雄物語賞を受賞。そのほか『トリツカレ男』『ぶらんこ乗り』『ポーの話』『海と山のピアノ』『げんじものがたり』など著書多数。趣味はレコード、蓄音機、歌舞伎、茶道、落語。

「2024年 『マリアさま』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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