舞い落ちる村

  • 文藝春秋 (2009年2月11日発売)
3.31
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本 ・本 (168ページ) / ISBN・EAN: 9784163278704

感想・レビュー・書評

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  • 言葉の選び方や間の取り方など、とにかくセンスが良い。無駄な比喩や描写がないのに世界観がしっかりとしていて美しい小説だ。

    いらない言葉で世界を粉飾しないと成り立たないような小説は嫌い。

    「舞い落ちる村」「冬待ち」どちらも素晴らしかったです。

    • 美希さん
      >nyancomaruさん☆

      まだ小説自体は少ないけど書評とか翻訳とか幅広く活動されているみたいですよね。文芸誌にたまに載っている書評...
      >nyancomaruさん☆

      まだ小説自体は少ないけど書評とか翻訳とか幅広く活動されているみたいですよね。文芸誌にたまに載っている書評も表現が豊かで読みやすくて惹き付けられました。
      2012/06/09
    • 猫丸(nyancomaru)さん
      「書評も表現が豊かで読みやすくて」
      それはチェックしなきゃ!
      宜しければ誌名を教えてください。
      「書評も表現が豊かで読みやすくて」
      それはチェックしなきゃ!
      宜しければ誌名を教えてください。
      2012/06/13
    • 美希さん
      >nyancomaruさん☆

      たぶん、先月発売の群像の巻末あたりとあとは文学界か文藝だったかなぁ…。いろいろ読んでるので記憶がごっちゃ...
      >nyancomaruさん☆

      たぶん、先月発売の群像の巻末あたりとあとは文学界か文藝だったかなぁ…。いろいろ読んでるので記憶がごっちゃですがたぶんそのあたりに書評載ってると思います。
      2012/06/14
  • ひしめいた文章がうるさくて、行間が眠りはじめるまで何も見ないことにしていた。失語した秋に、失くしたものの数を数えるのをやめた。わたしたちの使っている言葉などはもう死語でほとんど意味を持たない。言葉というものは繰り返し使い過ぎると意味が擦りきれてしまう。わたしが吐きだすのは言葉の幽霊だ。そんなことをしていると虚構が現実に復讐しに来るよ。枯れた言の葉を踏みしだく惨めな日々には青の喪服が似合いだ。
    ほらまた、誰のものでもない言葉が舞い落ち、川に流れ、原初の海に還ってゆく。もうすぐあなたの名も思い出せなくなるだろう。

  • 書いてるとどんどん言葉が溢れてくるのかな。

    ところどころはみ出し気味に感じるけど、そんなところを読むのも面白い。

    しっとりとした重さと浮遊感とのバランスがいい。
    体感する文章だと思う。

    明け方の青い部屋が素敵だ。

  • 表題作は変な話ながら雰囲気が面白く引き込まれるように読んだ。
    が、「冬待ち」はさっぱり入り込めず・・・・。
    何より図書館勤務者としては、図書館スタッフがメンディングテープで本を修理するとかキャーやめて!と叫びたくなるシーンがあって余計に無理。

  • 読み投げ。

  • こりゃだめだ。読めない。ものすごく理知的なガルシア=マルケスといった感じで、スリルがない。星野智幸の小説に対すると同様、読み始めてすぐ白けた。浅田彰が推し、川上弘美が反対したのも頷ける。

  • 舞落ちる村 と 冬待ち 
    2話ともまったく生活感がなく感情移入できなかった。

    たしかに小説というのは虚構でなりたっているんだろうけど、それすらも楽しめない、何の意味も持たない、読んでも何も残らない話だった。
    ただ頭のいい人がつらつらと文章を書いてる感だけが残る。

    舞落ちる村・・・何の落ちもなく本当に意味がわからなかった。

    冬待ち・・・「慧、という字は紡錘形の触角をもった蛾の頭によく似ている」
    インパクトがあったのはこの部分のみ。
    というよりも、蝶や蛾の苦手な私は「ぎゃー」と声をあげたくなった。
    物語自体は薄ーい感じなのに、どうしてこんなに気持ち悪いことが考えられるんだろう。ああ、もう慧という字が蛾の頭にしか見えない。

  • タイトルが気に入って。
    言葉が美しくて、ほろほろ溢れてしまいそう。
    抽象的で曖昧で、好き。だけど、飽きる。
    さらさらっと読み進めて、なにも頭に残らなくて、引き返したことが何度か。
    雰囲気は大好きなのだけど。

  • かりさ
    どこか幻想的で現実の輪郭が曖昧でふわふわした独特な世界に強烈に惹かれました。表題作「舞い落ちる村」の数を数えず、名前をつけず、言葉を信じない現実世界から乖離された村の様子はとても妖しげで、そして心地良い。音のない世界のように淡々と静かに単調に綴られるのが非常に魅惑的。主人公の揺らめきの描きも見事。「冬待ち」も夢の中のような浮遊感がたまらなくいい。翻訳ものを読んでいるような掴みどころのなさを感じながら、そこに強烈な魅力を憧れを持つ。ずっと目覚めずここにまどろんでいたい。離れ難いほど好き。(2009年5月読了)

  • ことし、数えで二十六になる。
    暦の曖昧なこの村では、生まれた日など誰もろくろく気にしていないし、覚えてさえもいないから、年があらたまると皆いっせいに齢を重ねる。ひとつ重ねるものもあれば、みっつ重ねるものもある。誰かが、何かがどこかで産まれたということすらも、ほとんど気づかないことがある。柱の陰に頭の毛も疎らな見慣れぬ柔らかい生き物がいたり、茶碗や履き物が一人分増えていたりして、あれはなに、これはどうしたのと上のものに訊くのだけれど、かれもまた言葉を澱ませて、あれは去年、とか、昨日の祭りで、などと断片的なことしか言わない。去年、祭り、丹塗りの腕、産まれたのは去年で昨日買ったのは草履に椀にデンデン太鼓。幾つか問いを重ねるうちに、やっとその子が私の妹であるとわかる。

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著者プロフィール

1978年福井県生まれ。「舞い落ちる村」で文學界新人賞を受賞しデビュー。「囚われの島」で野間文芸新人賞候補。「鏡のなかのアジア」で芸術選奨文部科学大臣新人賞受賞。

「2019年 『文学2019』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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