猫を抱いて象と泳ぐ

著者 :
  • 文藝春秋
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本棚登録 : 3759
レビュー : 727
  • Amazon.co.jp ・本 (368ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784163277509

感想・レビュー・書評

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  • この話がチェスに纏わることなど、パッと見てタイトルから想像がつかず驚いた。また、「博士の愛した数式」では数学を、本編ではチェスのかなり深い部分まで作者が勉強して執筆していると感じた。この本は、夜更けの静寂の中で耽読することをお勧めしたい。

  • 静かでものすごくきれいな物語でした。
    チェスを覚えたくなる。

  • 面白かった。こういった物語が好きだ。以前読んだ小川洋子とはまったく違った感じがした。
    ラストになって伏線として写真のことが出た来たあたりから展開は想像できるのだが、最後の章を読むのがためらわれる。予想通りの結末ならそれは少し悲しいから。そしてちょっと優しいこの物語が終わることが淋しいから。久々にそんな気分になる本に出会った。

  • チェスに魅せられて、魅入られたリトル・アリョーヒンの、短くて静かな一生のお話でした。

    人物の固有名詞が一切出て来ず、

    生々しい感情の発露も少ないので、

    ものすごく淡々として見えるのだけど、

    だからこそ残るものが悲しいというか。

    静かに何かを得て、
    ゆるやかに何かを失って、
    そうしながら確実に進んでいく時間は、
    誰にも平等に容赦ないってわかっているけども、

    切なかったです。

  • 最初この作者の妊娠カレンダーを読んだ時は合わないと思ったのだが、最近博士の愛した数式やこの本を読むと、薄暗くひんやりした美術館の静謐の中で一人座っているような安らいだ気持ちになるのがいいね。

  •  チェスを彩るどこかわからない不思議な世界。舞台は現代なのだろうけど、登場人物の名称から、小道具から、どこかよその世界のよう。深いほど心情に切り込むかんじではないけれど、少年の生き方がとても切なくて、読み終わったあとの余韻でしんみりした。

    • 猫丸(nyancomaru)さん
      「どこかよその世界のよう」
      タイトルが優しくて、気になったので読んだら、リトル・アリョーヒンの話で、前田昌良の作品が使われていて。もうクラク...
      「どこかよその世界のよう」
      タイトルが優しくて、気になったので読んだら、リトル・アリョーヒンの話で、前田昌良の作品が使われていて。もうクラクラでした。。。
      2012/06/20
  • 「猫を抱いて象と泳ぐ」
    不思議なタイトルだけど、読み終えて改めて見ると、そこからこの本の中で出合えた静かでどこか寂しげな、でもまっすぐでやさしい様々な情景が浮かび上がってくる。
    全体を通して、朝霧の中にいるようなしっとりとした感じ。

    言葉を超えたチェスの世界がそこあり、同時に言葉のぬくもりが心に残る。

    “ 慌てるな、坊や ”

  • 彼女の小説は静かな湖のようだ。教養と知性があって、忍耐と根気強さを持ち合わせた賢い人なのだろう。

    およそ物作りをする人はみんな共通するものを持ち合わせているのではないかと推測する。ただ方法が違うだけで目指すものは同じなのではないかと。
    物作りとは目に見える物質的なものを作る人ばかりではなく、音を読み取ったり風を感じたりできる人たちも含まれている。平たく言えばアーティスト、芸術家である。盤に音符を紡いでいく本作の主人公もアーティストのひとりだ。

    彼はその才能を保つがために生涯大きくなろうとしなかったが、その心は誰よりも広大であった。それはこの少年がチェスの深海を誰よりもよく理解していたからである。随分強い男の子だけれど、あまりにもか弱くて儚いから最後は散ってゆく予感を覚えずにはいられなかった。予感が当たってしまって涙が堪えられなかったけれど、彼が世の人には知られずひっそりとチェスを楽しんでいたことを無名の私は誇りに思う。彼が自分の道を公の場ではなく、ごく一般の、しかし心からチェスを愛する老人たちに捧げたことがどれだけ彼らの励みになっただろう。それで救われた人たちを思えば、私は彼の判断を見誤らないというこのもうひとつの才能を称えずにはいられない。賞賛の目をもって涙ぐまずにはいられないのだ。

    タイトルだけでも心惹かれて敵わなかったけれど、一読の後はさらにこれ以上の名タイトルはないだろうと思わせる。作者の創作性に文字通り脱帽。

    (20110505)

  • 絹のような細い繊維を少しずつ丁寧につむいでいくような物語。
    物語の中にはほとんど恋愛要素が含まれて居ないのに、
    なぜか壮大な恋愛物語をみたような気持ちになります。
    出てくるほとんどの人間・動物が何かしらの異常な部分を持っているが
    それを持っているからこそ愛おしい。

  • どこまで透明で透き通った物語。綺麗で切ない。清濁合わせ持った話しなのにどこまでも美しい。今まで読んだ小説の中でも、ベスト3に入る。

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著者プロフィール

小川 洋子(おがわ ようこ)
1962年、岡山県生まれ。高校時代に文芸を志し、早稲田大学第一文学部文芸専修入学。在学中から文芸賞に応募。卒業後一般企業に就職したが、1986年の結婚を機に退職、小説家の道に進む。
1991年『妊娠カレンダー』で芥川賞、2004年『博士の愛した数式』読売文学賞、本屋大賞、2006年『ミーナの行進』谷崎潤一郎賞、2012年『ことり』で芸術選奨文部科学大臣賞、2013年早稲田大学坪内逍遙大賞をそれぞれ受賞。芥川賞、太宰治賞、読売文学賞、河合隼雄物語賞などの選考委員を務める。
『博士の愛した数式』は映画化され、大ヒットとなった。受賞作以外の代表作として、『薬指の標本』『人質の朗読会』『猫を抱いて象と泳ぐ』。

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